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「稚日女尊様、いらっしゃいませ」
勤務終了後、もうすっかり夜も更け星と月が夜空に煌々と輝いている時間帯に、私の自室である離れに稚日女尊様がやってきた。その後ろには、美鶴さんと弥生の姿。二人とも今日の勤務を終えているようで、制服用の着物から私服用の着物に着替えている。
「時景から今夜時間を作ってほしいと言われたから来たが……」
「はい。稚日女尊様にぜひ召し上がっていただきたいものがあって」
そう言いながら「どうぞ」と中へ3人を案内する。久々の来客にしらたまたちも嬉しいのか、3人が脱いだ靴を並べたり、居間の方へ案内したりと私が何かをお願いしなくとも、せっせと来客対応をしてくれた。
弥生だけは、突如現れた小さなあやかしたちにぎょっとして驚いていたけれど、もう何度か会っている美鶴さんが慣れた様子で相手をしてやっているのはもちろん、稚日女尊様も優しげな眼差しを向けながら「愛い奴らじゃな」と、しらたまの頭を撫でてやっていた。
そのまま居間へ3人を連れていき、部屋の中へと足を踏み入れた瞬間、私の後ろにいた稚日女尊様の足が止まる。
「……信、お前もおったのか」
そこには、稚日女尊様をまっすぐに見つめる稚日女尊様の神使である信さんがいた。




