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ぼっちだけど寂しくない!  作者: 木原ゆう
003 最後も孤島篇
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エピローグ

「ん……。あれ……? ここは……」


 うっすらと目を開けると、そこはベッドの上でした。

 まず初めにわたしの目に映ったのはお父さんとお母さん。


胡桃くるみ……!」

「先生! 胡桃が……胡桃が目を覚ましました!」


 急に慌ただしくなった病室。

 周囲に目だけ向けると4人部屋みたい。

 他の3人の患者もわたしと同じように腕にいくつか管を通されて、呼吸器まで付けられてるし。


「胡桃……。分かる? お母さんよ?」


 お母さんがわたしの手を握って声をかけてきます。

 すごくあったかくて、ちょっとだけがさついたお母さんの手。

 わたしの大好きな、お母さんの手。


 慌てて病室を出ていったお父さんがお医者さんを無理矢理引っ張ってきました。

 そして寝たままのわたしを診察して、お医者さんは言います。


「……よし。特に異常は見られませんね。この呼吸器も外して大丈夫でしょう」


 その言葉についに涙したお父さん。

 ああ、そうか。

 自分が娘のために買ってきたゲームが原因でこうなっちゃったって思ってるんだね。

 わたしはそっともう片方の腕を伸ばして、お父さんの手を握ります。


「ああ、胡桃……! 本当にすまない……! お父さんがあんな変なゲームをお前にプレゼントしなければ……!」


 お父さんがわたしに泣きながら謝罪します。

 こういうお父さんだから、わたしは甘えちゃうんだね。

 お父さんもお母さんも、2人とも真面目すぎるんだな、きっと。


 わたしはぎゅっと2人の手を握り返して、そしてゆっくりと身を起こします。


 うーん。

 確かに身体が重いです。

 まあ当然だよね。

 1週間くらい寝たきりだったってことだもん。


 わたしが身を起こしたあと、次々と先生とか看護婦さんが慌ただしく動くのが見えました。

 たぶんわたしと同じようにあのゲームに取り残されたひとが目を覚ましているのでしょう。


 わたしは大きく伸びをします。

 さすがに寝るのが大好きなわたしも、1週間寝続けるっていうのは――。


 グ~。


 あ、お腹が鳴った。

 わたしは両親と目が合いました。

 そして2人とも泣きながら、それでも笑いました。


 ――わたしもそれに釣られて、笑っちゃった。



☆★☆



 いちおう1日だけ様子を見てそのまま入院しました。

 入院中に弁護士さんが面会にきて、わたしと両親に色々な説明をしていきました。


 どうしてこんな事態が起きてしまったのか。

 賠償金はいくらだとか。

 命を落としたひともいたみたいで、そういう話もちょっとだけ出てました。


 次の日。

 退院したわたしは久しぶりに自宅に戻りました。

 まだ足元が覚束なかったけど、2~3日で元に戻るそうです。


「お父さん、お母さん」


 自宅のテーブルを3人で囲い、ささやかな退院パーティの最中。

 わたしは2人に宣言しました。


 あのゲームで、わたしは確かに危険な目に遭いました。

 でもそれだけじゃなかった。

 なんて言えばいいのか、はっきりとは分からないけれど。

 わたしはあの世界で『自立』というのを学んだ気がします。


 わたしはゆっくりと2人の顔を見回して、こう言いました。



「――わたし、ちゃんと就職活動するね」




『ぼっちだけど寂しくない!』をお読みいただき有難う御座いました。

最後はちょっと駆け足でしたけど、完結できて満足しています!

久しぶりに書きたいものを書きたいように書けた気がします。

今後も色々と書いていきますので宜しくお願い致します!

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