第7話 MTポリスへ
毎度どうも、天法院美空です。
私は今、解放感で満ち溢れています。昔から少しコンプレックスだったお嬢様という身分を捨てて、コウヤ君と駆け落ちしたからです。…まあ、駆け落ちと言っても逃げる必要はもう無いですけどね。叔母の記憶を書き換えたので。
とにかく、私はこれまでに無いほど気持ちが高まっています。コウヤ君と一緒に歩いているっていう理由も少なからずありますけど───いや、今の私の気持ちの全てがコウヤ君のおかげですから、理由は全てコウヤ君がいるからです。
でも、こういう時って何か大事なこと忘れてたりしませんかね?そう思い私はコウヤ君の横を歩きながら考えました。ちゃっかりコウヤ君の腕を抱きしめながら…コウヤ君も満更でもないのか振り払おうとしないのでそのままでいることにしました。因みに私の荷物はコウヤ君が持ってくれています。相変わらず、優しいですね。
「…ちょっと待って、コウヤ君!私達が今向かっている『MTポリス』って何処にあるのですか?」
何だか目的もなく歩いている気がして私は大事なこと──私達の目的地である『MTポリス』の場所──を聞いていないと思いました。
「そういえば、美空さんには言ってなかったですね。僕達が向かっている場所は…魔物ハンター達が集う異次元の町です」
「えっ…今なんて…」
「だから、MTポリスは異次元にあるんですよ。」
まだ私の頭が追い付いて行きません…異次元って…
「…そういえば、魔法がありましたね。コウヤ君が生きている世界は…」
こんな状況に馴れてしまった自分に少し落胆しました…というか、魔法は何でもありですね。全部、ゆ〇の所為だ!!全部、〇怪の所為だ!!ならぬ、全部、魔法の所為だ!!ですね。私もそう思う事にしましょう。
「…でも異次元なら何処からでも行けるんじゃないんですか?」
「基本的に皆一定の間隔で設置されている転移陣を利用して町に入ります。その方が楽なので。もうすぐ転移陣に着きますよ」
「…そうなんですか」
「ほら、あそこです。あそこにあります」
そこにあったのは…白いチョークで描かれた魔方陣のような物でした。…痛いですね。でも、そんなもんですよね。魔法がある時点でもう…考えるのはやめましょう。
そんな事を考えているとコウヤ君がしゃがんで魔方陣に手を付けました。
「コール―ゲートオブMT」
コウヤ君がそう呟くと魔方陣が青く光りました。
「美空さん、速く転移陣の上に」
私が魔方陣の上に乗ると少し体が浮くような感覚がした後、私達は横浜から姿を消しました。
次回、異次元での同棲?が始まります。