44 びっくりしすぎて、ちびる寸前だった!
むにゃむにゃ……。
にゃむにゃむ……。
オフトゥン……。
オフトゥン神様……。
……ふにゃ?
ん……んん……。
あー、よく寝たー。
めっちゃ、めっちゃ、ぐっすり眠れたー。
やっぱお布団は最高だよね。
ふわあぁぁ……。
……あれ?
まだ真っ暗だな……。
あ、そうか。
お布団と枕を作って、そのまま速攻で昼寝しちゃったんだっけ……。
ええと、今の時刻は…………深夜0時だね。
グ~。
あ、お腹が鳴った。
そうだよ、お昼も食べずに昼寝しちゃったんだよ、わたし。
そりゃお腹空くね。
うーん、何か食材が余ってたっけ。
《ジョブを解除しますか(※現在は『洋裁士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
《ジョブを選択してください》
《ミルクは採集士にジョブチェンジした!》
《持ち物を確認しますか? はい/いいえ》
【持ち物リスト】
〇モンスターの亡骸
〇アイテムの破片
〇武器
〇食材
〇素材
〇服飾
うーん。
寝起きだからお魚じゃなくてお野菜か果物にしよう。
じゃあ『食材』で。
【食材】
美味しそうなニンジン
怪しいキノコ
干からびた長ネギ
挑戦ニンジン
ブルーベリーの果実
元気が出るリンゴ
甘い、甘すぎるバナナ
兎将軍の肉
ミニワニの肉
ダックスフンドダッグの肉
ビーズの悪魔の肉
うわぁ……。
やっぱ『解剖』スキルで作成された『〇〇の肉』って食材扱いだったんだ……。
……。
ていうか、普通は『モンスターの亡骸』を『解剖』してから『肉』にして、食材カテゴリーになってから食べるものなのかな。
わたし普通にお魚とか、亡骸状態でそのまま焼いて喰ってたけど……。
……確かになんか、食べ終わったときに口の中がシャリシャリしたり、明らかに食べられないくらい大きな破片? みたいなのが口から出てきたリしてたっけ。
……うん。
あれ、きっと肉以外の『〇〇の素材①』とか、そんなのだったんじゃないかな……。
……大丈夫か?
わたしのお腹……。
グ~。
あ、大丈夫みたい。
とりあえずバナナでも喰って嫌な過去は忘れよう。
《甘い、甘すぎるバナナを装備しました》
むきむき。
いっただっきまーす。
モグモグ。
……あ、甘ーい!
甘いっていうか、甘すぎ!
うっわ、一気に目が覚めた……!
ていうか、甘すぎてめっちゃ喉が渇く……。
《ジョブを解除しますか(※現在は『採集士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
《ミルクは『湧水LV2』を発動した!》
ゴクゴク。
……ぷはー!
あー、喰った喰った。
けっこう食べ応えあったね、このバナナ。
余は満足じゃ。
うーん……。
でも深夜なのに目が覚めちゃったなぁ。
どうしよう。
いちおう、残りの隠し宝箱は2つだよね。
今のところ手に入れたのは『白鋼の両斧』と『白鋼の大剣』の2つだから、残りの2つも白鋼シリーズの武器なのかな。
どっちも今のジョブじゃ装備できなかったし、他のもそうだとマジで宝の持ち腐れ状態だよねー。
……あ、そうだ。
解析先生に聞いてみればいいや。
寝たからSPも回復してるからね。
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
《ジョブを選択してください》
《ミルクは解析士にジョブチェンジした!》
うーん。
どっちにしようかな。
1回しか使えないけど……まあどっちでもいいか。
じゃあ、解析先生ー。
お願いしまーす。
《ミルクは『白鋼の両斧』を解析した!》
【白鋼の両斧】
攻撃力 1200
耐久力 100/100
付加効果 対植物[攻撃力+520] 対獣[攻撃力+150]
属性効果 雷強化[B] 土強化[C+]
鍛冶効果 なし
幻獣効果 なし
合成回数 0回
EX
白鋼を加工して作った両刃の斧。
かなりの重さゆえ使い手を選ぶ。
ただし切れ味は本物。
……。
…………。
こしこし……。
あれ、わたし目が悪くなったかな……。
ハハ、困ったな。
攻撃力の数字が『1200』って見えちゃうなんて。
駄目だよ、ミルク。
ゲームばっかりやってるから目が悪くなるんだよ。
……。
…………。
………………!!!!
せんににゃくっ!?!?
1200じゃんマジでっ!?!?
え? なにそれ……!?
なんでそんなに強い武器がこんな孤島に隠されてんの……!?
いや、落ち着こう。
もしかしたらわたし、本当にまだ目が覚めてないのかもしれない。
『実は夢でしたー!』みたいなオチってよくあるし……。
……。
ぎゅー。
痛い! ほっぺ痛い!
夢じゃない……これ夢じゃない……!
すー、はー。すー、はー。
…………ふぅ。
あー、驚いた。
ミルクちゃん、おしっこちびる寸前だった。
でもまあ、隠しアイテムだもんね。
この孤島の地図を完成させるのも相当苦労したし、今はまだ装備できないんだから慌てたって仕様がないしね。
とりあえず、この前のブーメランのような失敗を二度としないためにも、どこかにそーっと隠しておいた方がいいかもね。
持ってたら無くしちゃうかもしれないし……。
……ていうか、あまりにも驚いちゃってスルーしてたけど。
解析先生によると『付加効果』と『属性効果』も最初からついてるね、この斧。
『対植物[攻撃力+520]』ってことは、斧自体の攻撃力が1200だから……。
あれか。
植物っぽいモンスターに対してだけ1200+520の攻撃力でダメージを与えられるってことかな。
『対獣[攻撃力+150]』だと、獣っぽいモンスターに1200+150か。
ふーん。
付加効果って特定のモンスターに対しての攻撃力を上昇させるって意味なのかしら。
それとも他にもいろいろな付加効果があるのかな。
……まあ、分かんないよね。
説明書読んでないから。
その辺はまた暇なときに解析先生に頼むとして。
この『属性効果』も分からんチンだよね。
『雷強化[B]』……『土強化[C+]』……。
うん。
なんのこっちゃさっぱりや……。
まあ、これも今は関係なさそうだしスルーしておこう。
よし!
なんか急にやる気が出てきたから、深夜の徘徊に出向くとしようか!
今までは深夜に出歩かないようにしてたけど、ちゃんと注意して探索すれば大丈夫だと思うし。
外は暗いからちゃんと『松明』を作って持っていって。
もしもの時のためにノーマルミルクちゃんで探索して、地図スキルを使ってモンスターの位置を常に把握しておいて。
うん。絶対大丈夫。
この前の遺跡のときのようなヘマはしない。
……でも怖いから、いちおうこの『白鋼の両斧』と『白鋼の大剣』だけは洞窟に隠しておこう。
緊急回避の『離脱』を使ったら、持ち物リストの中のアイテムが全部消滅しちゃうからね。
深夜にテンションが上がってしまったわたしは、夜間徘徊という不良行為にワクワクしてしまったのでした。




