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ぼっちだけど寂しくない!  作者: 木原ゆう
000 孤島篇
9/57

08 ようやく食事にありつけた!

 でだ。

 落ち着け、わたし。

 皆さんにもわたしの足元の状態をお見せして、と。


『落ち葉』『落ち葉』『落ち葉』『落ち葉』『落ち葉』『落ち葉』『落ち葉』『棒』『棒』『すごい棒』『長い棒』『棒』『短い棒』『棒っぽいなにか』『自己主張している棒』『棒』『棒』『よく燃えそうな棒』


 で、最初のほうで使ってた『長くて鋭い棒』を『ノーマルフィッシュの亡骸』の口にぶっ刺して。

 お尻まで突き抜けて、それを適当に組んだ木の棒の上に吊るす感じで……。


 うん! いいんじゃない?

 あとはこの落ち葉に火を点ければ……!


 ええと、ステータスを出して……。


《状態を確認しますか? はい/いいえ》


 仕方ない。

 どうしてもって言うんならいいよ。



NAME ミルク JOB 新米火術士ニューフレイマー

LV 1 HP 5/5 SP 7/7 『着火LV1』



 ……うん。

 なんか、ここまで来るのにすごい頑張った割にはちょっとショボいというか……。

 まあ、でもこんなもんか。

 なんたって『新米』だもんね。

 火が点けられるだけでもすごいことだと思うよ。

 うん。


 じゃあ、点けますよー。

 ええと、どうやればいいんだろう。

 あ、あれか。

 釣士アングラーになったときに『釣り』を使った感覚で心の中で念じれば――。


《ミルクは『着火LV1』を発動した!》


 ボウッ!


 おお!

 なんか指をパチンって鳴らして指先に火が点いた!

 ライターっぽい感じのちっちゃな火だけど!


 よしよし!

 これを落ち葉に近づけて……!


 メラメラメラ……。


 きた……!

 いい感じに火が広がってきた……!


 グ~~。キュルルゥ~~。

 もうあかん。

 お腹空きすぎて気絶しそう。

 

 パチ、パチパチ。

 あー、いい感じ。

 いいよ、その調子だよ。

 ちょっと裏返そうか。

 おお! 焼き色とかヤバいよこれ!

 ちょっと焦げ目ついてて、めちゃくちゃ美味しそう!


 あーあ。これで塩とかお醤油とかでもあればなぁ。

 でもまあ、わがまま言ってたらきりがないし。

 そのうち調味料とかも見つかるだろうし、確かそれ系のジョブもあったから自分で作れるようになるのかも知れないし。


 バチバチ。

 そろそろいいかな。

 ちょっと焼け具合を拝借……。


 うん! 焼けとるやん!

 じゃあこの細くて短い2本の棒を、お箸の代わりに使って、と……。


《細くて短い棒を2本装備しました》


 じゃあ……。

 いっただっきまーす!


 モグモグ。

 あちち!

 はふはふ。

 うわ、やらかっ!

 味はついてないけど、でも自然の味というか、悪くないじゃん!

 はふ、はふ。

 ふー、ふー。

 モグモグ。


 ……感激!

 なんか、生きてるって感じがする!

 やば、これ癖になりそう……!

 涙でてきた……!


 モグモグ。

 あ、この皮の部分もカリカリしてて美味しい。

 頭の部分は……さすがにちょっと抵抗あるから、残しちゃおう。


 ふいー。

 あっという間に完食しましたー。

 危ないから火は消しておこう。

 夜だけどこの洞窟の中とか別に寒くないし。


 ちょっと湿った感じの落ち葉を上にかけてっと。

 これでいいかな。

 ……よし、消えたね。完璧。


 はぁ……。

 マジで美味しかったぁ……。

 明日もまた釣ろうかな。

 別の魚とかも釣れるかもしれないし、レベル上げもついでに出来て一石二鳥だし。


 ちょっと横になるかー。

 寝ながら今後のこととか考えてみよう。



☆★☆



 ふむ。

 やっぱ暇だな。

 遊ぶ物も何もないし、このまま寝てもたぶん2時間後に目が覚める仕様になってるんだろうし。

 朝まで寝れる設定とかにも出来るんだろうけど、やり方を探すのが大変だし。


 うーん。

 まあ、明日も同じような感じでレベル上げをするのは確定として……。

 あとは色々なジョブを試してみて、ジョブレベルもあげてスキルを覚えていって。


 あー、それに装備か。

 強い武器とかあれば、もっと楽にレベル上げも出来るんだろうなぁ。

 防具もあれば、ダメージも減らせるだろうし。


 鍛冶系のジョブがあれば、もっといいのが作れるんだろうなぁ。

 でもジョブチェンジをするには、結局それなりのレベルが必要だし。

 武器もスキルがないと使えないから、その辺も検証してからじゃないと危なすぎるし。


 うーん。

 やっぱもうちょっと情報が欲しいな。

 仕方ない。

 嫌だけど横になりながらSNSでも覗くかぁ……。


 ええと、ほい。


----------

LULU【出られなくなってから初めての夜。君たちはどうお過ごしか。俺と話をしたければ『LULUsan@sky-mail』まで待ってるぜ】 19:03:52

ゲーム大好きっ子【バグを発見。昼間に誰かがが言ってたフリーズ箇所の近辺で見つけた。】 19:04:20

ぼうず【夜はモンスターの狂暴性が増すから気を付けないとね。】 19:05:05

ミッシェル【運営からはまだ連絡が来ないのか! いつまで待たせるんだ!】 19:05:45

クリル【運営から連絡が来ませんね。もう6時間以上経過しているのに、どうしたんでしょうか。】 19:06:20

キラ【絶対おかしいって。ログアウト不能状態が6時間以上も続くなんてありえないだろ。これどんだけ賠償額が跳ね上がるんだろうな。現在のログイン数でも4万以上いるっつうのに。】 19:08:30

ボケたばあさん【おい、マジで連絡こねぇんだけど。明日仕事どうすんだよ。店長にぶっ殺されたくないんだけど。】 19:08:59

ブブカ【『解析士アナライザー』って使えるよね。スキルの『解析』を覚えれば、レベルに応じて解析情報に幅が広がるし。手っ取り早く装備の強さを知りたかったら『解析』は必須だね。】 19:09:25

・・・・・・

----------



 ふーん。

 昼間みたときよりは荒れてないな。

 もう6時間も経過したし、そろそろ落ち着いてきたのかな。


 でもやっぱまだ出られないみたい。

 運営からの連絡をもらった人もいないみたいだし、これからどうなっちゃうのやら。

 明日お仕事がある人とか可哀想だよね。

 うちのお母さんとかは、まだ気づいていないんだろうな。

 部屋で昼寝をしながら、そのまま朝まで起きてこないとか思ってるんだろうし。


 夕ご飯のときだって部屋から出てこなかったら、お母さんはわたしに声をかけないようにしてるから。

 ……うん。

 無事に帰れたら、お母さんに謝ろう。

 いつも本当に甘えてばかりでごめんなさいって。

 そして就職活動をしよう。


 お母さんに、会いたい。

 お父さんに、会いたい。


 うん……。


 あ、なんか……眠くなってきちゃった。


 そしてわたしはいつの間にかまどろみの中へと――。


 

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