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ぼっちだけど寂しくない!  作者: 木原ゆう
002 それでも孤島篇
43/57

40 昔はよく落とし穴とか作って遊んだよね!

 うーんと。

 左下に表示されてる走行距離は『721.32m』。

 地図上では目の前に『✖』の表記があるんだけど、目視ではなにも発見できません。


 ……。

 これ明らかに罠っぽくね?

 自ら罠だと思ってそれに引っ掛かってたら、わたし馬鹿じゃん……。

 このままスルーするか。


 ……あ、でもこれが本当に罠の表記なんだとしたら、あの遺跡を探索するときにすごく便利だよね。

 いつかは再挑戦したいと思ってるんだけど、どうしよう。


 踏むか、踏むまいか。


 うーん…………悩む。

 さすがにここは遺跡じゃないから『落とし穴』ってことはないだろうけど、急にモンスターに囲まれたりとかしたら嫌だし……。

 どないしよ。


 ……。

 …………。

 あ。閃いちゃった!

 アイテムを置けばいいんじゃん、ここに。

 それで罠を発動させて……。


 いやでも、モンスターに囲まれたら意味がないか。

 じゃあ遠くからアイテムを投げる?


 いやいや、投げたらアイテムが消滅しちゃう仕様じゃん、このゲーム。

 えー? じゃあどうすんの?

 やっぱ怖いからスルーする?


 ……。

 いや、違う。

 ジョブだ、ジョブ。

 なんかそんな感じのがあった。


《ジョブを解除しますか(※現在は『地図士マップメイカー』です) はい/いいえ》

《ジョブを解除しました》

《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》

《ジョブを選択してください》


 ええとね、たしかこの辺に……。

 ……。

 うん、これだったかな。


《ミルクは罠嵌士スネイルにジョブチェンジした!》


 おお! ジョブチェンジできるし!

 いやー、これで何個目だろう。

 さっそくステータスを見てみましょうか。


《状態を確認しますか? はい/いいえ》



NAME ミルク JOB 罠嵌士スネイル

LV 1 HP 48/48 SP 0/0 『罠作成LV1』『罠解明LV1』



 おー、やっぱこれだね。

 でもSPが0かぁ……。

 攻撃スキルも今のところ何も使えないし、罠専門って感じだね。


 『罠作成』ってことは罠が作れるってことだよね。

 でも作ってどうするんだろう。

 モンスターとかを生け捕りにするってことかな。

 ……分からん。


 でもまあ、この『罠解明』のほうを使ってみるか。

 じゃあちょっとあの『✖』から10歩くらい離れて……。


《ミルクは『罠解明LV1』を発動した!》


 ボンッ!

 うわっ! びっくりした!

 え? なに『ボンッ!』て。


 ……うん?

 なんか『✖』のところに変なのが出てきたけど……。

 でもとりあえずモンスターじゃないみたい。

 なんだろう、あれ。


《罠の正体は『ワープトランポリン』だった!》


 ……。

 はい?

 ……。

 …………。


 うん。

 もう訳わからんから、解析先生お願いします。


《ジョブを解除しますか(※現在は『罠嵌士スネイル』です) はい/いいえ》

《ジョブを解除しました》

《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》

《ジョブを選択してください》

《ミルクは解析士アナライザーにジョブチェンジした!》


 もういい加減、解析士のレベルを上げたいよね。

 SPが1しかないから1回しか使えないのが痛い。


《ミルクは『ワープトランポリン』を解析した!》



【ワープトランポリン】

数ある罠の一種。

罠にかかると別の場所にある一番近いワープトランポリンに瞬間移動する。

モンスターに囲まれたときなどは緊急回避にも使える。



 へー。

 瞬間移動しちゃう罠でも、使い道を知っておけば有効活用できるってことか。

 『別の場所にある一番近いワープトランポリン』に移動するってことは……。


《ジョブを解除しますか(※現在は『解析士アナライザー』です) はい/いいえ》

《ジョブを解除しました》

《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》

《ジョブを選択してください》

《ミルクは地図士マップメイカーにジョブチェンジした!》


 で、地図を縮小させて……。

 うん。

 この孤島に全部で5ヵ所『✖』があるけど、そのうちのどれかが『ワープトランポリン』だったら、一番近い場所に瞬間移動できるってことだよね。


 これってその場所に向かわないでも、地図を見ながら『罠解明』のスキルとか使えないのかな。

 それが出来れば楽なんだけど……。


 ええと、どうしたらいいんだろう。

 地図士じゃ『罠解明』が使えない……。

 罠嵌士じゃ『地図』が使えない……。

 じゃあレベルを2以上に上げてノーマルでスキルが使えるようにしないと駄目?


 でも『罠解明』が固有ジョブ専用スキルだったら結局ノーマルでも使えないし……。

 むむむ……。


 解析先生に頼もうにも、一旦洞窟で寝てからSPを回復させないといけないし……。

 むむむ……。


 ホント面倒くさいな! このゲームの仕様!!


 ……。

 あとは可能性があるとすれば……。


《ジョブを解除しますか(※現在は『地図士マップメイカー』です) はい/いいえ》

《ジョブを解除しました》


 で、ノーマル状態で『地図』スキルを発動して……。


《ミルクは『地図LV3』を発動した!》


 これでSPを20も消費しちゃったんだけど、通常はジョブチェンジをしたら効果が消えるけど……。


《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》

《ジョブを選択してください》

《ミルクは罠嵌士スネイルにジョブチェンジした!》


 あ! いけた!

 罠嵌士にジョブチェンジしても、ちゃんと地図が表記されたままになっとる!

 で、地図を見ながら解明させたい『✖』に意識を集中させて……。


《ミルクは『罠解明LV1』を発動した!》

《罠の正体は『モンスタートラップ』だった!》


 ほらね!

 ミルクちゃん、天才!

 忘れないうちにメモしておこう、メモ!


 ええと、次は何番だ……?


 ⑫ノーマル状態で使用するスキルはジョブを変更すると効果を消失するが、例外も存在する(例:ノーマル状態で『地図』スキルを使用後、罠嵌士スネイルにジョブチェンジをしても『地図』の効果は継続)


 よーし、OK。

 じゃあ残りの3つの罠も解明しちゃおうかね。


《ミルクは『罠解明LV1』を発動した!》

《罠の正体は『ドクドクケムリ』だった!》


《ミルクは『罠解明LV1』を発動した!》

《罠の正体は『ワープトランポリン』だった!》


《ミルクは『罠解明LV1』を発動した!》

《罠の正体は『ハダカトラップ』だった!》


 ……うん。

 なんかいかがわしいトラップみたいなのもあるみたいだけど、解析先生はお休み中なので調べようがありません。

 

 でだ。

 『ワープトランポリン』がこの島にもう一個あるってことは、目の前のこれに乗ったら、そこに瞬間移動をするってことだよね。

 場所はこことは反対方向にある遺跡の近くだね。


 どうしようか。

 ……とりあえず乗ってみる?


 生唾を飲み込んだわたしは意を決し、硬い表情のままおもむろに右足を上げたのでした。




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