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「え……」


ぽかんとする私をよそに、お三方は笑い続けていた。目をぱちぱちさせながら隣を見れば、源さんや貫太さんも戸惑っている様子。すると、八雲様が不敵な笑みを浮かべながら私を見た。


「お前みたいな強欲な奴は好きだぞ、あかね」


けれど、彼の口から出てきた言葉に、私は一層ぽかんとした。この人、いま何て言った……?


「ご、強欲?」

「いや〜、まさか営業形態や、販路拡大のことまで考えとうとは思わんかったわ」

「確かに、幽世にはない菓子の楽しみ方だし、天の湯に取り入れてみるのもいいかもしれないわね」


厳しい言葉が返ってくるのではと覚悟していたのだけれど、思いもよらない言葉に私の頭は混乱状態だった。そんな私に、3柱の神様は改めて向き直る。


「俺様たちが一番に考えるべきは、お前の言う通り『どうすればお客様に喜んでもらえるか』だ。だが、お前はそれだけでやく、ちゃんと経営の視点にも立ってこの案を考えた。細かい部分で改善の余地はあるものの、いろいろと展開できそうでおもしろそうじゃねぇか」


頬杖をつきながら、にやりと笑う八雲様。


「僕、正直甘いもの苦手やったから、苦味や塩気がある菓子が用意されてたんには感心したなぁ。ただ、選ばれる菓子があれば、そうでない菓子も出てくるやろうから、予算内でしっかりやれるかどうかの金勘定はこれから、きっちりしていこか」


そろばんを弾くような仕草を見せ、にこやかに笑う蒼真様。


「甘味は幽世でも女性客に人気が高いし、昼時やお茶の時間帯の利用者には温泉の入浴券をつけて価格を高めに設定して売り出すのもいいんじゃないかしら?」


と、帳面を取り出して何やらいろいろとメモをしている様子の熾音様。


それから、それぞれ顔を突き合わせながら今後の策について練り始めた3柱の神様方に、またしても私はぽかんとすることとなった。


あ、あれ?想定していた反応と違うんですが……。でも、いまの発言や御三方の表情を見ていれば、これはもしや……?


「あ、あの〜……じゃあ、今回の試食会の結果は」


不安な気持ちを抑えて私が問うと、また八雲様が不敵な笑みを浮かべた。そして──。


「合格だ」


と、にやりと笑い、そう言った。その言葉を聞いた瞬間、嬉しさが胸の内にじわじわと広がっていく。やったと思う達成感、緊張感から解き放たれた解放感。夢じゃないよね?と震える手。凛とした八雲様の声が、言葉が、何度も響いていて、頭の中はぐちゃぐちゃだ。


「よっしゃ!!」


と思っていたら弥生の大きな声が後ろで聞こえ、振り返る。見れば、そこには「合格」という言葉に、同じように大喜びする縁の坊のみんなの姿。


「やりましたね、あかね殿!」


晴れやかな氷雨さんの笑顔に、私の頭はようやく「やったんだ」と実感が湧いてきた。その嬉しさに感無量になった私は、彼らのもとに笑顔いっぱいで駆け寄った。

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