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夏生詩集3

雨の匂い

作者: 夏生

雨の匂いは

何があっても変わらない

ように感じて


私の鼻腔を抜けたかと思うと

時は逆に動きだし

止まり、また、動き

触れることの出来ない人たち

が、通りすぎて行った


自分が

何も変わらずに

さらりと無傷で

ここに在るような

気がして


「あんたは苦労を知らない」

と、嘆く母の声が

胸の奥から響いて

鉛のように重くなった


「何があっても変わらない人ね」

友人から言われた言葉と重なって


雨は雨、地球誕生のときからきっと

変わらず降っていた


長い年月から吐き出されたものが

雨の雫の中に溶けていった

きれいに変わらない雨の雫も

目に見えない穢れを含んでいる


私も何も変わらない

さらりと無傷な顔をして

奥深くではドロリとした

穢れが

私の中で枝が伸びるように

広がって育ち

黒い葉を生やしている


何も変わらないものなど

ない

何も変わって欲しくない

という願いがあるだけだ


身勝手な残酷な願いが



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― 新着の感想 ―
[良い点] 「何も変わらないものなどない  何も変わって欲しくない  という願いがあるだけだ」 の部分が、とても好きでした。 [一言] こんにちは。 「匂い」繋がりで読ませて頂きました♪ 雨の…
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