第13話 お買い物デート
こんにちは、天法院美空です。
私達は学園見学を終えてショッピングに向かっています。え?学園見学の内容ですか?そんなこと覚えていません。学園の施設の様子や場所、さらにはナオキ先生の説明等気にも止めませんでした。私が覚えているのは見上げる位置───コウヤ君の腕の横───で見たコウヤ君の顔と抱きついているコウヤ君の腕の暖かさだけです。私のスキンシップにあからさまな反応はしないものの何も言わず優しく受け止めてくれます。そんな優しいけどちょっとクールなコウヤ君───良いですね!!
さて、話は変わりますが私は今、MTポリスに来てから3つ目の巨大な建物の前にいます。
「ここがMTポリス最大の商業施設です。ここは日本のデパートのように何でも揃います。それに加えて魔法ハンターの関連商品を扱っているお店も多くあります。何処から見に行きますか?」
「生活に必要な物も見なくちゃいけませんが…」
私は意味ありげな笑みでコウヤ君を見ながら
「コウヤ君の服を見ませんか?コウヤ君の服は黒っぽい服しかなかったようなので、私が選んであげますよ」
「え゛…いや、今ある服で充分で───」
「問答無用です!!さあ、行きましょう!!」
そう言って、私はコウヤ君を引っ張って行きました。
◆
久しぶり!!主人公の天文字綱也だ!!
───なんてやってられるか!!こんちくしょう!!どうしてこんなことになったのかというと…
「うわ~コウヤ君!!凄く似合ってますよ!!」
普段は絶対に行かないような派手な洋服屋にいる俺は美空さんのおもちゃにされていた…表現は間違っていないだろう、美空さんが気に入った服を持ってきては着替えさせられその繰り返し…女性との買い物(主に服)は大変だと聞いたことはあったがこういう事ではなかった気がする…ちなみに、今俺はフードにフワフワが付いた青いパーカーを着させられている。
「これが1番良いですね!!これを買いましょう」
「…はい」
どうせ、今の俺に拒否権なんてないですよね…ハハハ
苦笑いしながらそのパーカーをレジに持っていって代金を払おうとすると
「あ、それくらい私が払いますよ。私の趣味ですし」
「でも、美空さん、お金持ってるんですか?」
とりあえず、美空さんの生活費プラスアルファはお金を払おうと俺は思ってたんだけど
「フフフ…私、これでも元お嬢様ですよ?バレない程度のお金は持って来ました、5000万ぐらい」
…そういえば、美空さんはお嬢様だったな。すっかり忘れてた。ん?待てよ…
「5000万?それがバレない額ですか?」
「はい、私の家、先祖代々大金持ちなんです」
そう言って胸を張る美空さん、俺はとんでもない人連れて来ちまった!!5000万がイタズラで持ち出せる程の家ってどんだけだよ!!
「とにかく、この服のお金は私が払います。これからお世話になる分恩返しをしたいんです。…コウヤ君に格好良くなって欲しいという私情があることは否定しませんが」
そこまで言うと美空さんは顔を真っ赤にした。
「じゃあ、お願いします」
「はい!!勿論です!!」
こうして、レジに向かった後、美空さんがそのパーカーを俺に着させてパーカーの上から俺の腕に抱きついてきた。そんな格好で次の店に足を運ぶのだった。
「もう少しコウヤ君の服を見ましょうかね!!」
「お願いします。もう勘弁してください」
そんな賑やかな会話をしながら。
糖分は足りましたか?




