表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

6

6

僅かな時間ではあるが、俺は確実に高梨親子に振り回されていた。縁、契約、下僕。

この二日で築かれた関係性だ。高梨さんはどこまでも自由で掴めなくて。俺の人生の中で一番掴み所がない人かもしれない。

そんな彼女を迎えにきた女性は絶対母親だろう。容姿がそっくりだった。

しかし、高梨さんにはない恐ろしさも秘めていた。高梨さんは恐らく無意識だが震えていた。おそらく逆らえなかったのだろう。


俺が救う?


一瞬だがヒーローになる案が俺の中に生まれた。高梨さんは喜んでくれるだろうか。アルバイトの下僕の俺。関係性は二日しかない俺。

もし、彼女が喜んでくれたなら……。

心臓がドクンと鼓動した。俺は高梨さんを意識している。多分これが恋の始まりだろう。助けたら高梨さんは俺の事……好き。好きになってくれるだろうか。


ドクン。再び鼓動が跳び跳ねた。助けなかったら高梨さんはどうなる? あんなに怯えていたのに。好きな人一人守れず男は廃らないだろうか。


「よし!」


腹をくくるのは簡単なことだった。好きな人を守る。そう考えれば話は簡単なこと。二人が消えたクローゼットの中に飛び込めばいいのだ。

しかし、しかしである。あのクローゼットの中はあんまり気持ちのよいものではなかった。そもそも、高梨さん抜きで行きたい場所に行けるのだろうか。もし、高梨さんと違う場所にいってしまったら。不安は心に降り積もっていく。成功することより失敗を思うと足が重くなる。心の天秤は大きく揺れていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ