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トライアングルフォース~都会と魔物とラブコメと~  作者: INONN
第2章 学園生活~幼なじみと好敵手と恋敵と~
26/83

第24話 チートと黒い影

週に2、3回も大変だったので更新スピードが下がると思いますがこれからも頑張りますので応援よろしくお願いします。

 どうも、天文字鋼也です。

 今、めっちゃ見たく無い物見ちまったよ。気分最悪。


 『決まったぁ!!勝者、《断罪の黒騎士ジャッチメントダークナイト》!!ガレン選手、余裕の一回戦突破だぁ!!』

 「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」


 そう、見たく無い物とはガレンの事だった。正確に言うとガレンの魔力(・・)だ。開会式の奴の魔力は普通の人間が持っているような物だった。

 しかし、今の試合で一瞬だけ俺の嫌いな、そして人間が持っている筈が無い魔力がガレンから出ていた。マジで嫌な予感しかしない。え?勿体ぶらないで速く正体教えろって?嫌だよ、面白く無いじゃん!!ガレンの正体を知りたいならこれからも『トライアングルフォース~都会と魔物とラブコメと~』をよろしく!!

 …話を戻そう。とにかく、そんな事があったから次が俺の試合だけどこのイケメン顔(笑)をしかめてまでガレンの事を考えていると、


 「コウヤ君?次はコウヤ君の試合ですよ。どうしたんですか?」


 心の中とは言えこんな馬鹿な事言ってる俺を心配してくれるなんて美空さん、優し過ぎる。女神過ぎる。


 「どうせガレンの試合が凄くてびびってんやろ。シャキッとせい、シャキッと!!そんなんじゃ優勝できへんで!!」


 それに引き換えレイコは何なん?勝手にエントリーしておいてよくこんな事言えるよな。


 「おまえは鬼か?」

 「ただの絶世の美少女ですけど何か文句でもあるんか?」


 何で恥ずかしげも無くそんな事言えんだよ!!マジで面倒くさいな、レイコは。


 「誰が面倒くさいやって!!」

 「ははーん、引っ掛かったな!!今、俺の()を読んだだろ?」

 「今更そんな事バレたところで…ああっ!!図ったな!!」

 「心を読んだ?やっぱりそうだったの?」

 「あ、いや、その、なんて言うかやな…み、ミソラ」


 あれ?親友じゃなかったの?親友に───タッグマッチで組む相手に隠し事してて良いのか?

 敢えて言わないで心の中で考える。


 「うるさいわ!!コウヤ!!黙っとき!!」

 「あれー僕ちん何も言ってないけど、何か聞こえたの?それとも…読めたの(・・・・)?」

 「ぐっ…そ、それ以上は…や、止めてくれやー!!」


 いやー人を弄るのは楽しいな!!俺って実はSっ気があったんだな。


 「レイコ、やっぱり人の心が読めるの?」

 「ミソラ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。嘘付くつもりはなかったんやけど…この事言ったらミソラがどう思うかって考えたら…言えなくて…」


 哀れなレイコよ、俺は何もフォローする気は無いが神妙な顔で見ててやる。さあ、泣いて謝るのだ、レイコよ。なんて偉そうな事考えていると、


 「うぅっ…うぅ…うわーん」


 普通に心読まれて第号泣だよ。まあ、そうなるだろうと思って考えていたけど。


 「もう良いからね。だから私にも教えてくれる?」

 「う、うん」

 「…これって回想の流れ?」

 「コウヤ君は黙ってて」


 ミソラさんがいつに無く冷たい。まあ良いや。回想どうぞ!!て言うかレイコの回想なのに俺がフリやって良いのかな?なんて悩むと、


 「ぐすっ…回想どうぞ」



 レイコは普通の魔物ハンターの家に産まれた。魔物ハンターの家に産まれたって時点で普通じゃないって突っ込みは無しとして。レイコの父親は一般的な力しか無く裕福とも貧乏ともい言えない普通な人だった。

 子どもが産まれた時、蛙の子は蛙だと思われていた。親の持つ力を子どもが受け継ぐ事は珠にあるが、親が持たない力を子どもが手に入れる事は殆どなかったからである。

 しかし、産まれてきた二人の姉弟は特殊だった。弟は派生属性を二つ得意属性として持って、隠れステータスの一つがトップクラスだった。姉は基本属性の一つが得意属性、そして弟をも上回る能力(スキル)、『心を見る眼(マインドアイ)』を授かっていた。『心を見る眼(マインドアイ)』は相手の考え、感情を視覚的に見る事ができる能力(スキル)───人が稀に持っていると言われる不思議な力───である。

 両親は自分の娘が能力(スキル)を授かったと喜んだ。レイコも子どもの時はよく分かっていなかったが親が喜んでいたので喜んでいた。

 しかし、心が読める、というのは良い事ばかりではなかった。友達(鋼也、ソウタを除く)はレイコに心を読まれると気味悪がり、レイコからその事を教えると能力(スキル)持ちだと軽蔑された。本来心を読んだところで何も言わなければ良いのだが不幸にもお喋りなレイコは言わずにはいられなかった。

 レイコは自分の能力(スキル)を何度も恨んだ。こんな力なんていらない。友達がいなくなってしまう力なんていらない。レイコは一人でいるとそんな事ばかり考えていた。

 そんな時、ある人から聞いた言葉がレイコの人生を変えた。


 「おまえの力は努力して手に入る物ではない。でも友達はおまえの努力次第でいくらでもできる。だろ?」


 この言葉を聞いた時、レイコは頭の中が透き通ったようにハッとした。

 自分は能力(スキル)を言い訳にして友達を作ろうとしていなかった。自分は逃げていたのだ、人に軽蔑される事から。


 「やっと分かったか」


 その人はニヤリと笑っていた。レイコにはその人がとても眩しく見えた。自分もその人のように眩しくなりたいと憧れた。

 それ以来、レイコは積極的に人と仲良くなる為に努力をした。性格が明るくなり、誰とも仲良くなれるムードメーカーになっていった。能力(スキル)の事を知っても仲良くしてくれる友達もできた。

 能力(スキル)はレイコにトラウマを与えたが、それ以上にレイコを強く成長させたのだった。



 「そんな事があったんだ…ごめんね、レイコ」


 あーあ、美空さんも泣いちゃったよ。これって端から見たら俺が泣かせたみたいになってね?


 「ううん、ミソラは悪くない。ウチが嘘ついてまで昔の事にこだわってたのが悪かったんや」

 「私もレイコの事知っても仲良くするよ」

 「ありがとう、ミソラ」


 何回か言ったけど俺、主人公だよね?主人公蔑ろにしてヒロインとイチャイチャするレイコ(友達キャラ)ってだめだろ?

 

 「コウヤァァァァー!!何やってんだ!!速くしろって…本当に何してんだよ!!」

 「あれ?ソウタ、おまえは解説と言う名の弄られ役じゃなかったっけ?」

 「その前におまえ何した!?レイコとミソラさん泣いてるけど!?」


 あ、そんな状況だった。説明するの怠いな、そうだ誤魔化そう!!


 「解説と言う名の弄られ役、おまえこそ何でここにいんの?」

 「弄られ役言うな!!コウヤがなかなか闘技場に出ないから直接呼びに来たんだよ!!」


 次、俺の試合だった。マジで忘れてた。


 「悪い悪い、回想してて忘れてたわ、あはははは~」

 「笑い事じゃねー!!速く行け!!」

 「分かった分かった、さっさと終わらせて来るよ。おまえも戻って弄られてろ」


 そう言って俺は颯爽と闘技場に行くのだった。



 『コウヤ選手が未だに現れません。びびって出てこれないのか!?そろそろ来ないとコウヤ選手の不戦敗になってしまうぞ!!』

 「すみませーん。遅れましたー。コウヤでーす」


 腑抜けた声と軽く小走りする程度の不真面目な態度で入り口から入る。


 『なんという緊張感の無い発言だぁ!!コウヤ選手、完全に嘗めている!!』

 「「「「「ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」」」」」

 『そしてこのブーイング!!初っぱなから完全にアウェイになってしまった!!』

 『これはコウヤ選手が遅れて来ただけが原因ではありませんね』

 『と言うと?』

 『コウヤ選手は女子と一緒にリア充のように観戦していたので非リア充が怒っているのでしょう』

 「リア充もげろ!!」「爆発しろ!!」「さっさと負けちまえ!!」「女いるからって調子のってんじゃねー!!」「この腐れ外道!!」


 ソウタが喋り終わると鋼也に一斉に野次が飛んできた。


 「ちょっと待て!!最後の野次は聞き覚えがあ───」

 『時間が押していますのでどんどん行きましょう!!初っぱなから遅刻して来たコウヤ選手と相対しますは《誇りの武士》、ノブマサ選手です!!』


 闘技場の鋼也の反対側にいたのは日本刀を持ち、兜と甲冑を着た男───ノブマサが物凄い殺気を出しながら鋼也を睨み付けていた。


 「武士たる我は無駄な殺生はせぬ。しかし、貴様は殺すべき相手のようだ」

 「え~俺、まだ死にたくない」

 「斬る!!」

 『それでは始めましょう!!3、2、1、バトルスタート!!』


 ノブマサは日本刀を、鋼也は槍と盾を構えて前に出た。ノブマサが鋼也に日本刀を振り上げ一閃。鋼也はその一撃は盾で防ぐ。その後もノブマサは連続で斬りつける。しかし、鋼也には傷一つ付かず、鋼也は反撃しようとしない。


 『コウヤ選手、防戦一方だぁ!!しかし、ダメージを全く受けていないようだ!!』

 『コウヤ選手は防御のステータスが1000ですからね。ダメージを与えるのはかなり難しいでしょう』

 『なんと!!コウヤ選手の防御が1000!!これはノブマサ選手、キツイ!!』

 「何!?防御が1000だと!?…だが、いつまでも守っていても勝てはしない」


 ノブマサは諦めずに鋼也の隙を探りながら攻撃をした。しかし、鋼也はわざと隙を見せてそこに攻撃を誘っている。誘った攻撃を防ぐのは簡単であるので鋼也は全くダメージを受けていないという技だった。


 「おまえ…ノブマサつったか?このままじゃおまえも勝てないだろ?だったら俺と一本、勝負しないか?」

 「勝負だと?」


 ノブマサは攻撃を続けながらも鋼也の申し出に耳を傾ける。流石に埒が明かないのでイライラしている。


 「ルールは簡単、スタート位置ぐらいまで下がってから3秒後に相手に逃げずに突っ込んでおまえの一閃と俺の突き、どちらが速いかを競う。そっちは俺に刀を当てたら勝ち、俺はおまえを倒せたら勝ち、攻撃が当たっても倒せなかったら負け、でどうだ?武士って言ったらそう言うの(・・・・・)だろ?」

 「…その勝負、受けた!!」

 「そう来なくっちゃ!!」


 鋼也、ノブマサ共に後ろに下がる。相手からは目を離さず武器を構える。鋼也は盾を捨てた。


 「「3、2、1!!」」


 合図と共に詰め寄る二人。先に仕掛けたのはノブマサ、刀の横払い。避けても避けきれない攻撃を放てば勝てる。そうふんだノブマサは横払いを使い、刃の先が鋼也に当たるはず(・・)だった。刃が鋼也に当たる時、鋼也の体をすり抜けた。今までノブマサが見ていた鋼也は残像だった。鋼也の残像は消え、ノブマサの胸に傷ができていた。鋼也は既にノブマサを貫いていた。


 「そ、そんな、馬鹿な…」


 ノブマサは驚きながら倒れていった。何故倒されたのかも分からずに。ノブマサが地面に倒れた時、鋼也は後ろを振り返り、


 「やったか!?」


 盛大なフラグを立てた。だが、そのフラグが関係無い程のダメージを負わせていた。実戦であれば即死だった。何せ正確にノブマサの心臓が貫いていたのだから、疑う余地も無い。勝負は鋼也の勝ちで終わった。


 『な、何が起きたのでしょうか…ノブマサ選手の横払いが決まったかと思われましたが、斬ったのは残像!!コウヤ選手の渾身の一突きがノブマサ選手を貫いていたぁ!!武演祭、第3戦目の勝者は《掟やぶり(フラグブレイカー)》、コウヤ選手!!今大会のダークホースの登場だぁ!!』

 「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」


 鋼也はまだ上向きに倒れているノブマサに手を差しのべた。ノブマサはその手を掴み、立ち上がった。


 「おまえ…あんな勝負しなくても勝てただろ?」

 「それじゃ面白くねーだろ!?このむさい大会に花を飾ろうと思ってな!!」

 「フッ、おまえって奴は…負けんなよ。武演祭終わったら正々堂々バトルしよう!!」

 「気が向いたらなー」


 腑抜けた返事をして、鋼也は帰っていった。



 「あ、コウヤ君!!格好良かったですよ!!流石コウヤ君!!」


 美空さんも相変わらずだな。最早褒め方が雑だし。でも、さっきまで泣いてたのが嘘みたいに笑顔で良かった。まだ泣いてたらどうしようかと…


 「何茶番劇やっとんねん!!コウヤなら瞬殺やろ!?あのくらいの相手。なーにが『このむさい大会に花を飾ろうと思ってな!!』や!!気持ち悪いわ!!」


 で、何なん?こいつ。ムカつくわ~!!

 よし、制裁だ!!


 「アガガガ…あ、頭、頭割れる~!!や~め~て~く~れ~!!」


 レイコの頭を拳骨でグリグリしてやった。俺は攻撃のステータスも1000だからな。お仕置きの威力も最強だ。


 「何様のつもりだ!!こちとら勝手にエントリーされてムカついてんだよ!!好きにしたって別に良いだろ!?勝ったんだし!!」

 「あ、頭が…ウチの美しい顔が…割れてまう」

 「もう一回殺られたいみたいだな。そんなにして欲しいならしょうがないからしてやろう」

 「ごめんなさい、調子にのってました」orz


 レイコは瞬時に土下座の体制に入って謝って来た。そんなに痛かったのか…あんまり力入れてなかったけど。

 

 「嘘や!!絶対嘘や!!」

 「だから人の心勝手に読んでんじゃねー!!」


 レイコの美しい顔(笑)を全力で殴り飛ばしてやった。さっきの野次の分まで。日頃の怨みの分まで。

 これで少しはストレス発散になったな。



 それじゃ、読者の皆、また今度!!

ガレンは一体何者なのか!?これがまた重要なキャラなんですよね~

質問、感想等々お待ちしてます。流石にゼロだと心が折れそうです。

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