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トライアングルフォース~都会と魔物とラブコメと~  作者: INONN
第3章 実践昇華~竜と女神と戦乙女と~
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第51話 親の権力?使えない方が悪いんだよ

 最近なかった一人称、天文字鋼也でーす。

 さて、今日も今日とでいつも通りギルド『竜と女神』に仕事しに向かっている訳だが、外からでも分かるぐらいギルドが騒がしかった。騒がしいのはいつものことだが今日は様子が違いそうだ。何せギルドの前に黒塗りの長い車──いわゆるリムジンが止まっていた。スゲー本当にこんな車あるんだ!!


 「リムジン…とは言ってもそこまで上物という訳でもなさそうですね」


 流石、国内最大規模の会社のご令嬢なだけあって言うことが違う。俺なんてリムジン見ただけで結構驚いたのに。これが経済格差なのか?おかしいな、目から汗が…


 「何があったんだろうってごふっ!!」


 リムジンに傷を付けないように避けてギルドに入ると、すぐ目の前に黒くてデカイ壁───もといスーツを来た巨大な男が立ち塞がっていて、知らずにぶつかった。


 「おっと、これは失礼」


 ぶつかったことで巨漢もこっちに気付き道を通してくれた。けどスキンヘッドに黒グラサンとかいかつ過ぎるだろ。

 中では男がカウンター越しにリオさんに向かって片膝を地面に付けてひざまづいている。その手には薔薇が握られ、リオさんに差し出している。


 「何が起きているんですか?」


 美空さんがテーブル席から遠目に見ている顔見知りの魔物ハンターの男達──キョウジとトウツだったかな──に尋ねた。昔は怖がっていたのに自分から話しかけるなんて…成長したんだね、お兄さん嬉しいよ。(出会って2ヶ月です)


 「おう、ミソラちゃん。それがよぉあの男が護衛連れてリムジンでギルドに乗り込んで来たんだよ」

 「それは問題ですね」


 ん?何が問題なんだ。何かしでかしたのは雰囲気的に分かるけど、今の説明の中に問題なんてあったか?


 「なんてったってここ──『竜と女神』はマイカー通勤禁止だからな。原則として」

 「そこっ!?」

 「知らなかったんですか?最初に貰う『ギルド『竜と女神』の鉄の掟』の第2条ですよ」


 当然のように言ってのける美空さん、更にはその後ろでキョウジやトウツも頷いているところから、もしかしたら本当に常識なのかも知れないな。


 「路上駐車がここ近辺でも問題になったらしくこの制度を付けたらしいですよ。それが大型のリムジンとなると尚更です」

 「まあ、冗談は置いといて」


 あ、冗談だったのか。


 「本題に入るとだな。あの若造が入って来るや否やリオさんに近付いて人目も憚らずに口説いてんだ」

 「おう…それはまた盛大に地雷密集地にダイブしたな」


 基本的にリオさんを口説く等の行為は暗黙の了解で禁止されている。未婚、既婚に関わらずリオさんを崇拝する奴は多く抜け駆けは許さないということらしい。


 「しかも、その台詞が胡散臭いし薄っぺらくて狙ってるの見え見えで笑えるんだよ」

 「お前らももっと早く来れば良かったのによ」

 「お、まだ見れそうだな」


 俺の言葉に皆が視線を向かわせる。


 「嗚呼、本当に美しいお方だ。お噂はかねがね伺っております。辺境のギルドにこの薔薇よりも美しい女性がいると」


 ちょ、ちょっと待って!!話の途中だけど待って!!今どき「嗚呼」とかマジで笑えるんだけど!!ツボり過ぎてその後の話が入ってこないんだけど!!


 「あらら、どんどん地雷踏み抜いて行ってるよ。ありゃリュウジの旦那にお釈迦にされるな」

 「俺は女将さんに追っ払われるのにビール一杯賭けるぜ」

 「あはは、そうなりそうですね」


 変なところで賭けが始まって盛り上がっているが奴の口説き文句は止まらなかった。


 「その美しさ、まさに天から召された女神そのものです。そのようなあなたがボクのように美しく富を持つ者と時を共にすることは世の定めかと」

 「あら、そう言ってくれるのは嬉しいわ」

 「流石、物分かりが良い聡明な人だ。そのようなむさ苦しい男など捨て置いて。是非、ボクとお茶でも」

 「褒めてくれるのは嬉しいけど、リュウちゃんのこと悪く言うなら容赦しないわよ?今の内にご立派なリムジンで帰った方がその──さぞ自分からしたら美しい顔がどうなっても知らないわよ?」


 うわぁ、さっきから踏みまくっているから今更だけどリオさんをナンパして普通に地雷踏んだ。リオさんも顔は笑ってるけど腕捲りして殺る気満々だ。狂愛度で言うと俺の隣の人と同じくらいだからな。

 美しい顔(笑)もとい軽薄な顔の男はリオさんの気迫にたじろぎ後ろに引き、代わるように後ろに待機していた黒スーツの壁男(仮)が前に出た。


 「手荒な真似はお控えください。この方は寿煌治様に有らせられるのだぞ」

 「えっ、名字を…」

 

 美空さんも驚いている通り、名字まで名乗って更にはそれが「寿」となると…


 「そう!!お察しの通り、ボクは寿財閥の御曹司にして、史上最強の魔法使いとも謳われた救世主である寿善治の孫、寿煌治だ!!」


 そしてこのドヤ顔である。さっきまで気後れしてたくせに。


 「さあ、今からでもボクを拝んで媚びを売っても良いんだよ?」


 何かのパフォーマーのように両手を上げて声を張る。その態度にイラッとしてつい、『誰がするか、んな事』って思った。口には出して無いよ。寿財閥の御曹司(笑)にして、史上最強の魔法使い(笑)とも謳われた救世主(笑)である寿善治(笑)の孫の寿煌治様(笑)だからね。

 そうしたら、寿財閥(以下略)の寿煌治様(笑)がこっちに振り返りすごい形相──美しい顔(笑)が歪む程の──で睨んでいた。


 「…コウヤ君、声に出てましたよ。全部…」


 思えば、皆「あーあ、やっちまった」って言いたそうな顔をしていた。隣の美空さんも呆れている。

 と、煌治に視線を戻すと憎悪の表情はもうなく見とれていた。

 ああ、俺があまりにも格好良すぎて惚れちゃった感じ?ごめん、俺そっちの趣味はないってあれ?視線が俺から少しずれてる。これは…美空さん?おっと、この流れは…


 「美しい女性ヒトはそれに相応しい者の元に何度でも訪れるとは、ボクは知らなかった。嗚呼、知らなかったと言えばこのような素晴らしい事実を教えてくださった貴女のお名前を、失礼ながらボクはまだ知らない。お聞かせ願えますか?」


 煌治はそう言ってリオさんにしていたポーズを美空さんにもした。見るからに嫌悪感を示している美空さん、「嗚呼」がツボってる俺…こいつは面倒臭くなりそうだぜ!!

遅くなりましたが、いよいよ新キャラを出せました。こういう『一夜限りの恋』的な人の回って面白いし主人公がヒロインを格好良く守るっていう良い場面ですよね。さてさて、うちのチート主人公の鋼也君はどうなるのか。それは神のみぞ知るってことで、お楽しみに~←お前が知らないんかーい(ノリツッコミ)

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