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トライアングルフォース~都会と魔物とラブコメと~  作者: INONN
第3章 実践昇華~竜と女神と戦乙女と~
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第53話 守られると惚れちゃうタイプ(二人目)

 こんにちは、天法院美空です。

 前回はいけ好かないボンボン──ボンボンに関しては他人のことを私が言えませんが──にナンパされて気分が悪くなりましたが今回はいなさそうです。良かったです。

 今回、私達はビルの屋上にいます。なぜそんなところにいるのかと言うと、遡ること数分前。ギルド『竜と女神』でリオさんやリュウジさんとお話していた時でした。



 四人がリオの手料理に舌鼓を打って和気あいあいと話していると、突然店内に大きな警報音が鳴り響く。初体験の美空は驚いて体を魚籠つかせる。


 「なっ、何ですか!?これっ!?」

 「あら、緊急アラームね」


 慌てている美空と対照的にリオは落ち着き計らっていた。美空を落ち着かせようと鋼也が肩に手を置くとむしろ美空はオーバーヒートしてあざとくも鋼也に倒れる。

 あまりにもうるさくてリュウジがカウンターテーブルの裏のボタンを押してアラームを止めた。


 「緊急アラームがなったってことは任務中に危険な状況になったってことだからな。悪いがお前達で言ってくれるか?他の奴で対応できるかも分からんからな」

 「悪いって仕事なんだし謝る必要ないだろ?」

 「行けば分かるさ」


 そう言ってリュウジはワープ用のカードを差し出した。鋼也は美空を擦って起こす。一緒に他の物も揺れたが鋼也は見ないことにした。


 「美空さん、仕事です」

 「もうちょっとだけ…」

 「緊急みたいなんですけど」

 「…分かりました。行きましょう」


 しぶしぶながらも起き上がりリオ達に別れを告げ、鋼也と共にカードに力を込めた。



 と言う訳で不本意ながら戦いに来ました。でも、緊急アラームが鳴らすのは稀な様でよっぽど手におえない限り使わないらしいので気を引き締めなければならないですね。


 「…あれはヤバいな」


 遠くで魔物が人を二人程襲っているように見えます。それを見て珍しくコウヤ君が焦っています。やはり強敵な様です。


 「仕方ない、他人の命がかかってるからな…美空さん、あの人達のガードお願いします」

 「えっ、それってどうゆっ!!きゃっ!!」


 聞き返している途中でコウヤ君は私の肩を掴みビルから飛び降りました。な、何を考えているのでしょうか?両手で私を抱えているので槍で飛翔することもできないはずなのに。移動するなら普通に私は魔法でできるのに。と疑問を募らせているとビルと戦闘している人達の間の半分くらいの距離まで進んでいました。


 「トライアングルフォース発動」


 コウヤ君が静かに呟きました。それと同時に加速してますます近付き───


 「きゃ~っ!!」


 突然コウヤ君が私を手放したのでまたも私は落下しました。学園で受け身の基礎は学んだので最小限のダメージで済みましたが痛いです。丸くなってゴロゴロと地面を転がり、止まった所は魔物と人の間でした。魔物はカマキリのようなフォルムで全身が赤黒いです。今にもその鎌を降り下ろそうとしています。ですが私も成長したのです!!


 「《珠玉の大盾(ブリリアントシルト)》!!」


 手早く杖と魔法カードを用意し、叫ぶと私の目の前に大きな赤い結晶5つが連結して盾となりました。魔物の鎌はその魔法に当たり弾かれると思いきや、


 「っな!!くっ、キツい、ですね」


 私の魔法に鎌が食い込み削られていきます。再度力を込め直しても時既に遅く、


 「そん、な───」


 結晶が砕け散り欠片が私から離れるように宙を舞い消滅しました。それと同じように頭の中から色々な物が遠ざかって行く感覚に襲われました。


 ───いままで私がしてきた事は無駄だった───


 ───私は弱いまま───


 ───コウヤ君の役に立てない───


 「グキャー!!」


 戦意喪失した私を放って魔物は空に叫んでいます。まあ、当然ですよね。弱い(・・)私なんかいつでも倒せますからね。

 魔物は見るからに毒っぽい体液をまたも上空に吐いていたので何かがあると気付き視線を上げると、いつもとは違う雰囲気で白銀の鎧を身に纏い飛翔するコウヤ君がいました。


 「トライアングルフォース──シールド──」


 魔物の体液に対してコウヤ君は真正面から突き進み剣を持っていない左手を前にかざすと、羽として機能していた4角の星形の金属が3枚、羽から分離して、その手の周りで浮遊しそれらの間にバリアが展開しました。魔物の体液はその盾に成す術もなく弾かれます。

 あれがさっきの攻撃より弱い、と言うことはなさそうですね。そんなのただの現実逃避ですから。

 魔物の攻撃にも阻まれなかったコウヤ君の勢いは更に加速して一瞬で魔物の背中に到達し槍を突き刺しました。貫通したのかコンクリートを削る音もします。当然、その魔物が耐えられるはずもなく光の粒子となり弾け飛びました。

 本来であれば魔物は粒子となるとゆっくりと空に上がるように消滅します。が、力の差が激しいと攻撃の反動で粒子は弾けます。つまり、私が敵わなかったあの魔物よりコウヤ君の方が断然強かったと言うことになります。

 コウヤ君は無表情で辺りを見渡し武装を解きました。そして、ふらふらしている私を見て慌てて近付いて来てくれました。こんなに弱い私なのに。と思うと不意に涙が頬を伝ってこぼれました。


 「み、美空さんっ!?どうしたんですか!?」

 「ごめんなさい。私、弱くて。守るように言われてたのに、守れなくて」

 「え?美空さんは完全に防いでたじゃないですか」

 「ふふ、コウヤ君は優しいですね。弱い私にもお世辞を言ってくれるなんて」


 力ないであろう私の笑みを見るとコウヤ君は今まで以上に驚いた。


 「まだ、あんなにも立派に残っているじゃないですか!?」


 コウヤ君が指差した先には緋色の結晶が輝きを放っていました。魔物の攻撃で呆気なく破壊されたはずの《珠玉の大盾(ブリリアントシルト)》が一つ傷もなく…


 「きっと幻惑系の能力が備わっている魔物ヤツだったんでしょう」


 幻惑系と言うと相手の視覚を混乱させる魔法の一種で魔物が主に使用する、でしたっけ?


 「幻惑能力の度が強いと、混乱で魔法が解けたり、技を打ち損なったりすることもあるんです。だからその点、美空さんはすごいですよ。あんなに幻惑の影響受けてたのに強力な魔法を維持できるなんて。だから魔物も美空さんを攻撃できず叫んでたんですよ」


 幻惑能力で混乱して魔法が本当に揺らいだ所を攻撃する、と言うことですかね。


 「まあ、なんにせよ卑屈にならないでください。魔法は無事だったけど精神は疲労しているでしょうから」


 優しく肩を叩いてくれるコウヤ君。確か、幻惑能力は使用者と比べて力が弱い相手にしか聞かないはず…私はかかってあの時(・・・)のコウヤ君には効かなかった。これが力の差ですかね。

 トライアングルフォース───コウヤ君しか持ってなくて何の情報もなく、コウヤ君自身滅多に使おうとしない。今までの口振りからすると何かしらの制約があるのでしょうがその強さは絶対的で、多分、大事な戦いはあれを使うはずですから…

 実戦でそれと対等にならないと側に居ても足手まといにしかならない、ですね。我ながらすごい人に惚れてしまったものです。これからどうしたものか…

 と、考えているとコウヤ君はさっき私が守った人達の方を見ました。そう言えば、その人達の顔までは遠かったので見えなかったんです。


 「さて、色々言いたいことはあるが今回は良いや。コレ以外はな。すぅー」


 そこまで言うと空気を大きく吸って


 「戦場で漏らすなんて無様にも程があるって奴だぜ!!ざまあねぇな、あんだけ大見得切ってたバチが当たったんだよこの世間知らずのボンボン箱入り馬鹿息子がっ!!」


 容赦なく言い放ちました。言葉の通り、二人いる中の一人は腰を抜かしてあらぬ所から液体が染み出ている男の人がいました。

 ───ボンボン箱入り馬鹿息子?


 「って、ええっ!!もしかしてさっきの煌治さん!?」


 自信に満ち溢れた表情から想像もできないような半べそをかいた顔になっていて気付きませんでしたが、よくよく見れば、確かに灰色の髪をした煌治さんでした。せっかく毅然とした態度で接したのに…情けない所を見られてしまいました。


 「ふん!!キミ、邪魔なんだけど」


 対する煌治さんはそれでも意地を張って立ち上がって変わらずに命令口調で言い返しました。と言うか無視して関係のないこと言ってます。足は生まれたての小鹿みたいにプルプルさせてますけど。


 「まったく、誰に助けてもらったと思っているんですかね」


 呆れてこんな台詞が出る程です。そしたら、


 「彼女の言った通り、キミは何もしていないじゃないか!?ボクを救ってくれたのはそこの彼女───ミソラさんだ」

 「ほえっ!?」

 「は…」

 「ふん、嘘がバレて声も出ないか」


 とんでもない勘違いをしているようですけど。どうしたらこんなとんでも思考ができるのでしょうか?


 「彼女が神々しい魔法で守り、鋼の巨大な槍を生成して魔物を叩き潰してくださったのだ。ただ、それほどの才能を持ってしても彼女は女性。反動で立ち眩みを起こしてしまうのは仕方のないことでしょう。お礼と手当てをさせてください。是非、私の屋敷へお越しください」


 ムカムカしますね。女性差別しているように聞こえますし。無論、首を大きく横に振って断りました。


 「い、いえ!!結構です!!大したことはしていないので」

 「なんて謙虚な方だ。ますますご心酔しました!!」


 何故か最初の時より熱が籠っています。ここまで熱を持って迫られると流石にやりづらいです。そんな私の気持ちも露知らず、煌治さんがひざまずきました。


 「私は決めました」

 「な、何をですか?」

 「なんとしてもあなたの心を撃ち抜いて見せる、と」


 うわー、この人に羞恥心とか微塵もないんですかね?こんなところで告白紛いの宣言をするなんて。


 「今日はお助け頂き光栄でした。では、失礼」


 と、煌治さんは軽く礼をしてワープしました。戦場でもスーツ姿のムキムキのボディーガードさんも「うちの若旦那がすみません」と言わんばかりに決まりが悪く何度かお辞儀をして後を追うようにワープしました。

 後に残された私達は少しの間静寂に包まれていました。


 「…何だったんでしょうね」

 「そうですね。美空さんはもう具合は大丈夫ですか?」

 「わ、私はもう───いえ、まだダメみたいです」


 「少しの間、寄りかからせてください」と言おうとする前に、


 「じゃあ、ギルドまで運びますよ」


 と言って軽々私を持ち上げ、あろうことかお姫様抱っこの体勢で歩き始めました。


 「ここ、コウヤ君っ!?いきなり、何を…」


 私は慌てて尋ねましたがコウヤ君は首を傾げて訳が分かっていなそうで黙ってしまいました。

 もう、コウヤ君は。無意識の内にどんどん私を…ずるいです。コウヤ君ばっかり。だから仕返しに何をしても(手を首にかけても)良いですよね。


 この時、後にワープした私達を待っていたリオさん達にニヤニヤ笑われ、からかわれるとは思っても見ませんでした。恥ずかしかったですけどお姫様抱っこしてもらえたので今日は満足です。ずっとこんな風に一緒にいられるようにもっと強くならないと、と悩みの種も増えてしまいましたが。

作者「毎度のことですが大変遅くなりました。どうしたってリアルとゲームが忙しい」(言い訳)

鋼也「んなこと言ってねぇでさっさと書けよ。もう一作も書いてんだろ?」(ステマ)

美空「リアルはともかくゲームはなんとかならないんですか?」(認めたくないけどド正論)

作者「ゲーム1日一時間とかやーだー」(小並感)

鋼也「タイトルもまともに回収できてないくせにサボってんな」

作者「ん?何のこと?」(すっとぼけ)

鋼也「『ラブコメ』の部分だよっ!!ぜんぜんできてねぇだろ」(鈍感)

美空「これはこれで、アリだと思いますよ」(認識の相違)

作者「と言う訳で!!これからも美空さん大歓喜のシーン比較的たっぷりで行くぜ!!」

美空「やったぁ!!ありがとうございます。作者さん」(あててん)

作者「ふはは、これが主人公の力だ!!」(ふんぞり)

鋼也「主人公お前じゃねーっ!!」



…なんだろ、これ。

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