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22

すると、シュークリームの周りにいたしらたまたちが、わらわらと小夜の方へ集まっていく。ある者は肩に乗り、ある者は手のひらに乗り。ぴょんぴょんと嬉しそうに彼女を取り囲みながら、「サヨダ!」「サヨダ!」と、彼女の名を呼んでいた。


それから数匹のしらたまが、にょきと伸ばした両手で皿に乗っていた大きなシュークリームをえっさほいさと運び出し、小夜の前へと持っていく。小夜はそれを驚いた様子で見つめていた。


「コレ、オイシイ!」

「サヨトタベル!」

「アマクテ、トロケル!」


きらきらと瞳を輝かせて、そう熱弁するしらたまたちに小夜がうっと後ずさっていた。無邪気な彼らは、ただ小夜に「美味しいものを食べてほしい」と、その思いだけで言っているようだった。


「ちょ、ちょっと……っ!分かったから、そんなに引っ張らないでよ」


小夜は戸惑い気味にそう言いながらも、目の前にあるシュークリームをじっと見つめている。けれど、私と美鶴の視線に気づいたのか、ハッとするとふいとそれから視線を逸らした。素直ではない少女の姿に、私はふと頬を緩めた。


「……小夜。貴女に体を差し出したあかねという人間の娘は、決して貴女を追い出すつもりで、こんな提案をしたのではありません」


私の言葉に「だったら、なぜ」と問うた小夜。その言葉に、私は執務室での、あかねの姿を思い出した。


「ただ『私の作ったシュークリームを美味しいって言わせたい』と」

「は?」


予想外の言葉だったのか、小夜は目をぱちぱちと瞬かせながら驚いている。まあ、それも無理はないだろう。追い出されると思っていた相手から、こんな言葉をかけられるとは誰が想像できようか。あのときの負けん気の強そうなあかねの姿を思い出し、私は思わず笑ってしまった。

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