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トライアングルフォース~都会と魔物とラブコメと~  作者: INONN
第2章 学園生活~幼なじみと好敵手と恋敵と~
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第23話 《武器破壊の双剣》

レイトの戦闘回です。


 「頑張れや、コウヤ!!出るからには優勝や!!優勝目指して突き進むんや!!」


 今日は武演祭初日、男子個人戦が行われる。スポーツ観戦やお祭り事が好きなレイコは燃えていた。


 「はいはい、できるかぎりはやりますよ~」


 相反して鋼也は目立つ事があまり好きではないのでテンションは低めだ。レイコの激励を軽く受け流す。


 「気合いが足りんで、気合いが!!そんなんじゃ優勝なんてできないで!!」

 「レイコ、いい加減ウザいからその熱血キャラやめてくんない?つーか勝手に人をエントリーさせておいていきなり優勝しろって何なんだよ!!ふざけんな!!」


 そう、レイコは鋼也に無断で鋼也のエントリーをしていた。しかも、その真実が告げられたのはつい先程である。出場どころか観戦にも興味がなかった鋼也にとって迷惑以外の何物でもなかった。


 「鋼也は人じゃ無いからええやろ?」

 「誰が人外だ!!タッグマッチの方は面白いから元々ソウタと出るつもりだったけど、個人戦とかむさいだけだからな?面白さの欠片も無い。いつでも見ようと思えば見れるしな。どうしてくれんだよ!!」

 「まあまあ、良いやないか。幼なじみやろ?」

 「幼なじみ特権で許されると思うなよ!!」


 幼なじみ二人、恒例の喧嘩に苦笑いしながら鋼也の腕に抱きついている美空も平常運行だ。


 「そう言えば、今日はソウタ君がいませんね。どうしたんでしょう?」


 美空がふと、疑問に思った事を聞いた。いつもなら一緒に学園に行くソウタの姿が見当たらなかったのである。


 「ソウタは別行動だって言ってましたよ」

 「別行動か…何をする気なんや、あいつ」

 「心配ですね」

 「ああ、ウチらがな。ソウタは何仕出かすか分かったもんや無いからな!!」

 「まあ、大したことはしないっしょ。武演祭なんだし」

 「だと良いんやけどなー」


 幼なじみを心配しないあたり実はソウタを信用している鋼也とレイコであった。



 『どーもー、武演祭の実況を勤めるマサミです。まもなく、武演祭開会式が始まります。まずはEHS学園長にして伝説の魔法使い、寿善治(コトブキゼンジ)学園長による武演祭開会宣言です』


 元気の良い高い声をスピーカーが増幅させて闘技場全体に響く。その後、闘技場のステージに白い髭を生やした老人───善治が現れた。

 

 『武演祭は己を磨き、敵を磨く伝統の試合である。出場する諸君らはこの日の為に日々鍛練を続けてきたのだろう。ならばその力、この《最高の魔術師(マスターマジシャン)》に見せて見よ!!そしてその手で勝利を掴み取れ!!』

 「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」


 善次の気迫のこもった言葉に闘技場の観客は盛り上がる。


 『続いて、学園ランキング1位、《断罪の黒騎士ジャッチメントダークナイト》ことガレン選手のお出ましだぁ!!』


 背中に竜の翼をあしらった全体的に黒い鎧を纏い、両刃のロングソードを持ったガレンが鎧の翼で飛びながら闘技場に現れ、炎を纏ったロングソードで横に一閃。炎の輪ができて爆発した。


 「俺こそが《断罪の黒騎士ジャッチメントダークナイト》、倒せるものなら倒してみろ!!」

 「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」

 『いきなりのガレン選手の宣戦布告に闘技場全体がヒートアップ!!盛り上がって参りましたぁ!!それでは盛り上がったところで、第1試合を開始します。解説には《格好良い射撃者(クールガンナー)》のソウタさんにお越しいただきました』

 『どうぞよろしく。て言うかその二つ名やめてくれる?もはや特徴無いって言ってるようなもんだから!!』

 『解説ありがとうございます。それでは、この調子で第1試合に行きましょう。先に登場したのは《双斧無双(チートダブルアックス)》ことロゲン選手です!!』


 闘技場に入って来たのは筋肉ムキムキで1メートル長の斧を2本持った大型の男だった。


 『無視しないで!!』

 「…何やってんだ?あいつ」


 実況と漫才紛いの話をしているソウタに鋼也は観客席で呆れていた。


 「別行動って解説をやる事だったんですね」

 「せやな…あ、レイトやん。あいつも出てたんか」


 ロゲンの反対側から来たのは双剣を持ったレイト。鎧等は着けず少しダルそうに立っている。


 『そして、ロゲン選手の対戦相手は《武器破壊の双剣(デュアルブレイカー)》のレイト選手だぁ!!体格差がかなりあり、双剣と斧では双剣の方が相性が悪い。レイト選手に勝機はあるのか!?』

 『勝負は相性だけで決まるものでもじゃ無いけどね。確かにレイトには相性が悪いが、それで終わらないのがレイトだ』

 『何を根拠に言っているかは分かりませんが盛り上がって行きましょう!!さあ、カウントが始まりました!!3、2、1、バトルスタート!!』

 「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」


 スタートと同時にロゲンとレイトは詰め寄る。

 

 「グハハ、このロゲン様の一撃を喰らい死ねる事、有り難く思うが良い!!」


 重量のある斧を片手では想像できないスピードで振る。レイトは一瞬驚くも素早くバックステップで避ける。


 「…っ、面倒くせぇな」


 レイトの避けた跡はへこみ所々割れていた。それを見たレイトは顔を歪める。


 「まだまだ残ってるぜ!!喰らえ!!」


 レイトの動きが止まり自分に怖じ気づいたと思い、勢いにのり続けて斧を降り下ろす。


 『両手に持った斧による怒濤の連続攻撃!!レイト選手はかろうじて避けているが重い斧を両手に持ってどうしてロゲン選手はあのスピードで斧を振る事ができるんだぁ!!』

 『あれは〈風〉属性の魔法『加速』ですね。体や武器のスピードを上げるのに良く使いますね。でもロゲン選手が使用してるのは『加速』の上位互角の『超加速』ですね。威力の高い斧との組み合わせは良いですね』

 『おぉっと!!レイト選手が隙を見て一撃を放ちましたが斧に弾かれてしまった!!』

 「くっ!!」

 「その程度の攻撃でこのロゲン様にダメージを与えられると思っているのか!!効かぬわ!!」


 意気がってるロゲンにレイトはさらに顔を歪める。


 「面倒くせぇ…が、仕方ねぇから見せてやるよ。俺の本気を」

 「何!?今更何をしたところで無駄だ。貴様の攻撃では大した攻撃にはならない!!諦「『炎焼剣』、『氷結剣』発動!!」


 ロゲンの言葉を遮って叫ぶとレイトの双剣の刃が炎と氷を纏う。レイトはそれを確認すると満足気に口を緩め地面を蹴る。相手の懐目掛けて突っ込む。そして炎と氷の双剣を振るう。目に見えない程の連続攻撃───ロゲンの攻撃よりも遥かに速い攻撃───によって防戦一方になってしまうロゲン。斧ですべて弾かれているが、それでもレイトは攻撃を続ける。


 『これはスゴい!!力自慢のロゲン選手が押されている!!ここでレイト選手の魔法についての解説をお願いします』

 『はい、レイトの───レイト選手の魔法は『魔装剣』の〈炎〉と〈氷〉属性ですね。武器に魔法の力を纏わせて威力を上げる魔法で武器のリーチも長くなる。魔法騎士には憧れの魔法ですね』

 『〈炎〉と〈氷〉!!それって両方とも派生属性じゃないですか!?』

 『レイトは適正に派生属性を二つ持つ珍しい奴なんですよ。それと、あいつが本領発揮するのはこれからですよ』


 レイトはまだ連続攻撃を続けている。単調な攻撃なのでロゲンは簡単に防いでいる。


 「ふん、そろそろ貴様の体力も限界だろう。諦めて俺の攻撃を喰らいあがれ!!」


 バックステップで一度後ろに下がりもう一度間合いを詰めるロゲン。そして斧を降り下ろす。相手は双剣、斧の威力を防げる訳は無い。ロゲンはそう確信していた。


 「…喰らわねーよ!!」


 その時、信じられない事が起こった。ロゲンが降り下ろした斧をレイトが双剣で受け止め、相手の勢いを利用してロゲンの斧を折った(・・・)


 『な、なんと!!ロゲン選手の斧が折られたぁ!!一体何が起こったのでしょうか!!』

 「まだ終わってねぇ!!うおぉぉぉぉ!!」


 斧が折れた事に動揺しながらももう1本の斧で攻撃する。しかし、それも意味をなさず、またも斧は双剣に折られる。


 「な、何故だ…何故俺の斧が…」

 「これで終わりだ!!」


 レイトは武器を持たないロゲンを容赦なく切り刻んだ。


 『勝者、レイト選手!!彼の二つ名にふさわしい戦いをしたレイト選手に大きな歓声を!!』

 「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」


 無様に倒れているロゲンを見下ろし、歓声を浴びてレイトは優越感に浸って口を再度緩める。


 『ソウタさん、解説をお願いします』

 『レイト選手は炎と氷の連続攻撃をする事で武器を破壊したのが大きかったですね』


 ソウタの解説があまりにも短くあっさりしていてマサミは座っていた椅子からずり落ちそうになる。

 『あのー、もうちょっと詳しくお願いします』

 『金属等は急激に熱した後に冷やすと脆くなります。レイト選手はその動作を『魔装剣』で高速で行っていたのです。レイト選手は隠れステータスと言われている『素早さ』がずば抜けていて、普通のステータスなら1000はいくぐらいですね。そのスピードで『魔装剣』を振るう事よって脆くなった斧は双剣の威力でも簡単に折れるという訳です。流石《武器破壊の双剣(デュアルブレイカー)》ですね』

 『ありがとうございます。その解説も流石《格好良い射撃者(クールガンナー)》でした!!』

 『いや、だからそれはやめて!!』


 その頃鋼也達は


 「レイトも強くなったな。あいつは昔から賢いからな」

 「本当に凄かったですね、レイトさん。剣撃も魔法も上手でしたし」

 「まあ、この10年必至に修行してたからやな」

 「ここまで来たら俺も頑張らないといけないな。やる気は出ないけど。誰かさんが勝手にエントリーしたからな!!」

 「誰やろうな~そんな事した奴。ウチは知らんな」


 目を反らしながらレイコは誤魔化した。


 「頑張って下さいね、コウヤ君!!私、応援してますから」


 美空は鋼也の手を握り、目をしっかりと見て言った。


 「はい、ありがとうございます。僕も頑張って見ます」


 そんなラブラブな光景に呆れながらもレイコは温かい目で二人を見ていた。

 (何で付き合わないんやろうか?お似合いのに勿体無いな。)

 レイコが内心でそう思いながら。

次回は鋼也の試合です。チートだからって簡単に終わるはずもなく…感想を頂けると嬉しいです。

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