第11話 美空のステータス
説明が分かりにくかったり、長かったりするかもしれませんが、説明回です。
こんにちは。天法院美空です。
私は強くなるために…いつかコウヤ君の助けになれるようになるために学園に入ることにしました。今日は入学の手続きに学園に訪れました。建物は外見だけでなく、中もとても広いです。これから迷わないか心配ですね。勿論、コウヤ君は迷う事なく事務所のような所に着きました。ドアを開けると応接室のような椅子と机があり、そこに眼鏡をかけた伸長は高いのに全体的に細い体の男性でした。優雅に紅茶を飲んでいます。その人はこちらに気付くと少し驚きながら
「おや、珍しいですね。コウヤ君ではありませんか、どうしましたか」
「実はいろいろと訳があってこちらの女性が向こうの世界で生きられなくなって、こっちで生きるためにこの学園に入りたいそうで、入学手続きをしに来ました。ナオキ先生」
その人もといナオキ先生は私を興味深そうに見つめて納得した表情になりました。
「貴女は向こうの世界の出身でしたか。なるほど、戦闘時のコウヤ君は格好いいですからね。それなら着いてきてしまっても仕方ないですね」
「それじゃ、普段の俺は魅力が無いみたいじゃないですか。それは自分の教え子に対して冷たいじゃありませんか?」
「だってしょうがないでしょう?貴方は服はいつも黒一色で、特に目立たず、学園にもろくに来ない…唯一と言って良い特徴は貴方の戦闘フォームぐらいですからね。こんな女の子と付き合えるのは第一印象がそれだから、ぐらいしか思い当たりません。」
「容赦無く人の心を抉って来ますね…まあとにかく彼女の入学手続きをお願いします」
それを聞くとナオキ先生は一瞬、つまらなそうな顔をしながら奥の部屋に行き、いろいろな物を持って来ました。
「まずは書類ですが…コウヤ君、やっておいて。どうせ、貴方の家に彼女も住んでいるのでしょう?では、よろしく」
「…はい、分かりました」
「次に貴女の…ああ、貴女名前は?」
「天法院美空です」
「美空さんね。では、美空さん、貴女のステータスを測りましょう。ステータスとはその人に備わっている能力の事です。さあ、この水晶に手をかざして」
私は言われるままに水晶に手をかざすと水晶は光り始め、その光りが収まると下からカードが4枚出てきました。1番上のカードを見ると───
天法院美空
HP 500
MP 10000
攻撃 300
防御 500
───と書かれていた。自分では良く分からなかったので質問をしようと一緒にカードを見ていたナオキ先生の顔を見ると
「……10000…MPが10000なんて、初めて見ました…」
かなり驚いていました。まあ確かに他の数値よりも桁違いにMPが高いですけど…そんなに変な事でしょうか?
「10000?見間違えではないですか?1000ぐらいならあってもおかしくないですか、10000は…あった…」
コウヤ君でさえも驚いています。
「10000ってそんなに変な数値なんですか?」
「…本来、人間のステータスの最高値は1000と言われていて、800から900でも一流…1000にまでなると超一流と言われるほどです…私はMPが1000、コウヤ君は攻撃、防御が1000ですが、実際に1000を越えるステータスを持っている者は現れなかった…今日までは」
「美空さんに大量のMPがあるのは分かっていたけどまさか、1000を越えるとは思っても見なかった…道理で魔物に襲われる訳だ…助けて正解でしたね」
2人が納得し始めたので残りの三枚のカードを見てみると───
《風》属性魔法カード 極 創造型
《水》属性魔法カード 極 創造型
《光》属性魔法カード 極 創造型
───と、それぞれのカードに書いてありました。ステータスカードとは少し違う感触です。でもこれまたコウヤ君とナオキ先生が頭を抱えました。
「この魔法カードって何ですか?」
「本来は他の武器と同じようにスキャナーに読み込んで使う物で、武器カードもそうですが職人によって作られます。しかし、稀にステータスカードを作った時に魔法カードが一緒に出ることがあります。その条件は使用者がその属性が得意属性であるというものです」
「じゃあ、その後に書いてある『極』とか『創造型』っていうのは何ですか?」
「魔法カードは威力や命中率、効果等の質を『下』、『中』、『上』、『超』、『極』の5段階で分けていて『極』は威力等の魔法の全てにおいて最高のものです。職人が作った物を買うなら1枚一億円は必要ですね。そして、魔法カードにはさらに種類があり、決まった魔法だけが使える『固定型』、複数の決まった魔法が使える『複数型』、そしていくらでも魔法が使えて、魔法を創造する事ができる『創造型』の3種類です」
「そして美空さんの『極』『創造型』は魔法カードの中でも最高ランクということです。しかも、それが3枚…3属性もあると…伝説級の魔法使いですね」
かなり凄いって事ですね…自分が伝説級の魔法使いだった事はちょっとショックですが、コウヤ君と一緒に戦いたい私としては朗報ですね。これからはこの力を使いこなせるようになる事が私の目標ですね。
これが後に《天空の白鳥》と呼ばれる魔法使いの最初の一歩だった。