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「すごい。豪華……」


語彙力のない、なんとも平易な感想しか呟けなかったが、私は豪奢な建物のすごさにただただ圧倒され言葉を失った。振り返ると、先ほどまで見たオンボロ鳥居ではなく、色鮮やかな朱色の鳥居が立っている。


「もしかして、あの鳥居をくぐれば、こっちの世界に来られるってこと?」

「ご名答。ですが、誰もがこの鳥居をくぐってここへ来られるわけではありません。人間はあやかしの手を取り、共にくぐる必要があります。だから、ただの人間があの場所を通っても、何も起こりませんよ。そもそも普通の人間には、ただの廃れた神社にしか見えませんから気づくこともないでしょうが」

「なるほど……」


そういう理由があって、あのとき手を握りしめられたのか。急に手を繋がれ、ドキドキしていた私がなんだか間抜けみたいだ。


「それにしても有馬にこんな場所があるなんて誰も思わないでしょうね」


そう呟き、私は改めて建物を見た。まるでアニメや漫画の世界に出てきそうな雅な佇まい。これだけ立派な旅館を作ったということは、確かに現世進出1号店には、かなり力を入れているのだろう。こんな場所で、私が彼らの力になれるのか、少しだけ不安になってきた。


「最初は随分と年季の入った建物でしたが、改装費にかなりのお金を投じてもとの良さは活かしつつ、新しい旅館にしたのがこの『縁の坊』です。上階の客室には部屋ごとに露天風呂も備わっているんですよ」

「へぇ~……」


露天風呂付きの客室だなんて、その辺りは現世の高級宿と同じような感じなのね。


「では、まずは中を案内しましょう」


無駄にキラキラと眩しいオーラを振りまきながら、にこりと微笑む時景様にうっとなりつつも、私は案内されるがまま彼の後ろをついていった。

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