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ぼっちだけど寂しくない!  作者: 木原ゆう
000 孤島篇
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02 いきなり死ぬとこだったよ!

 あー、ホントお腹空いた。

 昨日の夜に炒飯を食べてから、なにも食べてないな。

 今は何時だっけ?

 確かお昼に目が覚めて、それからゲームのスイッチをつけたから……午後の一時くらいかな。


 洞窟を出てすぐに、泉を発見しました。

 確かこのゲームって釣りとかもできるんだよね。

 さっきSNSでそんな感じの文章を見た気がするし。

 

 よし! 釣りをしよう!

 んでもって魚を釣って焼いて食べよう!


 ええと、魚を釣るには何が必要なのかな。

 アウトドアとかまったくしないし、ぶっちゃけ釣りとかしたことないんだけど……。


 ……あ! そうか!

 さっきの『棒』か!

 あれに糸と針をつけて……いける!

 わたしなら、やれる……!


 さっそく振り返り、今いた洞窟へ。

 そしてちょちょんとボタンをダブルタップし、足元の枝を表示。


『長い棒』


 うん! これにしよう!

 で、拾って……。


《長い棒を装備しました》


 はいはいー。

 お次は糸と針なんだけど……。

 さすがに洞窟には落ちていないか。


 じゃあもうここには用はない。



☆★☆



 洞窟を出てさっきの泉に戻ってきました。

 うーん、この辺に落ちていないかなぁ。

 たぶん泉があるってことは、ここを訪れたことのあるプレイヤーがいらないゴミとか捨てていっているはずなんだけど……。


 あ、でも捨てちゃったらさっきの棒みたいに消滅しちゃうのかな。

 それとも捨てずにその場に置くこととかもできるのかな。


 やってみっか。


《長い棒を置きました》


 普通に出来んじゃん。

 じゃあ、さっきわたしがやらかしたのは『捨てる』に特化した操作というか。

 物を消滅させて証拠を残さないボタン? みたいな?

 まあ、よく分かんないけど、そのうち分かってくるでしょう。


《長い棒を装備しました》


 よし。で、糸と針は……と。

 あ。あれがそうじゃね?

 ええと、ボタンボタン。


《ミルクは長い棒を投げ捨てた!》


 ちょっと待ったあああああああ!!!

 ボタン間違えたああああああ!!!

 待って! 棒まって!!


《ミルクは長い棒をキャッチした!》


 はあっ、はあっ、はあっ……!

 きゃ、キャッチ……出来た……。

 今自分で投げた棒をそのまま猛ダッシュで追って、自分でキャッチできた……。


 そうか。捨てても地面に落ちるまでだったら回収できるのか。

 いや、でもこんなアホなことは二度はやるまい……。

 あー、マジで疲れた……。


『錆びた糸』『錆びた針』


 うん。

 まあ、錆びてるけど使えないことはないな。

 これを拾って……。


《錆びた糸を装備しました》

《長い棒を置きました》


 あー駄目か。

 なんか自動装備みたいなシステムになってるのかな。

 新しく拾ったほうを勝手に装備しちゃうし。


 じゃあ地面に置きながらやるしかないか。


《錆びた糸を置きました》


 で、この棒に糸を括り付けて……。

 うんしょ、うんしょ。

 こんな感じかな?


 あとはこの針を糸の先に……。


 いてっ!!


《ミルクに1のダメージ! ミルクは『化膿状態』になった!》


 ちょっと!!

 え? ダメージ?

 なに『化膿状態』って!?

 え? 錆びてたから?

 うわ、なんか指先がグジュグジュしはじめた……!

 やばい、これやばい……!

 どうしたらいいの……!?


《『化膿』のダメージ! ミルクは1のダメージを受けた!》


 やばいやばい!

 どんどん体力が減っていく!

 ていうか、わたしまだ自分のステータスとか知らないんだけど!

 このままじゃわたし『化膿』で死んじゃうじゃない!?

 まだお嫁にもいってない綺麗な身体のままで死ぬの!?

 やだやだ! そんなのやだ!

 誰か助けて!!


《自然治癒により『化膿状態』から回復しました》


 収まった!?

 あっという間に収まった!?

 あーっぶねぇ……。


 まあ確かに錆びた針でちょこっと突いただけで死ぬことはないんだろうけど、『状態異常』とかもあるのか……。

 でも『自然治癒』があるんだったら、猛毒とかじゃなければなんとか収まるのかな。

 

 あー、焦った。

 うーん。なんか気分が優れないな。

 あれか。ダメージを受けたからかな。

 やっぱ最初にステータスを知っておかないと、色々とまずい気がしてきた。


 釣り道具はいったん置いておいて、自分の状態くらいは把握しておこう。

 ええと、右のほうの空間は変なのばっかり出てきたから、こっちの左の空間とか……。


《状態を確認しますか? はい/いいえ》


 あ! でたでた!

 きっとこれじゃない?

 じゃあ『はい』をタップして……。



NAME ミルク

LV 1 HP 3/5 SP 0/0



 おー、合ってた。

 ……。

 ていうか、危なっ!!!

 HPって体力のことでしょう!?

 あと3しかねぇじゃん!

 ていうか、『自然治癒』が無かったら、もうちょっとで化膿で死んでたよ!


 うわ、こわーい……。

 レベルが1なのは当然として、まあ多分モンスターとか倒せば上がるんだろうけど。

 『SP』ってなんだろう。

 『すぺしゃるぽいんと』? 素敵ポイント……ではないよな。


 うーん、分かんない。

 でもまあ、たぶん何かに使うんでしょう。

 どうせ今は0だから、考えたって仕様がないし。


 この気分が優れないのって、ダメージを負ったせいなんだろうな。

 だって3/5ってことは、私の命の4割が削られたってことでしょう?

 そりゃ、やる気でなくもなるわ。

 とにかくさっきの洞窟で休もう。

 きっと休めば体力も回復するはず。


 ……あ、でもこの棒とか糸とかどうしよう。

 ……まあいいか。

 誰もこんなの持っていかないだろうし、このままここに置いておこう。


 とにかく、休みたい。

 やる気しない。


 わたしは再び元の洞窟へ戻ることにしました。


 

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