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Re:もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山スバル
第二幕 青春狂詩曲は鳴り止まない

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021 タバコ、タバコ、タバコォ!!

 そんなことはつゆ知らず、ルーシはパーラのもとへ戻っていた。


「あっ、ルーちゃん!」

「ああ、待たせてすまないね」

「良いよ! でさぁ、授業どうなったの?」

「キャメルお姉ちゃんと同じカリキュラムを組まれてしまったよ。最悪だ」

「え? マジ?」

「マジらしい」


 パーラは眉をひそめる。


「だって、ルーちゃん10歳じゃん。授業ついていけないでしょ」

「だから最悪なんだよ。ッたく、クール・レイノルズの娘という称号は、必ずしも良いほうへ傾くわけじゃないようだ」


 パーラはどこか同情するような表情を見せつつ、ルーシの肩を軽く叩いた。


「大丈夫だよ、ルーちゃん! なんでたって、ここにはメントちゃんも、キャメルちゃんも、メリットちゃんもいるし! だからきっと、絶対大丈夫!!」

「そうかい……」


 これが青春というものなのだろうか。所詮、小学校も卒業していないルーシには分からない。ただ、キラキラした目でこちらを覗かれるとき、ルーシはその目をそらしたくなる。


「……クソが」


 母国語で毒づく。当然、パーラはこの言語を理解できない。


「ん?」

「なんでもないよ。ま、勉強面じゃキャメルお姉ちゃんを頼れ、って言われているし、パーラの言うようになんとかなるはずさ」

「ねえ、ルーちゃん」

「なんだい?」

「さっき話してたヒト、アークくんでしょ?」


 会話をいきなりすげ替えやがった。まあ、雰囲気が壊されるよりはマシだと、ルーシは適当に答える。


「そうだよ。知り合いか?」

「アニメとかゲームの話、よくするんだ! でも、妙に表情が暗かった。アークくんらしくない」

「まあ、アイツにも悩みがあるのさ。多分な」

「ルーちゃん、なにか知ってるでしょ?」

「あぁ?」

「だって、世間話にしては長すぎるし。そもそも、ルーちゃんとアークくんって知り合いだったの?」

「そうだが」

「じゃあ、なにか知ってるでしょ?」


 パーラはしっかりこちらの目を見てくる。それが故、ルーシも逃げ場を見つけられない。ルーシはどんな無法者よりも、こういう少女のほうが苦手だ。純粋で純朴な少女が。

 彼女は首を振り、観念したかのように、


「……、ああ。ウィンストンって野郎、知っているか?」


 と、言った途端、


「パーラ、いつまでルーシ待ってるんだよ~。授業始まっちまうぞ?」


 メントが現れた。ナイスタイミングだ、と思いつつ、ルーシはメントに同調する。


「そうだな。もう授業が始まる。パーラ、この話はあとにしよう」

「分かった! じゃ、放課後会おうね!」

「ああ」


 振り分けられたクラスは、パーラと真逆の方向のようだった。ルーシはどこか安堵の表情を浮かべる。


(このおれが、女のガキごときに臆すなんてな)


 今まで散々手にかけてきた。きっと、パーラのような少女も殺したことがあっただろう。それでも、ルーシの殺人なんて、統計上の数字にしか過ぎない。そう思わないと、やっていけない。


 *


「あー……」

「ルーシちゃん、大変ね……」


 授業初日、隣にはキャメル・レイノルズ。彼女はつきっきりでルーシに勉強を教えていたわけだ。

 ただ、すでにルーシは口から煙が吹き出しそうだった。それは、キャメルの同情の目つきからも明らかだ。

 そろそろブチ切れそうになったとき、予鈴が鳴った。ルーシはキャメルとの会話も抜きに、一目散に校舎裏へ向かう。


「タバコ、タバコ、タバコォ!!」


 幼女が口走るにしては、あまりに似合わない言葉とともに、ルーシは校舎を駆け抜けていく。ニコチンの禁断症状、というか、今まで感じたことのないストレスがルーシを狂わせたようだ。

 と、スカートがめくれるのも気にせず走り抜けていれば、


「てめェがルーシ・レイノルズだな? ウィンストンさんがオマエをお呼びだ。今すぐ来い──!!」


 コンマ単位で、ルーシはよく分からん男子生徒を羽根で吹き飛ばす。なお、ルーシは自覚すらしていない。


「喫煙所はどこだぁ!!」


 学校に喫煙所があったとして、10歳児が入れるわけない。それでもルーシはスカートの裏側のパンツをみんなに見せながら、ダッシュする。


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