46 ミルクちゃんを好きだって気持ち、よく分かるよ!
《現在のジョブでは『白鋼の大槍』を装備できません》
うん。
まあそうだよね。
分かってたけど、いちおうね、いちおう。
どうせジョブチェンジしても同じ結果は見えてるから、今回は検証しないでいいとして……。
さあ、最後の宝箱を回収しようか。
ここからの距離は……およそ2km。
また狂暴化したモンスターが襲ってくるかもしれないから、慎重に行こうね。
……と言っている間にも赤い点がウヨウヨしているのが見える……。
さっきまでは昼間の2倍くらいかな、とか思っていたけど、これは3倍……いや4倍くらいはいるな。
ここが森だからかな……。
洞窟近辺より明らかに多いよねこれ。
よーし。
あれだ。
弾幕系シューティングゲームをやるような感覚で見事に華麗に避け切ってやろう。
わたしの集中力をなめるなよ!
☆★☆
ふっふっふ……!
ふわーっはっはっは!
見事にすべて切り抜けてやった!
やればできるじゃんわたし!
ということで、岩壁前だね。
ええと、宝箱はここから南に8歩に、西に12歩か……。
……うわ、でもルート上にまたモンスターがいるやん……。
鬱陶しいからやっつけちゃおうか。
あ、でもちょっと待った。
ええと空間をタップして、と。
『恋し小石』『濃い目の小石』『小石』『乞いし小石『小石と思うなかれ』『石』『小さめの石』『石』
うん。
めっちゃ石が落ちてる。
さすがは岩壁周辺。
ということで、試してみる価値はあるよね。
……ていうか、まだこの距離だとモンスターの正体が分からないんだけど、ちゃんと当たるのかしら。
たぶんあの『なんちゃらロックンローラー』みたいな岩系のモンスターっぽい影が見えるけど、なにぶん深夜ですからね。
まあいいか。
とりあえずスキルを発動。
《ミルクは『恋し小石』を拾いあげ『投石LV2』を発動した!》
おおー。
石を拾って大きく振りかぶるモーションをして……。
ビュン!
…………ガンッ!!
《『恋し小石』が狂暴化したロックなロックンローラーにヒットした! 狂暴化したロックなロックンローラーに9のダメージ!》
やった!
ちゃんと当たるじゃん!
《狂暴化したロックなロックンローラーは『恋落ち状態』になった!》
…………は?
なに『恋落ち状態』って……。
状態異常のこと?
うわ、やっべ……!
こっちに近づいてきてる……!
早く次の投石を……!
《ミルクは『乞いし小石』を拾いあげ『投石LV2』を発動した!》
いっけええええええ!
ビュン!
…………ガンッ!!
《『乞いし小石』が狂暴化したロックなロックンローラーにヒットした! 狂暴化したロックなロックンローラーに10のダメージ!》
《狂暴化したロックなロックンローラーは『乞食状態』になった!》
…………は?
また状態異常……?
ていうか乞食状態って一体どんな状態やねん……。
《狂暴化したロックなロックンローラーが現れた!》
あ、とうとうエンカウントになっちゃった。
この距離だとエンカウントまでに2回は投石で相手の体力を削れるのか……。
もっと遠くからだと3回とか4回とかも可能なのかな。
あとは、この謎の『状態異常』なんだけど……。
《狂暴化したロックなロックンローラーの攻撃! 狂暴化したロックなロックンローラーは金を恵んでもらおうと必死の眼差しで手を伸ばした!》
うわ、考えごとしてたら先制された……!
ていうかこれって『乞食状態』だからってことか……?
《しかし狂暴化したロックなロックンローラーはその手を止め思い悩む! 好きな相手に金を恵んでもらおうなどと考えた自分が情けないと! そして彼が出した答え……それは!》
……。
…………なにこれ。
《狂暴化したロックなロックンローラーは自爆した! 狂暴化したロックなロックンローラーは消滅した!》
……。
…………なにこの茶番劇。
《ミルクは『投石』がLV3に上昇した》
《ロックなロックンローラーの亡骸を手に入れた》
……うん。
まあ倒せたからいいんだけど。
とりあえず宝箱を開けてから考えるか。
~1分後~
《ミルクは隠しアイテムを発見した》
さーて、中身はなにかなー?
《白鋼の大太刀を手に入れた》
おー!
こんどは刀だ!
これでこの孤島にある隠しアイテムは『白鋼の両斧』『白鋼の大剣』『白鋼の大槍』『白鋼の大太刀』の4つってことだね。
ふーん。白鋼シリーズかぁ。
どれくらいのレベルになったら装備できるようになるのかな。
白鋼の両斧とか、攻撃力が軽く1000を超えてたもんね。
レベル100とかにならないと使えないとか、それぐらいのことを言われても納得しちゃうよね。
まあいいや。
とにかく今夜のノルマは達成したことだし、夜遊びミルクちゃんは終了しましょう。
で、洞窟に帰ったら愛しのオフトゥン神様と愛の語らいをしながら寝て。
朝起きたら解析先生に『投石』スキルのことを詳しく教えてもらって、今夜のことをメモに記録して……。
……。
その前にここら辺に落ちてる小石を片っ端から回収しておこう。
便利だもんね、投石攻撃。
再び採集士にジョブチェンジをしたわたしは、持ち物リストが小石だらけになるくらいに、片っ端から石を集めだしたのでした。




