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それから私は厨房にやってきて、スイーツ作りに取り掛かることになった。お酒と甘いものが好きという稚日女尊様のために、彼女が喜ぶお菓子を作ろうと思い立ったのだ。


「灘五郷のお酒が好きって言ってたわよね。日本酒とのペアリングが楽しめるスイーツ……何がいいかしら」


灘五郷は、神戸市灘区から西宮市にかけて点在する酒蔵の総称のこと。西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷と5つのエリアをまとめて「灘五郷」という。


江戸時代から酒造りが始まったとされており、江戸時代後期には江戸で飲まれる日本酒の約8割を灘で作っていたという話もあるほど。辺り一帯には全部で26の酒蔵があり、今でも日本一の酒どころとして酒造りが盛んな地域だ。


六甲おろしが吹く地理的気候、ミネラルを豊富に含んだ灘の宮水、日本酒造りに適した米である山田錦と、おいしい日本酒造りに必要な条件が揃っていたことから、灘五郷の日本酒は大いに発展してきたとのこと。さらに、海に近く海上輸送に便利だったところも灘の日本酒が発展した理由の一つなのだとか。


「そういえば、バーラウンジに灘の日本酒がたくさんあったわね。地元食材を使っているところもこの旅館の売りって言ってたから、いっそ日本酒を使った洋菓子を提案してみるのもいいかも……」


作ってほしいと言われているのは洋菓子のメニュー開発だけれど、洋菓子に和の要素をそこに掛け合わせたって問題ないだろう。そうと決まれば、いろいろな日本酒の飲み比べもしてみたいところね。と思っていると──。


「おい、人間」


厨房の入り口に不機嫌そうに立っている烏天狗がいた。

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