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【短編集】

苦い成人式

作者: 中村尚裕

 成人式には苦い思い出。

「甘いだけじゃつまらない」

 彼が紡いだ別れの言葉。

 真正面しか見ないから。

 隠れた味を見ないから。

 涙に暮れる私へ、あの人はそっとカップをくれた。

 白の中に、淀まぬ黒が映えていた。

 心へ差し込む、芳醇な香り。

「ただ喉へ流すんじゃなくて、舌の上で転がすように」

 その声は優しくなだめるように。

「苦味の向こうにも味があるんだよ」

 その言葉は心へ染み入るように。

「表向きだけじゃ解らない味もあるのさ」

 その掌は、何よりも暖かに。

 ――初めてブラックを美味しいと思えた。

【告知】

著作者:中村尚裕

掲載サイト『小説家になろう』https://ncode.syosetu.com/n4336em/


無断転載は固く禁じます。

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without written permission.

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― 新着の感想 ―
[良い点] 苦みとともに広がる複雑な味わいを知ること。 それが大人になるということなのかもしれませんね。 彼との出会いは、大人への第一歩だったのだろうと思います。 決して良い思い出ばかりでなくても、き…
[良い点] 少女がだんだんと大人の女性へと変わっていくような、印象的な作品でした。 自分はコーヒーの、こう、フワッと香ってくる瞬間が何気に好きで、「心へ差し込む、芳醇な香り。」の一文に、展開と相俟って…
[一言] 苦いなあ、青春だなあ、と思いながら拝読させていただきました。 うわあ、キッツいなあ、と思いながらも、これが喉元過ぎれば熱さを忘れるで、青春の1ページになっていきますよね(笑) この短さでもし…
2018/06/11 19:13 退会済み
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