024 ルーシVSチンピラ
学生だと思えばガラの悪い連中が、十数名学校の裏側にやってきた。手にはナイフやら金属バッドやら……、拳銃も? 学校内で発砲事件なんて起こしたら、一発で退学だろうに。
「よぉ、さっきのカエシさせてもらうぞ。クソガキ」
声の主が、サプレッサー付きのハンドガンをルーシへ向ける。
「はぁ」
ルーシは溜め息をつく。そして、片手で照準を合わせている少年へ言う。
「どこで買ったのか知らないけどさ、22口径じゃまともなダメージは通らないぞ?」ルーシはブレザーの裏側から、その手に似合わない巨大なリボルバーを取り出した。「コイツは44マグナム弾を使っている。オマエのちょうど倍だな。肩や足にヒットしてもショック死するように、弾丸も改造してある。ダムダム弾、って聞いたことあるかな?」
ざわ……、と不良たちがにわかに揺れる。
「さぁ、弾いてみろよ。弾けねェならさっさと帰れ。私はサッカーがしたいのであって、殺し合いって気分じゃないんだ」
ルーシは銃のハンマーを叩き、いつでも発砲できるように両手でそれを構える。撃たれたら確実に誰かが死ぬ。そう思わせるだけの迫力が、確かにルーシへはあった。
「……どうせ偽物だろ? てめェみたいなガキが、そんなハンドガン持ってるわけねェ」
「オマエだってガキだろ。お互い様だ、馬鹿」
「舐めやがって……!!」
パシュンッ、という音とともに硝煙の匂いが立ち込めた。ルーシは足元にヒットした銃弾を踏み潰し、「あーあ」と言った。
そして、
バコンッ!! と、空気を切り裂くような音が響いた。マズルから煙が吹き出る。ルーシは引き金に入れていた2本の指を抜いて、それをブレザーの中へしまった。
「うるさい。先生来る」
それになにを感じたか、メリットが指を鳴らす。なにかしらの魔術を使ったのであろう。それも、音に関係するものを。
「地面、見てみろ。きれいにえぐれているぞ」
言葉を失い、ただ呆然と武器を落とした不良どもは雁首そろえて地面を見る。
そんな中、ルーシはブレザーを一瞬で脱いで適当な女子生徒の頭にそれを被せる。なにが起きたか分かっていない不良女子の股間を、ルーシは膝で蹴り上げた。
「っっっっ!?」
痛みで悶絶し、唾液や嘔吐物を垂らしながら地面に倒れ込んだ。あまりに突然過ぎる、理不尽な暴力の前に硬直する不良たちにルーシは囁くように言う。
「早く連れて行けよ。サッカーの勘も掴めたし」
そもそも、あのクール・レイノルズと引き分けた幼女が、学生の不良ごときに苦戦するわけもない。少し脅して居なくなってくれるのなら、それで充分だ。加減を間違えて、変に人殺しもしたくないのが本音なのだから。
「……アンタ、サッカーボール蹴ったら破裂させるんじゃないの?」
「大丈夫だよ。現に、コイツの子宮も破裂していないだろ?」
「はぁ、はぁ……。いたっ、いたい……」
なかなか凄惨な場面に、不良たちも気が引けたのか、なにも言わず女子生徒を連れて去って行った。その目に恐怖や怯えがあるのは、誰からも明らかだった。
「だいたい、学校に拳銃持ち込んじゃ駄目でしょ」
「一理ある。勉強するところだし」
「音を改ざんしたから先生が来ることはないけど、どうせあの手の馬鹿は恥も外聞もなくチクる。持ち物検査される前に、拳銃どうにかしたら?」
「しゃーない、一旦帰るか」
ルーシは、なんとも退屈げに去って行くのだった。
*
「ポール。今すぐ道具を回収してくれないか? 学校で発砲しちゃってさ。んん? 迎えの車をよこしているのか。分かった」
ルーシはメイド・イン・ヘブン学園から少し離れた道で、ポールモールがよこす迎えを待つ。
そんな幼女の隣に、誰かが立った。
「誰だ?」
「いや、一本くれねェかなぁって」
「あぁ、良いよ」
「どうも」
ルーシは横を向き、そこにアルビノらしき高身長の少年が立っているのを知る。




