4、ギルドの憂鬱
「しかし、どうするかね」
軽薄そうでなおかつにこやかに笑う穏やかなちょんまげをつけた穏やかな老人が周りに集まる幹部達に声をかける。その老人の名前は重正=工藤桜国におけるギルド王桜のギルドマスターである。
ギルドというのはひとまとめにいえば、傭兵斡旋と冒険者斡旋様々な商工ギルドや魔術ギルドなどと連携するいわゆる民間における討伐部隊もしくは採集斡旋所と言う風に考えて頂ければいい。勿論他の要素もあるのではあるが、それは他の機会に。ランク制もあり、また魔法の素養の検査もできる事でも知られている。最上位者として帝として呼ばれている異能者達もいるのではあるがそれはまたの機会に。
「できるならばあれほどの実力があるならば、将来を見越してギルドには登録させたいですな」
「弱い10にして炎帝と同等の実力を持ち、尚且つ姉や弟のように仲が良いと聞きます、彼女もまだ14で甘い部分もありますが、護るべき年下に越えられる危険があれば身を引き締めましょう」
「しかし、ガンマ君とシロガネさんがよしとしても越えなければならない案件がありますね」
幹部でも年若い青年の言葉に会議は少しの間沈黙がかかる。
「そうだなあ、うちの女将軍に至っては孫のように可愛がっているし、シロガネさんと魔王を討伐した英雄さんがたもなんだかんだ、ガンマ君を孫や息子のようにかわいがっているし、いくら強大な力をもっていても、影響ある方々がなあ」
工藤はふうとため息をつく。
「でもガンマ君ははやく登録したいといってます」
「下手にシロガネさんに頼んだら歴々の方と喧嘩はいりますよ?」
「……国が滅ぶな」
「ならばワシが後見人なら問題ないじゃろ」
突如現れた巨躯の金髪の老人に工藤は固まる。
「……なんで鬼の国から王自ら出ているんですか……シロガネさんの新友である[蛮族の王]テンペスト=オーガ様」
「懐かしい名前をいうてくれるな、工藤よ!共に戦地を駆け抜けた友に会いに来るのに理由はいるまい?」
金髪の髪から生える巨大な角をなでながら豪快に笑う。