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その後、私たちは中庭に場所を変え、急遽ガーデンパーティーを行うことになった。スイーツの新メニュー試食会とは別に、時景様を中心に天の湯の幹部たちを納得させる企画として準備をしていたようで、装飾やテーブル、椅子まで用意されていた。


テーブルの上には今日の試食会のために作ったスイーツがブュッフェ形式でずらりと並んでいる。縁の坊の中には、そもそも洋菓子を食べたことがないあやかしもいる。だから、今日の結果がどうなろうとも、縁の坊の従業員みんなにスイーツを食べてもらおうと思い、とめ吉さんたちと計画して多めに作っていたものだった。


「とめ吉さん!」


先ほど時景様による乾杯の音頭がなされ、ようやく会が始まったところ。と、そのとき、パステルカラーのマカロンが並ぶお皿を運ぶとめ吉さんを見つけ、私は急いで駆け寄った。


「おお、なんや、そんなに慌てて」


とめ吉さんはいつも通りの顔だったけれど、お皿を片手で持ち直すと、改めて私に向き直ってくれる。私は背筋を伸ばしてとめ吉さんを見た後、「今回はありがとうございました」と、深々と頭を下げた。


「今回、とめ吉さんをはじめ、熟練の料理人の皆さんたちからたくさん助言をいただいたおかげで、幹部の皆さんが納得するスイーツを私も作ることができました」


怖い人、最初はそう思っていたけれど、料理を愛するとめ吉さんは、パティシエとしての実績も何もない、人間の私に手を差し伸べてくれた。それがどれだけ心強かったかわからない。


誰かがいる厨房に入ると、過去の記憶がフラッシュバックして怖くて。だから、一度は諦めたパティシエの道。でも、とめ吉さんは、そんな私を「しっかりせい!」と叱ってくれた。「俺らは、昔のアンタの上司と違う」とも言い、くじけそうになる私を、引っ張り上げてくれた。


「どうかこれからも、まだまだ未熟な私にご指導よろしくお願いします……っ!」


そう言って顔を上げ、とめ吉さんと目が合えば、ふと笑われる。


「……あんたの熱意が、俺らを変えたんや」


その言葉にギュッと胸が締め付けられる。

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