第20話 再起動(Ready)
都市拠点の一室に、4人が静かに集まっていた。
中央のテーブルに、ノアが端末を置き、依頼の概要を表示する。
「都市部の武装ゲリラ制圧。正規軍は関与を避けたがってる。報酬は……まあまあ。だが、危ない仕事だ」
リタは資料に目を通しながら、しばらく黙っていた。
イーライも言葉はなく、ただテーブルの縁を指でなぞっていた。
オーウェンは腕を組んだまま、天井を仰ぐようにして深く息を吐く。
それぞれが、それぞれの時間を過ごしてきた数日間。
あの雪山の記憶は、まだ癒えない。
誰もが、あの場所に“置いてきたもの”を抱えていた。
「……やるかどうかは、任せるよ」
ノアがそう言って椅子にもたれる。
皮肉めいた笑いは浮かばなかった。ただ、本音だった。
静かな間が落ちた。
それを破ったのは、リタだった。
「やるわ」
その声に、他の3人が顔を上げた。
「次こそ、手遅れになる前に動く。……そうじゃないと、あの子たちに顔向けできない」
イーライが頷いた。
「……まだ、狙える標的があるなら、俺は撃てる」
オーウェンも静かに立ち上がる。
「意味なんて後からついてくる。やるべきことは、まだ終わってない」
ノアは小さく笑い、端末を開いた。
「了解。サングレフ、再起動っと」
端末に表示された“READY”の文字が、4人を照らす。
痛みを抱えても、迷いを捨てなくても、立ち止まらない。
彼らはまた、戦場へと歩みを始めた。




