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Re:もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山スバル
第一幕 迷わずに駆け抜けろ、伝説の幕が開ける

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009 この幼女の正体は……?

 結局なにかに負けたような感覚を抱いたまま、ルーシはシャワールームから出てくる。湿気が低いので、ドライヤーなんてものはない。勝手に乾くのだから必要ないということだろう。


「まあこの長さでもすぐ乾くとは思うけど……どうせなら髪巻いておくか」


 ワシャワシャと髪を拭いたあと、銀の長い髪を編み込みにし、ウェーブさせた。寒い国だが湿気っていないのは、死ぬ直前に暮らしていた日本よりも快適だ。というか、欧米と違ってあの国が特殊だったのか。そんなどうでも良い謎を覚えつつ、ルーシは美容液がないことに気がつく。


「……。まあつけなくても良いんだけども。つけたら負けな気もするけどよぅ」


 心の中に葛藤を抱え、歯磨きを終えたあとも鏡をしばし直視していたルーシだが、やがて諦めがついた。銀髪碧眼の幼女はクラブの居住スペースへ戻っていくのだった。


「おお、可愛いじゃん」


 クール・レイノルズは開口一番、ある種当然だがそう言った。


「か、可愛いか?」

「ああ。見た目はやっぱり良いんだよな~。中身は鬼そのものだけどさ」

「ロリコンか?」苦笑いを飛ばす。

「10歳くれーの子に興奮するほど女日照りじゃねーよっ!」


 クールもまた楽しそうな笑顔で答えた。


「そりゃ良かった。寝床はどこだ?」

「寝酒とかしないのか?」

「この身体だとすぐキャパオーバーになっちまう。当分タバコ以外控えるよ」

「褒めるべきか突っ込むべきか悩むね~……。んで、仮眠スペースはあそこだ。きょうはもうしゃーねェからここで寝泊まりしてもらうけど、あした以降は新たなボスにふさわしい隠れ家を用意しねェとな?」

「良い心がけだ」


 クールが指差す方向へ、銀髪の髪の毛が波打っている幼女はあくびしながら歩いていく。

 彼女の姿が見えなくなった頃、クール・レイノルズはぼやく。


「アイツ、喧嘩してるときは闘志溢れてたのに、我が妹の服見た途端子どもっぽくなったな~。ギャップ萌えでも狙ってるのかね」


 まだ幼女ルーシと青年ルーシを繋げられないクールは、されど時刻が深夜2時を回っているので眠ることにするのだった。


 *


(隣に誰かがいる……。無駄に重たい。いや、この腕じゃ中学生女子も追い返せないのか)


 寝ぼけているルーシは、押し出そうとしている相手をその腕で殴打しまくったことを失念していた。というか、眠すぎて腕に力を入れられない。


「……。なるほど」


 いつまで経ってもどかない存在に腹が立ち、ルーシの目は一気に目覚める。そしていびきをかきながら心底幸せそうな寝顔を晒す天使ヘーラーの頭部を引っ叩いた。


「がー、がー……」

(起きねェ!? 熟睡し過ぎだろ!?)


 許可もなくヒトのシングルベッドに入り込むあたり、再教育したほうが良さそうだ。

 そうしてヘーラーに喝を入れるべく、髪をなびかせながらルーシはベッドから立ち上がる。

 そんな彼女の目を奪ったのは、謎の白いノートだった。


「善悪チェックリスト? 全部英語で書かれているな」


 どうも深夜までこれを書いていたらしい。詳細に、分かりやすく。


「……。こんなものつくられたところで従わないから、あんなたくさん殺してきたんだろうに」


 苦虫を噛み潰したような面持ちになり、ルーシは洗面所へ向かっていく。


「ショートスリーパーなのか?」

「よう、ポール。そうだな。3時間眠れれば動ける」

「親分の真逆だな。あのヒト、なにもない日は15時間以上寝てるからな」

「羨ましい話だ……」


 サラッと流し、ルーシは歯磨きした。その1分後にはタバコを咥えているのだから、意味があるとは思えない。


「さーて。なにしていこうか」


 自分の道は自分で切り開かねばならない。きょうは服を買いに行きたい気分だが、あした以降を見据えればやはり計画は必要だ。


「なにをするにしてもカネが必要だしなぁ。おっ、ポール。ちょっとこちらへ来て」

「なんだよ。酔っ払って潰れた客を追い出さなきゃならないのに」

「そんなものの指揮は他の誰かにやらせておけば良い。んで、一番手っ取り早いカネ稼ぎ方法をいっしょに考えようって話さ」


 ポールモールはいきなり振られた無茶振りにうなりながらも、数秒後には答えを返してきた。


「気に入るかは知らねェけど、一部の高校は生徒に契約金って形で大金を支払ってるらしい。親分や彼の妹様が通う〝メイド・イン・ヘブン学園〟だったら結構なカネが動いてるんじゃねェの?」

「上流が通う学校ってわけか」

「そういうことだな。親分も元をたどれば超大金持ちの息子ってわけだ。んで、契約金のテストに引っかかる条件はふたつある。ひとつはアンゲルスの国籍を手にすること。もうひとつは魔力を持つこと。そこをクリアしちまえば、親分を倒したオマエだったら余裕で1億メニーは引っ張れるはずだ」


 いまのルーシは当然国籍を持っていない。ただ、転生者が知られ渡っているこの世界で新たなに籍を取るのはさほど難しくないだろう。

 問題は魔力だ。一朝一夕で開発できるものだとも思えないし、長くやれば良いというわけでもなさそうである。


「魔力を手に入れる方法が分からないぞ」

「あー。お付きの天使に付与してもらえば良いんじゃね? 天使族はいろんな能力を付与できるからな」

「ますます私の安全保障からアイツが外せないな」

「そんなに悪いことかよ? 天使にしちゃ従順だし、勤勉でもある。他国の天使じゃ考えられないほど謙虚だとも思うしよ」

「そうかい……」


 ルーシはタバコの火を消し、そういえば自分用のスマートフォンすら持っていないことをいま知った。


「ポール、悪いけど余っているスマホない?」

「あるにはあるが」

「欲しいな。頼む」

「ああ……」


 ポールモールは、壁に埋め込まれた隠し棚からスマートフォンを取り出す。


「サンクス。さぁーて、完璧で究極の幼女様の自撮りでも愚民に見せつけてやるか~」

(ひょっとして、コイツ中身女なのか?)

「位置はバレないようにぼかしを入れて……よし。補正なしでこの美しさ。こりゃきょう中にインフルエンサーへと成り上がれるな」

(いや……分からない。コイツの正体がさっぱり分からない)


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