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トライアングルフォース~都会と魔物とラブコメと~  作者: INONN
第2章 学園生活~幼なじみと好敵手と恋敵と~
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第29話 ポジションって大切

 こんにちは 天法院美空です。

 私達は今、学園のフードコートで昼食を摂りながら午後から行われるタッグマッチの作戦をたてています。


 「敵は二人共ウチが倒すからヤバそうになった時だけ援護してくれたらええからな」

 「え!?でもそれじゃ私が何もしてないみたいじゃない」

 「個人戦であんなに活躍したやないかい!!ウチにも花を持たせてぇな」

 「絶対に嫌!!活躍してコウヤ君に認めてもらわないといけないからそれだけは譲れないよ。むしろ逆の方が良いぐらい」

 「認めてもらいたいゆうか、どうせ褒めてもらいたいだけやろ!!」

 「え!?そ、そんな事は…な、無くは無いけど…」///


 コウヤ君がすぐそばにいるのに恥ずかしい事言わないで欲しいです。レイコにはデリカシーと言う物をちゃんと理解して欲しいものです。

 「ほほう…ゆうやないか。ならもっと恥ずかしいミソラの赤裸々な恋心をコウヤに言ってやろうか?」

 「ふ、ふざけないでよ」

 「ふざけてなんかないで。本気(マジ)や、大本気(マジ)。なあ、コウヤ。ミソラは実はな───」

 「だ、だめぇー!!それ以上は絶対にだめ!!」

 「ならゆう事があるんやないか?」

 「レイコさん(・・)の言う通り、レイコさんが危険な時以外は戦いません」

 「よろしい。それじゃ、よろしく頼むで、ミソラ」


 ううっ…なんで私がこんな目に。半泣きしながらレイコの事を恨みがましく睨む事しかできません。案の定レイコはドヤ顔をしてるし。

 誰かさんのせいでだだ下がりした気持ちを明るくしようとコウヤ君の方を見てみると、


 「───相手が前衛二人だったらコウヤが抑えてるところを横から俺が狙撃する。後衛がいる場合は先に後衛を倒してから───」

 「…」モグモグ


 ソウタ君が練りに練った作戦を一生懸命コウヤ君に伝えていますがコウヤ君は食べるのに夢中で全然話を聞いていません。コウヤ君が私の作ったお弁当を気に入ってくれて良かったです。朝早くから頑張って作った甲斐があるというものですね。


 「いや、そこじゃないやろ!?」


 誰かさんが何やら騒いでいますが取り敢えず無視。私のお弁当を嬉しそうに頬張るコウヤ君を見てしばらくニヤニヤすることにします。やっぱり人の心を掴むにはまず胃袋からですよね。


 「──そんな感じでいこうと思うんだけどどう?って人の話を聞いてねー!!」

 「ふわぁ~眠っ…」


 お弁当をすべて平らげたコウヤ君は気の抜けた欠伸をして寝始めました。ご飯を食べ終わるとすぐ寝ちゃうなんて子供みたいで可愛いですね。


 「だからそこじゃないやろ!?」


 はいはい、無視無視。何度見てもコウヤ君のあどけない顔は可愛いです。天使?いや、もはやか───おっと、これ以上は某ラブコメ漫画のパクりですね。やめておきましょう。


 「コウヤ…コウヤ、起きろ!!寝たら(俺に殺されて)死んじゃうぞ!!頼む、起きてくれコウヤ!!」


 南極とかで隊員がよく口にする台詞ですね。

 でも、何か違う!!根本的な何かが違う!!


 「だからそこじゃな…ミソラ!!分かったのか、ついに何に突っ込むべきか分かったんやな!!ウチは嬉し」

 「そのポジションは私の物ですっ!!」

 「ぐふぉ!!」

 レイコの言うこと(空耳)を無視して私は全力でコウヤ君を助ける役(私のポジション)を死守するためにソウタ君にタックルをかましました。ソウタ君は吹っ飛ばされて床に倒れて悶えています。


 「コウヤ君!!起きないと本当に死んじゃいますよ!!お願い、お願いだから起きてぇ!!」

 「いや、死んだの俺の方…」


 なおも床で悶えているソウタ君が今にも消えそうな声で訴えてきます。


 「死んでませんよね?」

 「三途の川渡りかけたんだけど…」

 「私のポジション(悪い事)奪った(した)ソウタ君が悪いんですよ」

 「え?悪いの、俺!?…ぐはっ」


 いきなり(・・・・)ソウタ君は吐血をしました。周りに血が飛び散りフードコートは大惨事。レイコもかなり驚いています。流石に吐血はグロいし、騒ぎになるのもあれなので助けてあげましょう。なんで吐血したのかは知らないけど。


 「ミソラは冷酷過ぎとちゃう?」

 「レイコには言われたくない」


 倒れたソウタ君に〈光〉属性の『回復の光(ヒールライト)』を使い治療していきます。ちゃんと使うのは初めてですが大丈夫ですよね?


 「ぐはっ…」


 吐血は止みませんでした。何がいけないのでしょう?心から治って欲しいって思ってないといけないとかでしょうか?


 「そこも問題があるけど、使う魔法間違えてるんやないか?」

 「あ…外の傷しか治せない魔法だった」

 「阿呆か!!何やってんねん!!」

 「ごめん、ごめん。『全てを治す光(オールキュアライト)』」


 今度こそソウタ君は全回復。転んだ傷も消えて何もなかった事に───


 「なる訳ないやろ!!このままソウタが死んでたらコウヤだって悲しむんやで!?あんたの大好きなコウヤが」

「え?大好きな?」

 「「あ」」


 間抜けな台詞がレイコと被ってしまいました。幸いコウヤ君は今も寝ていたので聞かれませんでした。というかこんな大騒ぎになってるのに起きないなんて逆にすごいですね。


 「な、何を口走ってるんですか!!」

 「やっぱりか…」

 「「え!?」」


 またも被ってしまいました。なんか意外な事が多すぎて開いた口が塞がりません。やっぱりってどういう事?


 「何となく見てたらそうかなぁーと思ってたからあんまり驚かないんだよね」


 明らかにソウタ君の目が泳いでます。確実に何か誤魔化していますが何を誤魔化しているのかは分からないので今は気にしなくて良いですね。


 「くれぐれもコウヤ君にはご内密に、さもないと…」


 ちょっと目を見開いて威嚇しておきます。


 「は、はい!!絶対にコウヤには言いません!!」

 「なんかデジャビュやな、この光景」


 その後、先生達が来て怒られました。勿論、正直に謝りましたよ。私が変な事をしたせいなので。正直者で素直な私にどきっとしてたりして───


 「…」ZZZ


 やっぱり、熟睡中ですね、あはは…はぁ。

 天法院美空、これからもコウヤ君を振り向かせるために頑張っていきます。

自分もこれからも頑張っていきます。

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