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ぼっちだけど寂しくない!  作者: 木原ゆう
000 孤島篇
6/57

05 釣りってやったことないけど面白いね!

 なにこれ!?

 多い!!

 ジョブ多すぎるよ!!


 うわ、眩暈がしてきた……。

 わたしの周囲の空間がジョブの文字だらけ……。

 ……。

 世の中には星の数ほどお仕事があるとは聞きますが。

 これはニートを貫いてきたわたしに対する嫌がらせなのでしょうか……。


 うん。まあいいや。

 悲観するのは現実世界に戻ってからにしておいて、と。

 どーれにしようかなー。

 これ、どれでも選べるのかな。

 とりあえず適当なのを選択してみようっと。


魔法戦士マジックウォーリアにジョブチェンジをするにはレベルが足りません》


 ……。

 まあまあまあ。

 こういうこともあるよね。

 そっかぁ。

 ジョブを変更するためにもレベルアップが必要なのね。

 うんうん、仕方ない。

 じゃあ別のにしよう。


姫騎士プリンセスナイトにジョブチェンジをするにはレベルが足りません》


 ……。

 ま、まあね。

 だって姫騎士だもんね。

 わたしのキャラに合ってないしね。

 ていうかわたしのレベルはまだ2しかないから、もっと弱そうなジョブにしないと駄目だよね。

 じゃあ、これは?


軽戦士ソルジャーにジョブチェンジをするにはレベルが足りません》


 ……。


弓絶士アーチャーにジョブチェンジをするにはレベルが足りません》


 ……。


新米剣士ニユーソードマンにジョブチェンジをするにはレベルが足りません》

新米弓士ニューシューターにジョブチェンジをするにはレベルが足りません》

新米闘士ニューファイターにジョブチェンジをするにはレベルが足りません》


 だあああああ!

 どれも駄目じゃんかよ!!

 新米シリーズでも駄目だったら、どれにもなれないだろ普通!!


 うー、悔しい……!

 もっとレベルを上げるしかないのかなぁ……。

 ……あ。でも『釣士アングラー』っていうジョブもあるんだね。

 ちょうど釣り道具作っちゃったとこだし、駄目元で――。


《ミルクは釣士アングラーにジョブチェンジした!》


 ……え?

 マジで!!

 ジョブチェンジ出来た……!!

 うっひょい!!


 ……まあ、待て。

 焦るんじゃないミルク。

 喜びは心の中にしまっておいて、とにかくステータスを確認するのよ。

 ええと、チョンチョンっと。


《状態を確認しますか? はい/いいえ》


 はい。お願いします。



NAME ミルク JOB 釣士アングラー

LV 1 HP 16/16 SP 10/10 『釣りLV1』



 うん。

 ……あれ?

 なんか色々変わってるし……。


 『JOB』の項目が増えたのは分かるんだけど、なぜにレベルが戻ってるの?

 あ、でもHPとかSPは前より高いな……。

 ……ん?

 『蹴り』が『釣り』に変わってるし。

 でもレベルは1になってるし……?


 ……分からん。

 説明書読まないとこうなりますねーっていう典型的なパターンだこれ。


 まあでも、とりあえずこれでさっきの釣り道具を拾って……。


《釣り竿を装備しました》


 ……おお。

 なんか、なんというか、釣れそうな気がしてきた……!

 やっぱ物事って形から入るべきなんだね!

 さっそく再挑戦してみよう!!

 ええと、この『決して大きくない蟹の亡骸』を針に指して……。


《決して大きくない蟹の亡骸を装備しました》

《釣り竿を置きました》


 ああっ! もう面倒臭い!

 分かったよ!

 地面に置きながらやればいいんだろ!

 全くもう……。


《決して大きくない蟹の亡骸を置きました》


 で、置いたまま釣り針に蟹ちゃんをぶっ刺して……。

 うん、よし。

 そんでもって釣り竿を装備して……。


《釣り竿を装備しました》


 で、あの湖にいる魚影に向かって投げればいいんだけど。

 今回はわたしは釣士アングラーになれたわけだから……。

 ええと、どうしたらいいんだろう。

 きっとあの『釣りLV1』ってやつを発動すればいいと思うんだけど――。


《ミルクは『釣りLV1』を発動した!》


 あ、勝手に発動した。

 そうか。心の中で発動したいって思えば大丈夫なのか。

 なんて親切設計。

 全部こういうのにしてくれたら助かるんだけど。


 じゃあ、行きますか。

 勢いをつけて釣り竿を構えて……!


 おりゃあああああああああああああああああああああああああ!!


 ポチャン。


 ……。


 クイッ、クイッ。


 お?

 なにこの、テクニシャン的な手首の動き。

 わたしの手が勝手に動いてるけど、これが『釣りLV1』の効果なのか。

 うわ、なんか釣りしてるっぽい!

 

 クイッ、クイクイッ。


 いいね、誘ってるね。

 ほら、魚ちゃん。美味しそうな蟹ちゃんが貴方を誘ってるよ。

 パクっとやっちゃいなよ。

 こんなに美味しそうな蟹ちゃん、なかなかいないよお兄さん。


 ツン、ツンツン。


 お、きてる……!

 これは、あれか!

 『アタリがキてる』とか、なんかそんな専門用語的表現ができそうな感じのやつか!


 もうお腹がペコペコなの!

 なんでもいいから釣れて!

 お願い!!


 ツンツン。

 ガブッ。

 ポチャン。


 きたああああああああああ!!

 全力で引っ張る!!!


 ビチビチビチ!!


 こ、これは大物だ……!

 でもわたしには『釣りLV1』の力があるのよ!

 負けない……!

 ミルク負けない……!!


《ミルクはノーマルフィッシュを釣り上げた!》


 よっしゃあああああああああああ!!

 ようやく!!

 ようやく、釣れた!!!


《ノーマルフィッシュが現れた!》


 ……。

 …………はい?

 あれ? まさかBGMが流れはじめたってことは――。


《ノーマルフィッシュの攻撃!》


 やっぱそうかああああああああああ!!

 どうして釣った魚と戦闘にならなきゃいかんのじゃあああああああああああ!!!

 いま大喜びしたばっかりだってのに、もうヤダこの仕様……!!


 そしてわたしはお魚ちゃんと戦う羽目になりました。




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