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「……なるほど。では、和菓子が入っているのも客の好みを考えてのことか?」
八雲様の鋭い指摘に、私は「それだけではございません」と返した。
「確かに神戸は洋菓子文化が根付いており、現世に住む私たちの間では『スイーツのまち』として有名な地でもあります。ですが、この神戸には長い歴史を誇る老舗の和菓子店だってたくさんあります。……何より、私が初めて時景様に出会ったとき、時景様は縁の坊の料理人たちが腕を振って手がけた和菓子も、この宿自慢の菓子だと私に教えてくれました。その良さも、決して欠かすことのできない要素のひとつだと考え、今回料理長のとめ吉さんをはじめ、縁の坊の料理人の皆さんと一緒に作らせていただきました」
ひと思いに自分の考えを述べた後、ちらととめ吉さんの方を見れば、しっかりと頷く彼と目が合った。
これまでの私は、自分ひとりで何とかしようと必死になっていた。けれど、顔を上げれば手を差し伸べてくれる仲間がそこにいた。最初は嫌われていると、近寄ることさえ避けていたけれど、そんな彼らにも、思いをきちんと伝えれば分かり合えるのだと知ったのだ。私ひとりでは難しくても、彼らと一緒ならきっと大丈夫。そんな予感を感じていた。
「まずは皆さま、お好きなものを3品お選びください」
私はそう言って後ろに置いてあった皿を取り、八雲様の前に座った。源さんは熾音さん、貫太さんは蒼真さんの前に座り、同じように皿と菜箸を持つ。
「なら、あたしはこれと、これ。あと、このおはぎも」
一番に声をあげたのは熾音様。それから蒼真様、八雲様もそれぞれに3つのスイーツを指さしてくれたので、私たちがそれを大きめの皿に取り盛り付けていく。それから食べられる花を散らし、差し出せば華やかなデザートプレートの完成だ。




