表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートショート

ありえぬ診断

作者: 皿日八目

 女が、医者と話していた。


「先生、それで、どんな病気なのでしょう」女は心配そうな表情をして訊いた。

「ちょっとした、喉の病気ですね」なにやら紙をめくって見ながら、医者が答える。

「喉ですか」女は少し、意外そうな顔をした。

「ええ。心配することはありませんよ」

「本当に喉なんですか」女の声色には、わずかばかりの疑念も含まれていた。

「そうですよ。声を出す人がかかりやすい病気ですね」

「本当かしら……」女は、傍らに手を置いた。

「本当に、喉なんですか。べつの病気じゃないんですか」女は同じ質問を繰り返した。

「そうですね。症状が喉には出ないので、分かりづらいのですが、喉の病気なんです」

「これ以上悪くなったら……」女の不安が強くなっていくのが、表情から見てとれた。

「いえいえ、ご心配なさらずに。声を出さなければ悪くなることはありません」医者は声色は穏やかであり、それは聞く者に十分な安心感を与えると言えた。

「……でも、先生」しかし、女の表情は変わらなかった。


「この人は、生まれつきしゃべれないんですよ?」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ