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転生者と魔王  作者: コウ
6/9

四話

一ヶ月以上経ってようやく更新です。遅くなりました

今俺の目の前には魔王の奴が驚愕といった表情を浮かべている。

 

 「二重人格……どういうこと?」

 

 「うひゃひゃ!どうもこうもネーヨ!そのまんまの意味ダヨ!お前が普段話してる俺が裏ナンダヨ!さっきからお前に対して優しかったあいつが本来の『俺』ナンダヨ!」

 

 あひゃ、あひゃひゃひゃひゃ!俺は工事現場で鉄骨の下敷きになって死んだ時に反動で『俺』が飛び出したわけだ!さてと、そろそろこいつに俺の素性を話してやるとしよう

 

 「なぁ魔王?異世界ってあると思うか?」

 

 「い、いきなり何?流石にそんなのあるわけないじゃない!」

 

 「あっひゃっひゃ!それがあるんだよねぇ!だって俺がそこから来たんだからさぁ!」

 

 「――え?」

 

 当然というべきかそれともやはり当然か、魔王は再び驚愕の表情をした

 

 「いやぁ実はな、『俺』がいつものように散歩してたら突然俺の上に巨大な鉄の塊が大量に降ってきてな!その下敷きになったんだよ。あの時の俺の死体は多分内臓もぐちゃぐちゃで体が原型留めてなかったんじゃネーノ?想像するだけでグロすぎて逆に笑えてくるネー」

 

 「ひぃ!なんでそんな自分が死んだっていうことを嬉々として話してるの!?」

 

 「だって~実際他人事だし~死んだ瞬間は俺じゃなくて『俺』だったし~俺は『俺』の記憶も一方的に持ってるけどぶっちゃけ他人だしネ!今の俺が表に出たのも神様の所に行ってからだしナ」

 

 いや~俺は表に出たのが初めてだから思う存分やりたいことをしているのダー。

 

 「まぁ一応表の『俺』を出す方法教えてやろう!後頭部に強い衝撃を与えればいい」

 

 「そんな重要なこと教えちゃっていいの?これから後頭部を全力で狙われることになるのよ?」

 

 「ははは!これは余裕と言うものだよ!どうせお前じゃそもそも俺の後ろに回り込めないしな!出来るものならやってみろ!」

 

 全力で煽ってやる。だって事実だもの。

 

 「……流石になめすぎ!勝負じゃ絶対に勝てないけど頭に強い衝撃を与えるぐらいならっ」

 

 魔王……いや、イルはそう言い放ち瞬時に俺の近くにまで飛びかかった。

 

 「動きが見え見えナンダヨ!その程度の速さで俺に飛びかかってくるとは……」

 

 「それはどうかな!」

 

 「なっ――!」

 

 そういうとイルは不思議な形をした鈍器の様なものを取り出した、いや…訂正しよう。具現化して創り出したといった方が正しいだろう。

 

 「はっ!そのような鈍器を作った所で形が定まっているなら避けるのは容易だ!」

 

 「確かにアンタなら簡単によけるでしょう。……でもね、これはただの鈍器じゃないのよ!」

 

 はぁ?ただの鈍器じゃないだぁ?

 

 「はぁ!」

 

 イルがそう言って鈍器を振り落としたその瞬間、その先端が俺の後頭部に向かって鞭のように曲がってきた。なるほど、確かにこれなら確実に後頭部に衝撃が与えられるだろう……でもな

 

 「うしゃしゃしゃしゃ!脆い!脆いぞ!」

 

 「嘘…でしょ…?」

 

 こんなものは破壊してしまえばいいだけの話だ。この程度で俺の頭を狙うなど片腹痛いわ!

 

 「さぁ!貴様の手段はこれが最後か?おい、どうした!?他にもまだまだ手段があるだろう!さあやれ!もっとやれ!」

 

 再び全力で煽ってやる。恐らく手段はもう残ってはいないだろう。

 

 「うがああああああああ!」

 

 おっと、乱心したか。謎の物体を創り出してメチャクチャに投げてやがる。

 

 「数を撃てばどれかは当たるとでも思ったか!当たるわけないだろうが!」

 

 「そんなことは分かって…るっ!」

 

 また飛びかかってきたな。……無駄だってことが分からないのか?

 

 「はっはっは!無駄なんだよ!そんなパンチは簡単に避けられる」

 

 俺は余裕を表すためにポケットに両手を突っ込み、尚且つ最小限の動きで攻撃を避けた。

 

 「ああもう!早く…当たって…よ!」

 

 「お前の激遅パンチなんてあたらねーヨ!」

 

 勿論避けているときも煽ることは忘れない。……ありゃ?なんかよく見たら口元が笑って…

 

 「!?」

 

 マズい。床に散らばった物体を踏み抜いてバランスが……まさかこれが狙いだったのか!?

 

 「クソがあああああああ!」

 

 俺はまるでバナナの皮でも踏んだように後ろ向きに転んだ。


 だがまだ慌てることはない、空中に浮いて体制を立て直せば……

 

 「させるかあああああああああ!」

 

 「っ!テメェ!」

 

 俺が体制を立て直す前にイルは両腕で俺を地面に叩き付けた

 

 「ぐっ、がああああああああああ!」

 

 あぁさよなら俺、そしてこんにちは『俺』絶対にそのうちまた出て来てやるから覚悟してろぉ!

 

 「やった!ようやく勝った!」

 

 そうして俺の意識は深い精神の海に沈んでいった……

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 ――あれ?ここはどこだ?なんだかやけにかわいい感じの部屋だな。


 俺はあの鉄の棒で自分の後頭部を全力で殴って気を失ってた筈じゃ……

 

 ひょっとしてイルが運んできてくれた?

 

 「……ミノ?起きた?」

 

 横を向いているとなにやら妙に疲れている様子のイルが座っていた。ずっと看病してくれてたのかな?

 

 「うん、しっかりと。いきなり自分の頭を本気で殴った上に気絶して迷惑かけたね。ごめん」

 

 「……信じられないとは思うけど一応アンタが気絶してた時のことを教えてあげる」

 

 信じられないこと?俺は既に異世界に転移するという非現実的なことを経験してるわけだし、大半のことは信じられると思うけど。

 

 「……うん、お願いだ。教えて欲しい」

 

 「実はね……」

 

 イルから説明されたことはまさしく衝撃的な話だった。先ず俺には人格がもう一つあるらしい。そして異世界転移したのではなくて異世界転生だったらしい。死体の様子は見るも無惨な姿だったそうだ。

 

 「だいたいこんなところ、まぁ全部裏のアンタが言っていたんだけどね」

 

 「…………」

 

 「どうしたの?」

 

 「いや、何というか実感がないな~と」

 

 「……まぁ当たり前で

 

 「うわああああああああああ!」

 

 「どうしたの!?」

 

 「今、唐突に理解しただけだよ!特に死因!こういうのって普通はトラックに轢かれるとか通り魔に刺されるとかだろ!なんだよ工事現場の鉄骨の下敷きって!内臓ぐちゃぐちゃとか全然笑えネーヨ!しかもそれを裏の俺は嬉々として笑ってたとか頭おかしい!」

 

 正直死んだことも勿論文句しかない。だがそれ以前に死に方がエグすぎるんだよ!某曲より酷い死に方だよ!オーバーキルにも程があるわ!

 

 「ちょっとごめん!私の知らない単語が沢山出て来てよく分からない!」

 

 「ごめん、ちょっと状況の整理がつくまで待っててくれ」

 

 「いいけど……絶対後頭部だけはぶつけないで。凄く苦労したんだから!」

 

 まぁ確かにさっきの話を聞いた限りだと本当に相当苦労したんだな。……後頭部だけは思いっきり意識を向けておかないとね

 

 「うん、そうだネ!後頭部だけは全力で守らせていただくでござる!」

 

 「喋り方!アンタいつの間にかまた入れ替わったわね!もう一回やってあげるからじっとしてなさい!」

 

 「やめてくれ!ちょっと喋り方をふざけてみただけじゃないか!というか頭打ってないって!」

 

 「じゃあその喋り方やめなさい!裏のアンタはだいたいそんな喋り方だから心臓に悪いのよ!」

 

 マジか、裏の俺って常にこんなふざけた喋り方なんだ……

 

 「……ごめん。これからは少し自重する。……でも時々ふざけるのは許してお願い」

 

 「……本当に時々なら」

 

 「ありがとう」

 

 正直俺もこうやってふざけたい時もあるんだ。そこは分かって欲しい

 

 「……それで?アンタはどうするの?」

 

 「……正直よく分からないけど何故かあっちにいた時とおなじ家があったから当面はそこでなんとかしようかと。あ、そういえば聞きたいことがあったよ」

 

 「何?」

 

 俺が聞きたいことは一つだけ

 

 「ステータスの確認方法について教えて欲しいんだ。やっぱり自分の戦闘能力の確認は重要だからね」

 

 自分の戦闘能力が分からなければ、先ず何が出来るのかすら分からない。

 

 「それだけ? そんなこと簡単よ、頭の中で戦闘情報開示(ステータスオープン)って念じるだけ」

 

 本当に簡単だ!早速やってみようかな

 

 「ありがとう、今からやってみる!」 

 

 俺は早速言われたとおりに念じてみた

 

 (戦闘情報開示(ステータスオープン))

 

 するとまるで世界が闇に包まれたように、あるいは自分だけがこの世界から弾き出されたように、俺の視界はにはなにも映らない無の景色となり、目の前にステータス画面が現れた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ハルカワ ミノ

 

 生命力 計測不能


 魔力 ∞


 攻撃力 計測不能 


 防御力 計測不能


 スキル 『絶対者』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 

 

 ――――はっ!あまりにもヤバイ感じで一瞬気を失ったぞ!?

 

 うん!色々おかしすぎるね!どうしてことごとく計測不能なのさ!?というかなんで魔力の表記だけ∞なんだ!?

 

 計測不能って弱すぎてなのかな? ……ないな、それは魔力が∞っていうのが証明しているし

  

 というかスキルの絶対者ってなんだろうか?……確認してみよう。


 

 

 『『絶対者』あらゆるものを超越する力を得る。魔王や勇者、果ては魔神すらも圧倒する絶対的な力』

 

 

 魔神すら圧倒って書いてあるんだけど!ステータスの時点で感づいていたけどチート転生だったよ!

 

 ……まぁいいか。チートってことを抜きにしても死なないに越したことはないし。多分だがこれなら無駄に誰かを傷つけることもないだろう。……最も裏の俺は無駄に損害を与えまくってたらしいけど。

 

 ……というかどうすればステータス閉じれるのだろうか?流石にずっとこの暗闇の中に永遠は余裕で発狂できる。

 

 閉じろ閉じろ閉じろ閉じろ閉じろ閉じろ。

 

 閉じろとずっと念じているといつの間にか世界は元に戻っていた。

 

 「……よかった戻ってこれた」

 

 「ミノ?どんなステータスだった?」

 

 イルがこちらを見つめてそう聞いてきた。……誤魔化しても無駄だろうしはっきり言おう

 

 「……化け物だったよ。ヤバすぎて言葉を失ったし」

 

 「……聞くのが怖いけど聞いておくわ。どんな感じだったの?」

 

 俺はイルに自分のステータスのことを話した

 

 「……ごめん、ちょっと何言ってるのか分かんない」

 

 「だろうね!正直俺も自分が何言ってるのか分からないからね!」

 

 正直に言おう。今でも自分が本当にあんな化け物じみた能力を持ってるのか半信半疑だよ!

 

 本当に何があってこんな能力になったんでしょうかね!?

 

 「そ、そう……それで、これからどうするの?」

 

 どうするって言われましても……特に目的もないし……

 

 「不明です、恐ろしく何もやることがない」

 

 俺がそう言うとイルは驚きの提案をしてきた

 

 「ならここに住みなさい。裏のアンタならともかく今のアンタは無害そうだし」

 

 「……いいのか?もしも後頭部を打ったらまた人格変わるけど……」

 

 「その時は追い出すから大丈夫」

 

 いや、大丈夫って……今までだいたい負けてきたんじゃないっけ?でもまぁ厚意には甘えた方がいいよな

 

 「そっか……ありがとう、これからよろしくな」

 

 「こっちこそ、正直退屈だったし気が向いたら私と話をしてちょうだい?」

 

 「うん、分かった。そうさせて貰う」

 

 こうして今の俺の異世界生活が幕を開けたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ったくしゃあねぇなっ!次はいつ出てこれるか分かんねぇし、表と俺を切り離してやるしかないご様子ですね!

 

 さっきはさよならとか言っていたが俺自体は当然謎の空間でずっと意識はあるのです。

 

 まぁ今から準備すれば明日には終わるだろうし~。明日こそは泣かせてやるから精々覚悟しておくこった!

 

 ヒュハハハハハハハハ。 

 

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