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「これは……?」


ようやくこちらを向いてくれた稚日女尊様に、私はにこりと微笑んだ。


「チーズケーキと言って、明治時代に日本に伝わった洋菓子です」

「洋菓子……」

「せっかく美味しく作れたので、ぜひ召し上がってみてください」


呆然とする稚日女尊様の背中を押し、帰ろうとしていた彼女をまた居間へと戻す。すかさず弥生がプレートをテーブルに並べてくれて、私はその前に稚日女尊様を座るよう促した。ちらりと弥生を見ると、ふと笑う彼と目が合う。うん、ナイスタイミングと言うように、私は小さく頷いた。


「さ、皆さんもどうぞ座って」


美鶴さん、信さんにもそう声を掛けてみんなでちゃぶ台を囲む。


「稚日女尊様が好きなお味だと思います」

「じゃが──」


と言いかけたところで、稚日女尊様と信さんの目が合う。正座して不安そうな顔をしている信さんに、うっと怯んだのか、稚日女尊様はふいとまた視線をケーキに戻し、恐る恐るフォークを手に取った。


それからケーキにゆっくりとフォークを入れて、ぱくりと食べる。それからすぐに、目を見開いた稚日女尊様。


「こ、れは……」


どちらの反応なのかドキドキと不安になりながら見つめていると、2口目、3口目と続く。稚日女尊様の美しい瞳が、きらりと煌めいて「うまい」と一言呟いた。


「濃厚でなめらかな食感と、口いっぱいに広がる爽やかな甘さ……。それに、この味は……日本酒か?」


稚日女尊様の言葉に、私は「ええ、そうです」と笑う。そう、今回のチーズケーキは生地に日本酒を混ぜて作ったもの。和と洋の掛け合わせを楽しめるチーズケーキなのである。


「まさに、わらわが好きな味じゃ……!あかね、よう作ってくれたな」


美味しいスイーツに嬉しくなったのか、声を上げて喜んでくれた稚日女尊様。でも、この味を完成させられたのは私の力じゃない。


「……稚日女尊様、このチーズケーキの試作には信さんが助言をくださったんですよ」

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