41 もう二度とトランポリンなんて見たくもない!
……。
…………。
えい。
《ミルクはワープトランポリンの罠を踏んだ!》
あ、本当にトランポリンみたい。
ボインボイーンって感じで体育の授業とかで乗ったことがあるやつ。
でもワープするのに、何故にトランポリン?
カチリ。
《ワープトランポリンが発動した!》
ヒュッ――。
……ひえっ?
ビューーーーーーーーーーーーーン!!
おんぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!
なんじゃこりゃあああああああああああああああああああああああああ!?
高い高い高い高いいいいいいいぃぃぃぃ!
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬううぅぅぅぅぅぅぅ!!
…………ヒューーーーーーーーーン。
落ちる死ぬ落ちる死ぬ落ちる死ぬーーーーー!
やめてええええええええええええ!!
シュタッ!
びよーん、びよーん、びよーん。
……。
い、生きてる……。
何なのよこれ……。
あ、駄目だ。
腰抜けちゃった。
腰抜けたままトランポリンの上でびよーんびよーんなってる。
カツン!
いてっ!!
端っこの枠のところにケツを打った!
割れる! 2つに割れる……!
~2分後~
はぁ……。
もうなんか一気に疲れが……。
あれワープっていうか、空を飛んでいっただけじゃん……。
聞いてないよそんなの……。
でもまあ、ちゃんと遺跡近くのワープトランポリンまで移動できたよね。
もう二度と踏むまい、この罠は。
じゃあ気を取り直して、と。
確かこの近くに隠し宝箱が――。
《ダックスフンドダッグが現れた!》
あ、やべ。
戦闘になっちゃった。
……。
ダックスフンド?
ダッグ?
どっち?
《ダックスフンドダッグの攻撃! ミルクは8のダメージを受けた!》
あー、はいはい。
分かったよもう……。
ええと、今は罠嵌士だったから攻撃とかできなかったよね。
じゃあジョブチェンジを……。
グキッ!
いてっ!!
いま足首がグキって……!
《ミルクは小石を踏んづけた! ミルクは『捻挫状態』になった!》
捻挫かよっ!!
化膿とか捻挫とか、現実的な状態異常ばっかりだな!
《『捻挫』のダメージ! ミルクは1のダメージを受けた!》
ああもう!
こんなところに石があるからいけないんじゃん!
あれか!
結構前に『叩き』のレベルを上げたくて小石をさんざんぶっ壊したから、小石さんの呪いってか!
知らんわ!
どこかに行ってしまえ!
《ミルクの投石攻撃! ダックスフンドダッグに12のダメージ!》
……へ?
石を投げて攻撃した……?
《ダックスフンドダッグの攻撃! ミルクは6のダメージを受けた!》
《『捻挫』のダメージ! ミルクは1のダメージを受けた!》
《自然治癒により『捻挫状態』から回復しました》
捻挫治るの早いな!
どんな自然治癒能力持ってるんだよ、わたしは!
まあいいや。
回復したのなら儲けもんだよね。
とりあえずわたしのターンだから、もう一度足元に転がってる別の小石を拾って……。
えい。
《ミルクの投石攻撃! ダックスフンドダッグに13のダメージ! ダックスフンドダッグは消滅した!》
お、倒した。
ていうか、新しい攻撃スキルだよねこれって。
小石さん……。
貴方は一族をなぶり殺しにしたわたしにこんな恩恵を授けてくれるなんて……。
ありがとう。
貴方のことは一生忘れない。
さっきまで忘れてたけど。
《ミルクは『罠嵌士』がLV2に上昇した》
《『投石』がLV2に上昇した》
《ダックスフンドダッグの亡骸を手に入れた》
はいはーい。
じゃあさっそく確認してみようか。
《状態を確認しますか? はい/いいえ》
NAME ミルク JOB 罠嵌士
LV 2 HP 60/60 SP 0/0 『罠作成LV1』『罠解明LV1』『投石LV2』
ふーん。
やっぱSPが上がらない感じなのかな、罠嵌士って。
ということは『投石』スキルはSPを消費しない攻撃スキルってことだよね。
レベルが2になったから、ノーマルでも使えるか確認しておくか。
《ジョブを解除しますか(※現在は『罠嵌士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
《状態を確認しますか? はい/いいえ》
NAME ミルク
LV 8 HP 61/61 SP 22/42 『蹴りLV5』『釣りLV3』『突きLV6』『叩きLV14』『湧水LV2』『着火LV2』『ブーメランLV3』『剣LV14』『地図LV3』『投石LV2』
うん。
やっぱ覚えてるね。
これだと他のジョブでも『投石』を使える可能性があるから、戦略に幅が広がったね。
ええと、今のところ覚えた攻撃スキルは……。
SPを1消費する『突き』。
SPを消費しない『蹴り』『叩き』『剣』『投石』。
あれ? ブーメランってどっちだったっけ。
あのときは嬉しさのあまりに焦ってたから、まったく検証してなかったよね(遠い目)……。
あとは剣士系の専用攻撃スキルっぽい『スラッシュ』とか、それくらいだったかな。
『痺れ攻撃』は状態異常攻撃だから別のカテゴリーだよね、たぶん。
よし。
過去のことは忘れると決めたはずよ、ミルク。
もう何度も思い出してはため息を吐いているけれど。
とにかく隠し宝箱を開けよう。
話はそれからだ。




