帰宅。
修学旅行の帰りって家族と会った時すごく嬉しくなるのはなんでなんでしょうね、安心なんでしょうか。
学校帰りだ。
雪ちゃんと手を繋いで歩いている。
手を繋ごうって言われてうんって言って繋いだ。
…やばい。
何がやばいって何日ぶりの雪ちゃんだ。
つい先日まで修学旅行で雪ちゃんに飢えていた高島時人は今絶頂を迎えている。
なんで手を繋ぐだけでこんなにドキドキしているんだ。
頭おかしいだろ、俺。
「時人」
「は、はいっ!」
声が裏返る。
雪ちゃんの声だあああ…
「えっと、久しぶり…」
「あぁ、うん、久しぶり…」
自然と歩く足が遅くなる。
「どうだった?修学旅行。」
どうもクソも雪ちゃんと一緒に行きたかった
「うん、まあまあ。」
「散々帰りたいって言われたこっちの身になってよね。」
それは言わないでほしい。
「思ったんだけど、雪ちゃんといつか何処かにいけたらいいなあ…なんて。」
「…そうだね。」
了承された!!
どうしよう、海外でも行ってしまおうか、沖縄か?パプワニューギニア島か!?
「えへへへ」
「気持ち悪!何考えてるの!」
「雪ちゃんとの旅行〜」
にやけが止まらない。
ずっと二人きりなんて幸せすぎて溶けそうだ。
「うぅ…あ、そ、そう、時人!お土産は!?」
「あるよ〜帰ったらあげるね〜」
「時人上機嫌すぎて気持ち悪い…」
なんとでも言ってくれ、僕は今幸せなんだ!
「いつ行く?明日?明日パプワニューギニア島行く?」
「え!?明日!?てか何処だよそれ!」
「雪ちゃんと一緒なら何処だって楽しめる」
インドでもエジプトでもアフリカでもどんとこいだ。
「そ、そんなこと言われたら照れる。」
雪ちゃんの頬は少し赤く染まってる。
「可愛い。」
そっと頬にキスをする。
「やっ!な、何してるの!」
「もうはやく家につかないかな〜」
家まで待てない気がする。
このまま道端で抱きしめたい可愛さ、恐ろしい。
「修学旅行は何処に行ったんだっけ?」
「京都とか、大阪とかだったような〜」
もう修学旅行の記憶の部分は雪ちゃんへの愛で消えつつある。
いや、待て、今告白された事を忘れかけていたぞ。
雪ちゃんには内緒…。
「舞妓さん綺麗だった?」
「雪ちゃんが着物着たら可愛いだろうな〜」
「おい、聞け。」
ビンタがお見舞いされる。
ようやく雪ちゃんとの幸せの妄想から少し現実に戻った気がする。
「やべえ、このビンタすら愛おしい。」
「大丈夫!?」
「もっと殴って、それかキスして。」
「あ、後で!」
お預けされてしまった。
そうだよな、公共の場で何をしようとしているんだ。
いつまで道を歩いているんだ、下手したらこの小説惚気るだけで終わってしまうぞ。
「雪ちゃん、走ろう!」
「嫌。」
というか雪ちゃんは何日かぶりだけど全然寂しくもなかったらしい。
まあ、そうだよな、それが普通だよな…
「ゆっくり歩きたい。」
「なんで?」
「…会えなかった数日分、歩きたいの。」
雪ちゃんという天使に胸を貫かれた気がした。
「うん、もう2日間ぐらい歩こう。」
「それは多いわ。」
なんだ、やっぱり雪ちゃんだって寂しかったんじゃないか?
でも寂しかったなんて一言もいってなくね?
修学旅行中の会話でも一言も寂しいなんて言われてなくね?
やっぱ僕だけ?
僕だけなの?
「雪ちゃん、修学旅行中すごく寂しかった…」
「何回も聞いたって。」
「雪ちゃんは…?」
「へ?」
気の抜けた返事が返ってくる。
もしかして友達と遊べて楽しかった、もうこのままで良いって思ったとか!?
「…時人のバーカ。」
なにゆえ…
乙女心はわかっている方だとは思っていたのだが。
「雪ちゃんは来年かぁ。」
そういえば僕とは違ってカナちゃんやユウトくんとユウカちゃんもいるのか…
「いいな…」
留年したら雪ちゃんと一緒、やったね!
という悪魔の囁きが聞こえる。
ついでに留年ことハルトさんの顔も浮かび上がった。
「留年かあ…」
「え、どうしたの。」
「留年したら修学旅行雪ちゃんと一緒に行けて宿泊先で夜中に雪ちゃんを襲ぶふぇ!!!」
言い終わる前にはたかれた。
はたくはビンタと同じだ。
「未成年、襲ウ、絶対ダメ。」
「同意さえあって避妊すればok」
「ドヤ顔で言うでない。」
そうゆうことを考えているのか、頬がまた赤くなっている。
「どんなプレイを考えてるの?」
「かっ!!!」
こっちを向きますます顔が赤くなる。
「声抑プレイも良いね」
更に顔が赤くなる。
女性はこうゆう話が苦手だなあ。
「まあ、詳細は家に帰ってからで。」
「か、考えてない!考えてないからね!?」
「はいはい。」
「っもう…」
手をはなしたかと思うと腕に手を回してきた。
柔らかい何かが腕にあたる。
声をだしそうになった。
そしていろいろと元気になってしまった。
僕なんか雪ちゃんよりよっぽど意識しているのではないだろうか。
「汗がでてますがどうしたんですか?時人くん。」
「雪ちゃん、反則だ。」
これはかなり反則だ。
おまけに君付けで呼ばれるなんて。
「どうなっても知らないから…」
「あのね、修学旅行中さ。」
「うん。」
この状態で話せと言うのか。
普通に歩けることすらきせきだよ!
「おかしいくらいに寂しかったから。」
「…え?」
嬉しすぎて禿げそう。
「ねぇ、雪ちゃんもう一回言って?」
「嫌だ!」
「ねえもう一回!」
「嫌だ!」
「ねえ〜!!」
「それ以上言ったらわたし帰るから!」
でも、もう一度聞きたい。
僕は雪ちゃんの肩をつかみこっちを向かせた。
そのまま口をあわせる。
「もう一回、言って?」
「…好き。」
「へぁっ!?」
予想外の言葉に思考が固まる。
「ほら、帰ろう!もうすぐつくから!」
「ねえ、雪ちゃん、僕も好き!」
目を見て笑いあった。
…君といるのがこんなにも幸せだ。
この二人、本当に惚気ているだけで終わっちゃったよ!