32 人生って、厳しいんだね!
ムシャムシャ。
パリパリ。
モグモグ。
ふいー、喰った喰ったー。
え? 生で魚を喰ったのかって?
んなわけあるか!
いま洞窟で落ち葉集めて焼いて喰ったんだよ!
あー、でもお腹いっぱいになったらちょっと落ち着いた。
さっきSNSを覗いたら午後の3時前だったけど、今日はこのあとどうしようかな。
ごはん食べる前にも考えてたとおり、遺跡は無理ゲーなので後回しにするとして。
さきにこの孤島の地図を完成させちゃおうか。
ていうかそれが当初の目的だったわけだし。
で、アイテムも全部消滅しちゃったから、今のところ一番強い武器である『石剣』を採集しにいかないと駄目だよね。
ということは、このまま東にある岩壁のところまで地図士かノーマルで『地図』スキルを使用して、ジグザグ走行で向かってマッピングを完成させて。
石剣を手に入れたらそのまま浜辺まで向かって東側の地図を完成させちゃおうか。
そうすれば残りは西側と洞窟の南の湖周辺で真っ黒が残っちゃった部分だけになるよね。
最悪でも今日中に東の地図を完成させちゃおう。
で、帰りに北の森側を通って、野菜を採集してお夕飯にする、と。
うん。
そうと決まったらさっそく出発の準備だ!
気合入れていくぞー!
おー!
☆★☆
で、結局ビビりのミルクちゃんはノーマル状態で探索することにしましたー。
だってさぁ、マジでなにが起こるか分からないんだもん、この孤島。
もうさんざん探索した場所とはいえ、すべてのモンスターと遭遇したわけじゃないんだろうし。
いきなりボスクラスのモンスターとか出てくるかもしれないじゃん?
もしくは遺跡のときみたいに集団で襲ってきたリとか。
あれ、マジで怖かったんだから。
モンスターに囲まれる恐怖っていうのを、人生で初めて経験したよ。
……まあ、当たり前なんだけど。
んじゃまあ、『地図スキル』を使用して……。
《ミルクは『地図LV3』を発動した!》
で、いちおう現在のステータスを確認ー。
《状態を確認しますか? はい/いいえ》
NAME ミルク
LV 8 HP 61/61 SP 22/42 『蹴りLV4』『釣りLV3』『突きLV6』『叩きLV13』『湧水LV2』『着火LV2』『ブーメランLV3』『剣LV12』『地図LV3』
うん。
HPも61あるし、よほどのことがなければいきなり死ぬなんてことはないと思う。
で、今のところの最強武器、というか最高ダメージを記録できるのは杖装備で『叩き』スキルを使用したときだから、またその辺に転がってる棒の中から『棒とはいえないッス』っていうのを装備しましたー。
いちおう予備として『棒みたいな…なんだろう』『棒?そうとも見えるね』っていう武器も採集しておいたよ。
まあネーミングはアレだけど、杖として使えることは確認済みだから気にしない気にしない。
よし。
準備万端。
さっそくマッピングに向かいましょう。
☆★☆
《兎将軍が現れた!》
はーい。
やっぱりまだ見たことのないモンスターに遭遇しましたー。
……あ、そうだ。
せっかくだしレベル上げの検証とかしてみようか。
《兎将軍の攻撃! ミルクは3のダメージを受けた!》
ふむふむ。
やっぱまだ洞窟近辺だからそんなに強い敵じゃないね。
これならイケるんじゃないかな。
じゃあ、ジョブをチェンジして……。
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
《ジョブを選択してください》
《ミルクは痺針士にジョブチェンジした!》
これで1ターン消費。
《兎将軍の攻撃! ミルクは2のダメージを受けた!》
うん。ぜんぜん弱い。
で、相手を痺れさせて……。
《ミルクは『痺れ攻撃LV2』を発動した! 兎将軍は痺れて動けない!》
痺れの効果は3ターン。
これで1ターン消費になるから……。
《ジョブを解除しますか(※現在は『痺針士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
これで2ターン。
《兎将軍は痺れて動けない!》
で、ジョブを解析士に変更して……。
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
《ジョブを選択してください》
《ミルクは解析士にジョブチェンジした!》
これで3ターン。
《兎将軍は痺れて動けない!》
で、次には痺れが解除されて攻撃されちゃうから、ここでもう一度ジョブを解除して……。
《ジョブを解除しますか(※現在は『解析士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
うん。これで元のノーマルミルクに戻ったね。
この状態でモンスターを倒したらどうなるのか……。
《兎将軍の攻撃! ミルクは3のダメージを受けた!》
さようなら、兎ちゃん。
《ミルクの連続叩き攻撃! 兎将軍に合計52のダメージ! 兎将軍は消滅した!》
やっぱ攻撃力弱いなぁ。
まあ、所詮は棒というわけだ。
《ミルクは兎将軍の亡骸を手に入れた》
あ、なにもレベルが上がらない。
うーん。
これだけじゃ検証にならないから、何回か試してみよう。
~20分後~
で、検証の結果が出ましたー。
あれから6体のモンスターを同じ方法で倒したんだけど……。
『痺針士』のLVが4に上がって、『痺れ攻撃』がLV3、『叩き』がLV14に上がりました。
でも『解析士』はまったくレベルが上がらなかった。
これはきっと『何も行動をしなかったから』だよね。
戦闘中にそのジョブで参加しても、行動をしなかったら経験値が入らない仕様なんじゃないかな、たぶん。
これ厄介だよね。
解析士のHPって1しかないから、痺れ攻撃で相手を痺れさせても、あと1ターン足りないっていう……。
『痺れ攻撃』のレベルが上がって、痺れ効果が4ターン以上に伸びれば、『解析』を使用してレベル上げのチャンスがあると思うんだけど……。
うーん。いやらしい設定だね、まったく。
あ、忘れないうちにメモメモ。
⑩ジョブレベル、スキルレベルは何らかの行動を起こすことによって経験値が入る(※戦闘中にそのジョブにチェンジしただけでは経験値が入らない仕様)
まあ、これはなんとなく分かってたからいいや。
スキルレベルなんかは使用しないと上がらないのはとっくに知ってたし。
戦闘中にそのジョブの状態にいただけじゃ『経験』はしていないもんね。
やっぱ行動を起こさないと、『経験を積んだ』とはみなされない、ということだね。
ただそこにいるだけじゃ駄目。
自ら自発的に動いて仕事をする。
……うん。
なんてニートに厳しい言葉なんだろう……。
わたしの頬を伝った一筋の涙は光に照らされ、虹色に輝いたのでした――。




