14 採集したいのに物が拾えない!
はい、起きましたー。
さっきSNSで確認したら時刻は午後の15時前くらいだった。
ということはジャスト2時間の昼寝だったわけですね。
なんかこうしてみると普段のニート生活とほぼ変わらない気がしてきた……。
10時過ぎくらいに起きてパソコン開いてネットしたりゲームしたり。
でお昼になってご飯食べて眠くなって昼寝して。
起きたら15時くらいでテレビ見て外に散歩に行って……。
で、もう夕方。
機嫌が良ければお母さんがパートから帰ってくる前にご飯の準備をしておくっていうパターンかな。
うん。
なんか、世間に申し訳ない気分になってきた……。
よし。
凹んでても仕方がないから、気を取り直して、と。
日が暮れるまで洞窟の近辺でレベル上げをしますかー。
目標は『着火』と『湧水』のスキルレベルを上げること。
余裕があったら他の新米シリーズにジョブチェンジして、それらのスキルレベルも2以上に上げようかな。
じゃあジョブチェンジしまーす。
うー。
変身!!
《ジョブを解除しますか(※現在は『解析士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
《ジョブを選択してください》
《ミルクは新米水術士にジョブチェンジした!》
はーい。
で、この『棒っぽいなにか』を装備しまーす。
《棒っぽいなにかを装備しました》
よし。準備完了。
寝起きで頭ボサボサだけど、誰も見ていないからいいでしょう。
んじゃま、しゅっぱーつ!
☆★☆
洞窟の周囲をぐるりと回ってみます。
大きさ的にはどれくらいの洞窟なのかな。
天井はわたしの背の高さの3倍くらい。
広さは畳でいうと20畳くらいかなぁ。
いつか家とか建てられたら快適に生活できるよね。
たぶん建築士とかのジョブもあるから、出来そうな気がするんだけど……。
で、いつも行く泉は洞窟を出てまっすぐの場所にあります。
今日はこれからそことは反対方向の、洞窟の裏手にある森に行くつもりでーす。
まだそんなに遠くに行くのは怖いからしないけど、そのうち洞窟周囲の地図とか作りたいな。
ここは一体どこなんだろうね。
もうログインして2日目になるのに、他のプレイヤーの誰とも会わないし。
まあ、会わないほうがありがたいんだけどね。わたし的には。
そうこうしているうちに森に到着しましたー。
洞窟から歩いて5分くらいでもう森になっちゃってます。
うわ、やっぱ色々落ちてるね。
さすがは森。
ええと、ボタンボタン。
『怪しいキノコ』『木』『木』『謎の実』『長い木』『腐った枝』『緑色の苔』『小さな蜥蜴』『なにかの抜け殻』『反り返った枝』『木』
あー、自然っていいなぁ。
なんかこう、心が洗われるっていうか。
深呼吸すると胸いっぱいに新鮮な空気が広がって、メンタルが安定するというか……。
うん。
まあとりあえず食材になりそうなものを集めよう。
ヤバそうなネーミングのやつは触れないようにしてっと……。
《美味しそうな実を装備しました》
《棒っぽいなにかを置きました》
……。
いや、装備したいんじゃなくて……。
あれ?
これどうやって拾ったらいいんだっけ……。
釣り竿を作るときは、その場に置きながら組み立てたんだよね。
だって持ったら『装備』しちゃうし。
じゃあ採集はどうすんの?
……。
あれ、詰んだ?
《大きめのキノコを装備しました》
《美味しそうな実を置きました》
……。
《食べられそうな野草を装備しました》
《大きめのキノコを置きました》
があああああああ!!
どうすんのこれ!!
持って帰れないじゃん、これじゃあ!!
あれか?
『アイテムを収集するのに特化したジョブ』とかにならないと駄目だとか?
じゃあまた探すの?
あの膨大なジョブの中から?
《蜥蜴番長が現れた!》
うわ、モンスターきた!
ちょ、ちょっとタンマ……!
ええと、草持ってても戦えないから……!
《棒っぽいなにかを装備しました》
《食べられそうな野草を置きました》
《蜥蜴番長の攻撃! ミルクは3のダメージを受けた!》
やべっ! 強い!
あれ……? 新米水術士のHPっていくつくらいだったっけ?
もしかしてもう死にそうなんじゃない?
やばいやばい!
ちょっと気を抜いたらすぐにこれだよ……!
早くオレンジのバー溜れ……!
うおおおおおおおおおおお!!
《ミルクの連続叩き攻撃! 蜥蜴番長に合計51のダメージ! 蜥蜴番長は消滅した!》
あっぶ……!
『叩き』のレベルを上げてなかったら確実に死んでた……!
マジ助かった……。
《ミルクは新米水術士がLV2に上昇した》
《蜥蜴番長の亡骸を手に入れた》
おー。レベルも上がったし。
とりあえずステータスの確認をしよう。
《状態を確認しますか? はい/いいえ》
お金くれたらいいよ。
NAME ミルク JOB 新米水術士
LV 2 HP 9/9 SP 13/13 『湧水LV1』『叩きLV11』
はぁ……。
なんかいきなり疲れた……。
でもレベルが上がればHPもSPも全快するのはありがたい仕様だよね。
これが無かったらまた洞窟に戻って落ち葉ベッドで寝なきゃダメだったし。
いま起きたばっかりなのに、どんだけ寝れば気が済むのよわたしは。
よし。
気を取り直して、とりあえず目先の目標に専念しよう!
両頬を叩き気合を入れたわたしは、鋭い眼力で森にいるモンスターらに視線を向けたのでした。




