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 3

 高梨さんと天野さん二人の平行線の恋愛相談は結局のところ俺が引き継いだ。

 引き継いだといっても高梨さんの許可なんてない。自分から進んで勝手な行動をするのだ。

 高梨さんから解放されたのち、こっそりと待ち合わせ天野さんと二人で話し合う予定。一人では浮かばないアイディアも二人ならなんとかなるかもしれない。

 告白できる相手ができたのであれば、実ってほしいと願うのも人情として当然のことだ。


「ラブレターでも書いてみたら?」

「でも、話したこともないのに……。相手に迷惑がかかるのではないでしょうか?」

「昼休みに呼び出して、直接告白するとか……」

「ちょ。直接ですか?」

「直接以外なにかあるのか?」

「そんな勇気、私には……」

(うぅぅぅ。すごく面倒臭い……)


 こんなやり取りを、喫茶店でかれこれ一時間繰り返していた。高梨さんではないがつい、聞く態度が悪くなってしまう。高梨さんの仕事部屋を出たのが夕飯を作ってからのこと。恐らく七時は過ぎていた。こっそり天野さんと電話帳を互いに交換し、高梨さんに気づかれないようにLINEで約束をとりつき、今に至る。遅くなっては彼女に悪いから解散したいのだが、話し合いが平行線。

 バカな俺だが、さすがに送って行かなければ危ない時間というものが近づいているのは確実で、好きな人がいる相手を送る俺。


(はぁ……。だったらどうするんだよ)

「でも、告白はしたいです。ちゃんと気持ちを伝えないと後悔しますよね? でもなぁ……。告白かぁ……」


 一人百面相を繰り返す天野さん。俺は、今更ながら天野さんの相談にのってしまったことを後悔した。

 俺の事ほとんど無視してる。時間は刻々と過ぎていくのに、彼女の様子は変わらない。


「ほら、また明日相談に乗るから今日は、その。解散しないか?」

「えっ……? もうですか? 折角考えがまとまってきたのに」

(もう勘弁してくえれぇ~)

「わかりました。私。明日告白します!」

「おっおお。がんばれ。話がまとまったところでこれで解散にすっか」

「いいえ。彼女になるにはどうしたらいいか。男の方の意見を教えてください」

(何だよそれぇ~!)


 心の中で絶叫した。大体、好みなんて人それぞれだし、必ず同じパターンで成功するとは限らない事柄を何故俺に。徹底的に反論したいところだが、天野さんは高梨さんとは別の意味で厄介な相手。

 最初から、断ることができない選択肢ばかりを歩まなければならない俺は一体。


「わかった付き合うから……」

「ありがとうございます」


 やる気満開。元気いっぱいの天野さんと、早く帰りたい俺。二人の相反する思いを抱く男女の告白大作戦。作戦会議が幕を挙げた。

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