38 服つくるのって、楽しい!
……。
…………。
チャリチャリ。
……。
…………うん。
なにこの卑猥なビキニ……。
ほとんど隠れてないじゃん……。
……。
着れるか、こんなもん!
《ミルクは貝殻ビキニを投げ捨てた!》
あー、さっぱりした。
ああいうのは男を呼び寄せるリア充の女どもが着ればいい。
まあ試着しただけでも良しとしよう。
さ、服を着て残りの検証をしちゃいましょうかね。
問題なのは、このモンスターの素材の①とか②とかだよね。
ええと、もう一度持ち物リストを確認してみようか。
《ジョブを解除しますか(※現在は『洋裁士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
《ジョブを選択してください》
《ミルクは採集士にジョブチェンジした!》
で、持ち物リストから『モンスターの亡骸』を選択して……。
【モンスターの亡骸】
ノーマルフィッシュの亡骸
大きめの蟹の亡骸
蟹の亡骸
兎将軍の亡骸
ロックなロックンローラーの亡骸
蟹蟹ブラザーズの亡骸
兎暴君の亡骸
ミニワニの亡骸
兎海軍の亡骸
ブラックスライムの亡骸
人面樹の亡骸
蜥蜴番長の亡骸
蜥蜴園長の亡骸
バナナボーイの亡骸
うん。
大蛸は今いい感じに焼けてきてるから、リストから無くなったのはいいとして。
やっぱこの『兎将軍の亡骸』とか『ミニワニの亡骸』をどうにかするんだよね……。
『亡骸』を『素材』に変えるにはどうしたらいいんだろう。
①とか②とかついてるから、なんかバラバラにするんだろうけど……。
亡骸……死体……。
遺体……遺体解剖……解剖?
なんかそんなのあったな……。
《ジョブを解除しますか(※現在は『採集士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
《ジョブを選択してください》
ええと……。
どれだっけ……。
……。
あ、これだ。
《ミルクは解剖士にジョブチェンジした!》
おお!
ジョブチェンジできた!
最近いろいろとチェンジできるようになってきたね!
やっぱレベル上げって大事なんだね、うん。
じゃあさっそく。
《状態を確認しますか? はい/いいえ》
NAME ミルク JOB 解剖士
LV 1 HP 24/24 SP 95/95 『解剖LV1』『剣LV12』
え? 解剖士って剣スキルが使えるの?
あー……あれか。
解剖だからメスとか使うからってことかな。
ていうかめっちゃSPが高いな。
もしかして解剖スキルって結構SPを消費するのかな……。
うーん。
まあいつもの通り、考えたって分からないことは考えるのをやめよう。
行動あるのみ。
《ミルクは『解剖LV1』を発動した!》
さあ、どうなるのかしら……。
《モンスターの亡骸リストから解剖する亡骸を選択してください》
お、ビンゴ!
ええと、あ、さっきの亡骸リストが自動で出てきた。
じゃあ……この『兎将軍の亡骸』を選択して……。
《兎将軍の亡骸を解剖しますか? はい/いいえ》
お願いしまっす!
……。
うわ……。
また勝手に身体が動いて……。
ていうかいつの間にか手術服みたいな緑色の服を着て、寝台みたいな上にモンスターの亡骸とか並べちゃってるし……。
それに薄い手袋をして片手にメスまで持ってる……。
なにこの無駄に凝ったエフェクト……。
シャキシャキ!
トントントントン!
チーン!
《ミルクは兎将軍の亡骸の解剖に成功した!》
……あそう。
ていうか『成功』っていうくらいだから、失敗することもあるのかしら……。
《兎将軍の素材①を手に入れた》
《兎将軍の素材②を手に入れた》
《兎将軍の素材③を手に入れた》
《兎将軍の肉を手に入れた》
……なんかいっぱい出てきた。
ていうか『肉』とか出てきても食べる気おきないだろうこれ……。
まあいいや。
いちおうどれくらいSPを消費したのかも確認しておこうね。
《状態を確認しますか? はい/いいえ》
NAME ミルク JOB 解剖士
LV 1 HP 24/24 SP 85/95 『解剖LV1』『剣LV12』
ふーん。
ちょうど10の消費かぁ。
まあ地図スキルよりは全然いいよね。
あ、でも専門職なのに消費10はかなり大きい部類なのかな。
地図スキルは地図士だったら、そもそもスキルを使わなくても地図が表示されるしね。
でもこれで必要な素材が揃ったね。
じゃあもう一度、洋裁士に戻って……。
《ジョブを解除しますか(※現在は『解剖士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
《ジョブを選択してください》
《ミルクは洋裁士にジョブチェンジした!》
いちおうステータスを確認して……。
《状態を確認しますか? はい/いいえ》
NAME ミルク JOB 洋裁士
LV 2 HP 15/15 SP 15/20 『裁縫LV1』『突きLV6』
うん。
さっき貝殻ビキニを作成したからSPが減ってるね。
こっちは5の消費かぁ。
てことはあと3回はスキルを使えるね。
んじゃまあ、もう一度やってみましょう。
《ミルクは『裁縫LV1』を発動した!》
《素材の持ち物リストから作れる服飾を自動選択しますか? はい/いいえ》
で、まずはこの『毛皮のセーター』から……。
シャキーン!
カンカンカン!
ジョキジョキジョキ!
チャリリーン!
相変わらず効果音がうるさい……。
《毛皮のセーターが完成しました》
おおお!
出来た!
あったかそうな毛皮のセーターだ!
うわ、マジでお店とかで売ってそう!
……。
じゃーん!
サイズもわたしにピッタリ!
……じーん……。
あ、なんか急に涙が出てきちゃった。
だってここまで来るのに随分と時間がかかったもんね……。
うんうん、頑張ったよミルク。
よーし!
この調子で『ワニ革のミニスカート』と『ウサギの尻尾キーホルダー』も作っちゃおう!
俄然やる気のでてきたわたしは、焼けた大蛸はそっちのけで服作りに没頭したのでした。




