10 飲料水の確保をすっかり忘れてた!
ん……?
あれ……? もう朝……?
落ち葉ベッドから身を起こし周囲を確認してみます。
なんか洞窟の入口から光が差し込んでいるから、たぶん朝だねこれ。
どうしてだろう。
確か寝たら自動的に2時間後に目覚める仕様になってたと思ったんだけど……。
今、何時だろう。
とりあえずSNSを確認すっか。
……。
確認しました。
どうやらもう午前10時を過ぎているみたいです。
昨日何時に寝たっけ?
なんかいつの間にか寝ちゃったけど、確か20時前じゃなかったっけ……。
てことは14時間以上も寝たのか。
まあ、いつも10時間くらい寝てるから、いつもよりちょっと長いだけなんだけど。
あれか。
『朝まで寝たい』と思えば、朝まで寝れる仕様とか、そんな感じなのかもしれないな。
ふわぁぁ……。
とにかく顔洗って歯を磨きたい。
昨日お風呂にも入ってないし、服もそのままだし……。
頭もボサボサだからシャンプーリンスをして、ドライヤーで乾かして櫛を通したいし。
うーん。
レベル上げもしないとだけど、さっきSNSを見た限りじゃ当分ログアウトできそうもないしな……。
ほんとこのゲームって、現実世界とほぼ一緒っていうか、モンスターとかステータスとか以外は現実世界と同じ感じがするんですよ。
VRってここまで進化してたんだね。
なので、今日は身の回りの物を集めようと思います。
当然食料の確保が優先なんだけど、シャワーを浴びれる場所とか、身体を拭くタオルとか。
歯ブラシとか洗顔フォームとかシャンプーとかリンスとかドライヤーとか櫛とか着替えとか下着とか。
そういうのが作れるジョブなり素材なりを集めないと、女の子のわたしが生活するのは非常に厳しいというか。
素材や身体を洗えそうな場所はこの洞窟の周囲をぐるーっと回って探すとして。
とりあえずあの膨大なジョブの中から生活必需品を作り出せそうなジョブをピックアップしておきましょうかね。
ええと、ポチっとな。
……。
…………。
うん、いっぱいあるね。
『調理士』は料理を作るのに特化したジョブっぽいし『建築士』は住居とかお風呂場を作るのに特化してるのかな。
『洋裁士』は服やタオルとかも作れそうだし『調合士』だったらシャンプーとかリンスとか作れそう。
『機工士』だったらドライヤー作れるのかな……。
あ、でも電気どかどうするんだろう。
『雷瞑士』って電気とか出せるのかな。
うーん。まあ、全部試すしかないか……。
《ジョブを解除しますか(※現在は『新米火術士』です) はい/いいえ》
《ジョブを解除しました》
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
《ジョブを選択してください》
空間タップするの早くなったなわたし……。
こうやって人は成長していくのですね。
《調理士にジョブチェンジをするにはレベルが足りません》
《建築士にジョブチェンジをするにはレベルが足りません》
《洋裁士にジョブチェンジをするにはレベルが足りません》
《調合士にジョブチェンジをするにはレベルが足りません》
《機工士にジョブチェンジをするにはレベルが足りません》
《雷瞑士にジョブチェンジをするにはレベルが足りません》
はい全滅ー。
まあ分かってたけどねー。
あー、快適な生活をするには道のりが長い……。
でもいいや。
とりあえず泉で顔だけ洗ってこよう。
ていうか、大丈夫そうだったら水浴びもしちゃおう。
どうせ誰もいないんだし。
☆★☆
というわけで、モンスターが周囲にいないことを確認し、服を脱ぎます。
綺麗に畳んで浜辺に置いて、わたしは生まれたままの姿に。
うん。
そーっと湖に足を入れて……。
お?
そんなに冷たくない。
ここって淡水だろうから、ベタベタしなくてラッキー。
じゃあ、このまま全身水に入って、顔も頭も一緒に洗っちゃおう。
おー、気持ちいいじゃん。
でもやっぱ石鹸とかシャンプーがないと物足りないよね。
早いとこレベルを上げて、生活水準を向上させたいなぁ。
……というか、この水って飲めないよね。
そういえば昨日からずっと水を飲んでなくね?
食料よりも、まずは水の確保が優先でしょう、ミルク。
サバイバルの基本だよ、サバイバルの。
よし。
泉から上がって適当に自然乾燥させたら、『水』を作り出せるジョブに変更できるか試してみよう。
入浴シーンで読者サービスもばっちりだし、地味に水作りを始めても文句言われないだろう。
……うん。
一体なにを言っているんだ、わたしは……。
~15分後~
よし。まあ綺麗になったことにしよう。
で、下着穿いて、服を着てっと。
《ジョブチェンジをしますか はい/いいえ》
うーん。
どれかな……。
たぶん『新米』シリーズはどれもいけそうな気が……。
……よし!
これにしてみよう!
《ミルクは新米水術士にジョブチェンジした!》
はいはいー。
来ました来ましたー。
で、さっそくステータスの確認ー。
《状態を確認しますか? はい/いいえ》
はーい。
お願いしまーす。
NAME ミルク JOB 新米水術士
LV 1 HP 4/4 SP 8/8 『湧水LV1』
よしよし。
『湧水』ってことは湧き水が出せそうなネーミングだね。
計画通り……!
じゃあ、水出しまーす。
《ミルクは『湧水LV1』を発動した!》
チョロチョロチョロー。
おー、出た出た。
なんか指先を下にしたら、水道の蛇口を捻ったみたいに水が出たー。
これ飲めるかな……?
ゴクゴク。
……。
うん。普通の水だね。
これで飲料水の心配はなくなったね。
あっさり水問題をクリアしちゃいました。
でもあれだな。
毎回『新米水術士』にジョブチェンジして水を出すのも面倒だし。
ペットボトルみたいなのが落ちていればいいんだけど、そんなに都合よく落ちてないし。
とりあえずこのジョブレベルを上げて、ノーマル状態でも水が出せるようにしておきたいかな。
ってことは、レベル上げか。
食料になりそうなものを見つけながらレベル上げすれば効率もいいし、そうしようかな。
ということで、この『新米水術士』のレベルを上げつつ、食料探しをすることにしました。




