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ぼっちだけど寂しくない!  作者: 木原ゆう
000 孤島篇
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00 ホントついてない!

 VRMMO――。

 その言葉を初めて聞いたのは、今から数年前のことだ。

 巷で流行っているゲームということだけど、わたしにはそれが何なのかさっぱり分からなかった。


 で、現在――。


 わたしの目の前には広大な草原が広がっている。

 うん。

 実はお父さんに頼んでゲームを買ってもらいました。


 ゲームの名前は『なんちゃらクエスト』。

 タイトルも思い出せないんだけど、本体とセットで年末セールで安かったんだって。

 うちのお父さん安月給だから、少ないお小遣いを叩いて買ってくれたのだよ。

 お父さん大好き。

 今度誕生日に肩たたき券とかあげようと思う。


 え? お前何歳だって?

 ええと、今年で20歳になります。


 ……。

 …………。

 ごめん、スルーしてね。

 スルーしてもらわないと、わたしが凹む。


 とまあ色々あって、今はこのゲームを楽しむときじゃん?

 なんかネットに繋いで、全世界で同時に10万人くらいできるゲームなんだって。

 でもさ。

 言っていい?


 なんか大元の回線が遮断されたかなんだかで、現実世界に戻れなくなっちゃった(●´∀`●)


 いやさ、こんなことってあるんだね。

 もうみんなパニックで、SNSっていうの?

 それを空間に表示してみんなの言動とか確認するんだけど、そりゃもうてんやわんやで。


 このゲームって派閥とか結構あって、色々なグループが対立しているんだけど、なんかすごく気持ち悪いっていうか、あまり関わりたくないひとたちばっかりでさぁ。


 まあ、なんだ。

 何が言いたいのかっていうと、こんなログアウト不能状態に陥っているわたしなんですが。

 何を隠そう。

 たったひとりで草原の隅にある洞窟で縮こまっているわけですよ。


 あ、ちなみにゲームを始めたのは昨日です。

 1時間くらいやってみて、あーこんな感じかぁとか思って。

 で、今日から本格的にやり込んでやろうかと思った矢先にログアウト不能になりました。


 ホントついてない。

 現実世界のわたしの身体とか、どうなっちゃうんだろうね。

 お父さん泣くだろうな。

 娘のためになけなしの小遣い叩いて買ったゲームのせいで、娘の精神がゲームの中に監禁されちゃったんだから。


 お母さんにボコられるな、お父さん。

 もしも生きて帰れたら、わたしちゃんと就職するね。

 それまで、娘の無事を願っていてください。


 大丈夫、わたしだったら何とかなるから。

 変な人についていくこともないし、そもそもコミュ障だから誰とも会話できないし。

 

 ……うん。

 自分で言って凹んじゃった。


 まあ、そんなこんなでわたしのゲーム内生活が始まりました。


 

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