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約束の木の下で ―欠片―  作者: ぽんこつ


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8/28

あいて

窓の外は灰色の空。

天気予報通り、お昼前から降りはじめた雨。

教室の明かりがやけに眩しい。

でも、ちょっとだけ。

いや、かなり憂鬱な私。

雨のせいじゃなくて。

今から、体育祭のペアダンスの組合せを決める。

あらかじめ、決まってる人もいるみたい。

現に私も何人かの男の子から声を掛けてもらったけど。

断っていた。

「じゃあ、今から20分間でペアを決めて。決まらなかった人はくじ引きで決めまーす」

担任の先生の声が響いて。

ぎーっと。

あちこちで椅子が引かれ。

ざわざわし出した室内。

私は小さく息を吐いて。

机に突っ伏した。

なんでペアダンスなんてあるんだろ。

手なんかつなぎたくないのに。

大したことじゃないけど。

大したことだったりする。

ぽんぽんと肩を叩かれる。

嫌だなって想いながら顔を上げる。

「駿介くん?」

「どうも、あのさ倉科さんペアダンスの相手いるの?」

「え? 決まってないけど」

大きく息を吐いて肩を撫で下ろす駿介くん。

「良かったら俺と組んでくれないかな?」

「え?」

「あ、美瑠はさ1組でしょ? 俺が誰と組むかうるさくて。倉科さんなら、美瑠の親友だし、その美瑠も文句言わないかなって」

「あ、うん。私で良かったら」

ちょっと駿介くんの言い方が面白くて。

本当は自分から、美瑠に焼きもち妬かせないために言ってるのに。

でも、私にとっても渡りに船。

美瑠の彼なら。

こころがうなずいている。

「え? でも、美瑠は誰と踊るんだろ?」

「ああ、1組は女子が余るんだって。だから、女同士でペアを組むんだって」

「そうなんだ」

それはそれで羨ましいかも。

「じゃあ、先生に言ってくる」

「私も行くよ」

ぎい。

私は席から立ち上がった。


――昼休み

チャイムが鳴り止まないうちに。

パタパタと足音を引き連れて。

美瑠が教室に駆け込んできた。

「梨花、ありがとう」

「何が?」

美瑠は周りを気にしながら。

顔近づけてきて、

「あ、あの、駿介くんとペアダンス組んでくれて」

小声で囁いた。

「ああ、ううん。全然いいよ」

「梨花に頼もうかなって、想ってたんだけど、言いそびれちゃってさ」

「そっか。私だから焼きもち妬かなくてすむでしょ?」

「もう。梨花」

「ごめん。でも、誘ってくれたのは駿介くんの方だよ」

「え? そなの?」

大きくうなずく私。

「駿介くんなりに美瑠のこと考えてくれてるんだよ」

私は美瑠の鼻をつまむ。

口を尖らせる美瑠。

「うーん。そっか」

視線が駿介くんの方に流れる美瑠。

「ちゃんとありがとう言っといで。素直な美瑠はかわいいんだから」

「もう。私は素直ですぅ」

美瑠は、鼻にしわを寄せていーって顔をした。

「私こそありがとうね」

「へ? 何が?」

「いいから、早く言ってきな」

「うん。分かったよ」

美瑠は首を捻り、私の方を何度か見返しながら。

駿介くんの席に向かう。

少しもじもじと組んだ指先を動かして。

何か言った駿介くんに反応して。

微笑む美瑠。

とても幸せそうなその横顔。

あんな風に、私も笑ってたのかなって。

ほんの束の間。

想っちゃったんだ。

鈍色の空はさらに濃くなって。

窓に打ち付ける雨粒も大きくなっていた。


お読み頂きありがとうございます_(._.)_。

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