第14話 お買い物デート2
どうも、天文字綱也でーす。
初めての連続俺視点です。主人公、俺だよね?なのに出番少ないってどうなってんだ、作者!!…あれ?何で皆怒ってんの?ああ、今回美空さん視点じゃないからか。フフフ、その様子だと美空さんに惚れてるな?だが、残念だったな!!美空さんはこの俺にベタ惚れなんだぐはぁっ───
すみません。調子に乗ってました。自重します。美空さんは皆のヒロインって事で許してください。お願い殴らないで。
ひとまずその話は置いといて。美空さんが俺の服探し───正しくは美空さんの俺を使ったお人形遊び───を二店目に突入するのをなんとか回避して美空さんの服選びに路線変更することができた俺は一息ついた。
しかし、本当にきついのはこれからだった。美空さんはさっき俺の服の時に止められた反動もあったのか二店目、三店目、…と片っ端から見ていって、さらに達の悪い事に試着するごとに俺に意見を聞いてくる。正直、ファッションに興味の無い俺としては何て答えたら良いかマジで困る。最初の方は「可愛い」の一言で済ませられたけど後になって俺が真面目に接してくれないと美空さんが拗ねてしまった。
「美空さんはどんな服を着ても可愛いし、拗ねてる顔も可愛いよ」
なんて甘い言葉を言えるメンタルがあればなんとかなるがそんなメンタル俺には無い。確かにどんな美空さんも可愛いのは真実だけど大勢の人の前で言うことは出来ない。こういう時の正解って何?マジで分からん。あっ…1つ閃いた。俺は急いで俺なりに良いと思う服を選んで拗ねてる美空さんに持っていって、
「これなんて美空さんにぴったりだと思うんですけど…どうですか?」
これならOKだろ?俺が美空さんをちゃんと見ているアピール。完璧だろ、この作戦…あれ?美空さんが浮かない顔してる…もしかしてミスったか?
「…コウヤ君?私の胸ってそんなに小さいですか?コウヤ君から見て」
え…どゆこと?何で美空さんは泣きそうな顔してこんなこと言ってんの?
「これ、胸のサイズAカップじゃないですか!!私、Dはあります!!コウヤ君は私よりも胸の大きい女性が好きなんですか?だから『おまえの胸なんてAカップと大差無い』ってことでこの服を持って来たんですよね?」
しまったァァァァ!!思いもよらない地雷踏んだァァァァ!!しかも、美空さんが大声で胸の話をしてきたから周りからの視線が痛い。ここが女性用の服屋で周りが殆ど女性だから余計に痛い。今度こそ一貫の終わりだァァァァ!!そこで俺は意識が離れて行った。
意識が戻った時、目の前に最近知り合った可愛い、けれども心配そうな顔があった。俺の頭の整理をしているとその顔───美空さんの顔が心配から喜びに変わった。と思ったら今度は怒ったように顔を膨らませた…あ、思い出した。でも、怒ってる美空さんも可愛いな、なんて考えてついにやけてしまうと
「何で笑ってるんですか?私、怒ってるんですけど…」
「すいません、それは分かってたんですけど…怒った顔も可愛くてつい…」
美空さんが顔を真っ赤にしてから自分が何を行ったか理解できた。やべっ、寝ぼけて口走っちまった。もうこうなったら自棄だっ、フッ遂にこの言葉を使う時が来た。
「バルス!!」
じゃなくて、
「目がァァァァ!!目がァァァァァァ!!」
でもなくて、
「美空さんはどんな服を着ても、どんな顔をしても可愛いですよ。む、胸だって僕の好きな位だし、さっきの服はそういう事良く考えないで持っていってしまって…すぐに美空さんの機嫌をなおしてもらいたくて…」
「…私の所為ですか?」
「いえ、そんなことはありません。元はと言えば僕の所為で…」
「コウヤ君はちゃんと私に接してくれていたんですね。それなのに私ったら…ごめんなさい!!」
「僕の方こそ、ごめんなさい!!」
「これでお互い様ですね。良いですか?」
「はい、僕も大丈夫です」
良かった…思ってもない展開だったけどなんとかなった。てゆうか、やっぱりあの言葉最強!!でも勢い余って余計なこと口走った気がするけどまあ、良いか。さっきまで気にしてなかったけど今の体勢って後頭部の柔らかい感触…視界を少し遮る壁…もしかして、膝枕!!自分の状態を理解して体温がどんどん上がっていく。美空さんがそれに気付くと
「コウヤ君?どうしました?」
「え、あの…い、今ってひ、膝枕!!どうして…?」
「もう、コウヤ君ったらそんなに驚かなくても。コウヤ君が気を失ってしまったので近くのベンチまで連れて来てひ、膝枕で様子を見ていたんです」
美空さんも恥ずかしくなったようだ。俺も恥ずかしくなってすぐに立ち上がった。その時美空さんが残念そうな顔をしたと思ったのは気の所為だろう。
「あの…1人で見に行きたいんですけど…良いですか?」
その後は雰囲気を悪くする事も無く買い物をしていたがしばらくしてから美空さんがそう言って来た。少し恥じらいがあるから、俺には見られたくない物を見たいんだろう…その気持ちが分からなくもないので俺は許した。
「じゃあ、フードコートで待ってるので何かあったら来てください」
「分かりました…それじゃあまた後で」
◆
こんにちは、天法院美空です。
私は今、その…下着を買いに行くところです。流石にコウヤ君と一緒に女性用の下着を見に行く訳にはいきませんからね。そう思っているといきなり暗い路地に腕を引っ張られました。
そこにいたのは、
「よう、姉ちゃん。美人さんだねぇ。俺達と遊ぼうぜ、へへ」
「おっ、本当に美人じゃねーか、いいよな?行こうぜ、楽しいぞ、ひひ」
明らかに柄の悪い男4人組でした。笑い方気持ち悪いし、嫌らしい目付きで見てきます。やっぱりコウヤ君の方が格好良いです。でも、どうしましょう。体だけは強そうな4人組の男から逃げるのは難しいですね。でも、こんな人達に捕まる気はしません。しかし、時間稼ぎぐらいはしないといけませんよね?そう思いカードケースに手を伸ばし、《光》の魔法カードを取出しカードスキャナーに付けた、そして呟きました
「───フラッシュボール」
そして私の手から黄色いボールが出ると目が眩むような光が出ました。
「クッ…魔法使いか」
「前が見えん」
「どうなってんだ」
「目がァァァァ!!目がァァァァァァ!!」
1人は確実にネタ分かってますね。今のうちに逃げましょう。しかし、復活した4人組はものすごい形相で追いかけて来て、また囲まれてしまいました。大丈夫ですよね?
「許さねー。こうなったら力ずくで…」
そう言って、武器を取出したので私も伝統の青水晶の杖を取出しました。《光》の魔法カードをもう使っているのでいつでも魔法を使えます。まだ多くは使えませんが。
「殺るぞ、テメェら!!」
4人同時に攻撃して来ようとすると
「待てよ。その人───美空さんには先約がいるんだよ、邪魔すんなテメェら!!それでも邪魔するなら…」
そこには黒髪に赤い目を持つ少年───コウヤ君がいました。
「邪魔するなら何だ?糞ガキ!!」
「邪魔するなら…この《白銀の槍騎士》が相手になるぜ、来いよ」
《白銀の槍騎士》?何のことでしょうか?
「何だと!?し、《白銀の槍騎士》だと!?ふざけんな!!そんな大物こんなとこにいる訳ない!!」
「じゃあ、これで信じるか?」
コウヤ君が持っていたのは、4角の星のネックレスもといカードスキャナーでした。相手に見せつけ威嚇しているように前後に振っています。
「まっ、まさか、トライアングルフォース!?」
「そうだ、目の前の敵全てを殲滅する冷酷なる刃、伝説級のスキャナー相手に勝算はあるのか?無いならさっさと消えろ!!」
「はっ、はいぃ~」
「すっ、すみませんでしたぁ~」
コウヤ君のスキャナーが怖かったのか腰を抜かして4人組は逃げていきました。マヌケですね。自分達から喧嘩うっといて逃げるなんて。
「コウヤ君、また助けられちゃいましたね。どれだけ私に恩返しして欲しいんですか?ふふふ…でも嬉しかったです。コウヤ君が私を守ってくれて。」
「美空さん?僕に助けられるの待ってませんでしたか?」
「フフフ、だって私を助ける格好良いコウヤ君を見たかったから」
「…美空さん、危ないので逃げれたら絶対に逃げてください。これだけはお願いです」
「分かりましたよ♪」
私はいつものようにコウヤ君の腕に抱きついて頬ずりしながら、コウヤ君はそんな私に顔を真っ赤にしながら帰りました。え?下着?忘れていたのは否定しませんが、この良い雰囲気を壊してまでする事ではありませんからね。でも、コウヤ君はとっても強いんですね。それを痛感させられました。壁はかなり高いですね。それでも、私はその壁を絶対に越えてコウヤ君を守って見せます。
…でも、そういう事以外にも恩返しした方がいいですかね?
次の更新は遅れるかもしれませんが引き続き、よろしくお願いします。