短編「カルト」
私はとあるカルト教団の司教。
今は・・・そうだな。
その教団を仮に《産生》とでも言っておこう。
私達《産生》はとある遺跡の盗掘を目標に、奔走する日々。
何せ、実在するかも解らない、文字通り幻の遺跡だったのだから。
そうは言っても、諦めもしないし、目的の為に手段は選ばないのが盗人の基本。
現実的な論文、非現実的な文献、宗教的な書物・・・。
色々読みまくった末に、かなり非現実的な結論に至った。
「《ユグドラシル》・・・」
その何とも心地よい響きに、思わず口が動く。
そこに辿り着くまでに、かなりの時間を要した。
しかし、それで得るモノもまた多かった。
《アスガルド》。そこに《産生》の求める宝物がある。
「全員、後に続け!!」
邪魔する者は、消し去るのみだ。
「血汚れた宝が見えるぞ・・・!」