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そうして街へ連れていってもらった私は、おばあちゃんといろいろなお店を歩きながらケーキにクッキー缶、おはぎに大福と、およそ2人では食べきれないくらいのスイーツをたくさん買って帰った。


『おばあちゃん、こんなにたくさん本当にいいの?』


私が尋ねると、おばあちゃんは目尻にシワを作ってにこりと微笑み、「ああ、ええよ」と言ってくれた。


『たくさんある中から、どれ食べよって選ぶのが楽しいんやないの。晩ご飯は少なめにして、ご飯のあとにあかねの好きなアニメでも見ながらお菓子タイムにしよか』

『お菓子食べ放題?』

『そや、食べ放題や』


おばあちゃんは、にっと歯を見せて笑った後、「さあ、次は何買おうか」と私の手を優しく引いてくれた。「おばあちゃんも、前からお菓子食べ放題してみたかってん」とも言いながら。


結局、買った生菓子はその日中に食べないといけなかったから、おばあちゃんの近所のお友達やお孫さんを急遽招くこととなり、みんなでワイワイしながらアニメ鑑賞会に。私にとっては初めて会う人ばかりだったけど、賑やかな空間で、みんなで食べるスイーツはとても美味しかった……。


遠ざかっていくその光景に、私は自分が夢を見ていたのだと、ようやく気づく。ゆっくりと目を開ければ、見慣れた自室が目に入る。どうやら居間のちゃぶ台の上で寝ていたようで、私は先ほどまでの夢の内容を思い出した。


ああ、そうだった。


私は、あのときにパティシエになりたいと思ったんだった。美味しいスイーツを作って、たくさんの人に喜んでもらいたい。そう思うようになったのは、おばあちゃんとの、あの日のことがきっかけだった。


机の上に散らばるレシピ本や、アドバイスのメモ。それが目に入った途端、私の頭の中にはパッとひらめきが落ちて来た。外を見れば、もう明け方なのか徐々に空が明るくなっている。私は慌てて立ち上がると、急いで身支度を整えるべく、浴室へと向かったのだった。

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