第26話 決勝戦
「よくもレイトを…許さねぇ、勝負だ、ガレン!!」
俺のキメ台詞に一瞬、ドキッとしただろ?しない?俺の中ではイケメン顔で言ったと思ったんだけどなー
「コウヤ君…」
ほら!!美空さんは分かってるよ。これ以上無い程惚れちゃってるよ。流石俺のイケメン顔、女子に効果抜群過ぎるね。
「大丈夫ですか…ガレンさんとっても強いですよ」
ただ心配してただけだった。自分が情けない。なんとか切り替えてやる気出さないと。
「確かにコウヤ君も強いですよ…でもコウヤ君が前、言ってくれましたよね?私に傷ついてほしくないって。私も同じなんです。私も…コウヤ君に傷ついてほしくないんです!!だから…」
「大丈夫ですよ。あんな奴一捻りですから」
相変わらず美空さんは優しいな。それに良く一ヶ月前…じゃない、数ヶ月前の事覚えてるな。
「随分舐められたものだな。だがおまえが威勢を張っていられるのも今の内だ」
ガレンが闘技場の中央で何か言ってる。うわー、ガレンから殺気が出てるよ。さっきの完全にナメプ発言だったから怒っちゃったか。
「おう、殺れるもんなら殺ってみな。正々堂々受けてたつ」
そう言って俺は闘技場に向かって行くと、
「コウヤ、あいつの戦い方全然知らんやろ?ウチが手短に教えるから良く聞いて───」
「あ、そういうのいいや。正々堂々って行っちゃったしな。そんな事聞かなくても勝てるし」
「そんな事っておまえなぁ、心配して言ってやってんのにそれはないやろ!?」
「安心して見てろって。あの解説者ぶってるチャラ男か何も言えないぐらい圧倒的に勝ってやるから」
遂に武演祭、男子個人戦決勝が幕を開けるのだった。
◆
『客席で高々と勝利宣言をした《掟やぶり》、《本当に黒 いどこの馬の骨かも知れない奴》の二つ名を持つコウヤ選手。はたして勝機はあるのでしょうか!?』
「『二つ名を持つ』じゃねーよ!!おまえが勝手に付けたんだろうが!!それと…勝機しかないから。負ける理由が分からない」
『コウヤ選手は正気ではないようです』
「全然面白くないから!!」
鋼也は突っ込んだ後、ため息をつきながらガレンの方を見る。ガレンはすでに真剣な目で剣を構えている。鋼也もカードをスキャナーに読み込み槍と盾を出した。
『準備は整いました!!3、2、1、バトルスタート!!』
「「「「「おぉぉぉぉぉ!!」」」」」
鋼也は飛び出しガレンは動かない。鋼也は違和感を抱いたものの気にせず槍を振るう。が、
「あまい」
ガレンは剣で鋼也の槍を受ける。衝突面から火花が散る。力任せで突破は出来ないとふんだ鋼也は一旦下がる。それを読んでいたガレンは下がった鋼也に剣を振るう。
しかし、斬ったのは鋼也の残像、鋼也は狙われる事を読みガレンの背後に回り込んでいた。
「喰らえ!!」
背後からの全力の一突きにガレンは無理な体制をしてまでかわした。鋼也は渾身の一撃をかわされガレンを睨む。
「今のは諦めて攻撃を受けるところだろ。無理して躱す程追い込まれても無いだろ?」
「貴様の力では一撃で死ぬと判断したまでだ。だから何だと言うのだ」
「おまえ…奴の手先だろ?」
「だとしたらなんとする」
鋼也はガレンを睨みながら突っ込み怒気を含めながら小声で呟く。
「おまえの化けの皮を剥いで倒す!!」
槍と剣で打ち合う。その一撃一撃は普通の人は見る事の出来ない速さである。今、二人は現状での本気だった。
「流石あの方が認めた人間。実力は本物だ。確かに化け物だな」
「誰が化け物だ!!」
鋼也は隙を突き、ガレンの肩を削った。ガレンも体をずらしたが避けるまでは至らなかった。するとガレンの体がぶれ始めた。
「おまえの方が俺なんかよりよっぽど化け物だろ?」
そしてガレンを黒いオーラが包み、その中から現れたのは黒い鎧と剣を装備した人型の竜───魔物だった。
「さあ、第2ラウンドだ」
鋼也は魔物に臆することなく突っ込んで言った。
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