28 遺跡探索、前編!
……あれ?
なんか天気の話をしてたら、急に雲行きが怪しくなってきた……。
左下に表記されてる走行距離は『915.23m』ってなってます。
たぶん10分以上は歩いてるのかな。
あ。
なんかポツポツしてきた。
まだ洗った服が乾いていないのに雨とか、最悪……。
ピカッ!
うわっ! 稲光だ!
やべぇ……これ本格的に降ってくるんじゃないの?
こんなところまでリアルに再現しなくてもいいのに……。
風邪引いちゃうじゃん……。
どうしよう。
どこか雨宿りできるとことかないかな。
雨の中の戦闘とかしたことないし、かなり不安なんだけど……。
……ん?
なんか右側に建物みたいなのが見えるね。
なんだろう、あれ。
……。
行ってみようか。
もうあと5分くらいで本降りになりそうだし。
~5分後~
ピカッ!
ゴロゴロゴロ……。
ポツ……ポツポツ…………ポツポツポツ…………。
ザーー!!
やっべ、降ってきた!!
あの建物の中に入ろう!
……ていうか、え?
なにこのボロい建物……。
まあいいや!
考えてるうちにびしょ濡れになって風邪引いちゃう!
☆★☆
……。
…………。
うん。
なんか慌てて重い石扉みたいなのを開いて建物の中に入ったのはいいんだけど……。
真っ暗。
何も見えません。
……。
うーん。
なんだろう、ここ。
何かの遺跡……?
でもどうしてこんな場所に遺跡なんか――。
《吸血コウモリが現れた!》
うわっ! びっくりした!
いきなりかよ!
え? こんな暗闇で戦闘……?
マジで?
《吸血コウモリの攻撃! ミルクは7のダメージを受けた!》
やべっ!
慌ててる場合じゃない!
ええと、今は地図士だからジョブを解除して……。
《ジョブを解除しますか(※現在は『地図士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
《吸血コウモリの牙攻撃! ミルクは9のダメージを受けた! ミルクは『出血状態』になった!》
ああもう! 何なんだよ!
こうなったらもうこのままノーマル状態でこのコウモリを――。
《ミルクの剣攻撃! 吸血コウモリに35のダメージ!》
あああああ!
雨で手が滑って連続攻撃にならなかった!
《『出血』のダメージ! ミルクは2のダメージを受けた!》
落ち着け……落ち着くのよミルク……。
大丈夫。
こんなコウモリなんかに負けないから……。
《吸血コウモリの吸血攻撃! ミルクは10のダメージ! 吸血コウモリはHPが10回復した!》
えええええええ!?
回復した!?
いや、わたしのHPを吸収したのか……!
ええい!
でも次のターンで確実に仕留める……!!
おりゃあああああああああああああああああ!!
《ミルクの連続剣攻撃! 吸血コウモリは攻撃を避けた!》
うそおおおおおおおおん!?
あれか!
暗闇だから攻撃が当たりづらいのか!
やばい……!
《『出血』のダメージ! ミルクは2のダメージを受けた!》
《吸血コウモリの吸血攻撃! ミルクは9のダメージ! 吸血コウモリはHPが9回復した!》
また回復しやがったあああああああああああ!
てかマジでやばい……!!
もうHPが残ってないんじゃない……?
ここはジョブチェンジをするしかない……!
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
《ジョブを選択してください》
《ミルクは痺針士にジョブチェンジした!》
……あっぶねぇ。
一旦これで痺針士のHPに変わるから……。
《『出血』のダメージ! ミルクは2のダメージを受けた!》
ああもう!
出血ウザいなっ!!
地味にHPを削りやがって……!
《吸血コウモリの攻撃! ミルクは8のダメージを受けた!》
すー、はー。
すー、はー……。
……落ち着こう。
大丈夫。
わたしはこんなところでやられたりしない。
……。
…………。
ピカッ!
……今だ!!
《ミルクは『痺れ攻撃LV2』を発動した! 吸血コウモリは痺れて動けない!》
よし!
今の稲光のタイミングで一瞬だけコウモリが見えた!
でも、もうそんなのは関係ない。
痺れて動けないんだもん。
暗闇でも攻撃を外すことなんて、ありえないんだから。
《ミルクの剣攻撃! 吸血コウモリに31のダメージ!》
……落ち着いて。
雨で手が滑りやすいけど、落ち着いて連打すればちゃんと連続攻撃になるから。
相手はあと2ターンも動けないんだよ、ミルク。
焦る必要なんて、ないんだよ。
《吸血コウモリは痺れて動けない!》
意識を集中して。
ちゃんとオレンジのバーをしっかり見て。
いつもみたいにボタンを連打して――。
《ミルクの連続剣攻撃! 吸血コウモリに185のダメージ! 吸血コウモリは消滅した!》
……。
…………ぉぉぉぉおおおおおおおおお!!
おっしゃあああああああああああああああああ!!!
《ミルクはLV8に上昇した》
《『地図士』がLV2に上昇した》
《『痺針士』がLV3に上昇した》
《吸血コウモリの亡骸を手に入れた》
…………はぁ。
なんか……一気に疲れたぁ……。
そう呟いたわたしは全身ずぶ濡れのまま、その場に崩れてしまったのでした。




