表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の中  作者: 宮岡友
3/3

出会い







寮は月3万程で済む事が出来たし、平日は居酒屋バイトで毎日働いていたからお金が特別必要な訳ではなかった。ホストに通ってもいない。セックスが好きだという理由でもない。




始めた理由は整形だ。

ただ、変わりたかったのだ。

自分の顔は昔から不細工だと虐められた事もないし周りからは割と可愛いと言われてきた。

でもどうしても自分の事が好きになれなかった。




自分を変えたくて整形をする選択をするなんて今考えたらおかしいしきっとあの頃の私は病んでいたのだろう。

でも地元にいる時から誰も知らない都会に行って整形をしようと決めていた。


学生時代に性行為を沢山していた方でも無いのにやる事に関して抵抗がなく、顔を変えられるならやりたいとまで思っていた。

これは一種の自傷行為だったのかもしれない。





(今日の予約は本指名が70分、120分と…最後に新規90分か)





私の通う大学は女子大で昔寮に住んでいた女子大生が行方不明になった事もあり、門限に少し厳しかった。

平日は必ず0時になるとインターホンが鳴ってちゃんと寮に戻っているのかの確認がされる。

日曜日だけが自由に帰ることが出来たのだ。




ミリアは私の風俗での源氏名だった。

本名じゃ無かったら名前なんて何でもよかったので店長が付けてくれた。勿論、整形費用を貯めたら即辞める予定だから顔出しは一切していなかった。


ただ、有難いことに顔出しをしなくても店で1番高い指名料にされていて、尚且つ日曜日限定の18時から0時までの6時間だけしかいない事で店の常連からは謎めいて見えていたらしい。そこに興味を持って指名してくれるお客様が多かった為基本的に出勤前には予約で埋まっていた。

半年程働いた今では殆どの枠が本指名で埋まっていて新規で入るのは難しいレアキャストになっていた。




風俗では男が喜ぶ声の出し方とか身体の使い方を沢山学んだ。

殆どの男は自分が気持ち良くなる事しか考えていなくて私たち風俗嬢が演技という事も分かっていなかった。

喜んで腰をくねらせて、本当に自分達のテクニックでのけ反って切ない声を出していると思っているらしい。



だからこそ最初のソワソワとした、下半身の快楽の為の貼り付けられた上部だけの優しさが気持ち悪く嫌いだった。

まあそんな男に愛嬌振り撒いて腰を振って金を稼ぐ私の方が滑稽で気持ち悪いのだけど。






だから大阪に来てからは彼氏は作らなかったし作れなかった。寧ろ男に向き合えば向き合う程、どんどん嫌悪感が増したから仕事は割りきって働く事が出来た。






「…お疲れ様です」

「ミリアさんお疲れ様!最後が新規90分なのでよろしく!」






(新規客なんて久しぶり過ぎて気まずいな。さっきの本指名のとこでお酒飲んどけば良かったかな)




「こんにちは〜!初めまして!ミリアです」

ドアを開けていつもの3トーン明るめに声を出してニコッと微笑んだ。



あの時上手く笑えていただろうか。



微笑んだつもりだったが前に立っていた男があまりにもとびきりの笑顔をして立っていたのでびっくりしてしまった。

見た目は30代くらいで細身の身体に焼けた肌。

肩まで伸びた黒髪は癖毛っぽく跳ねていて。


切れ長の目を細めて白く整った歯を見せて笑う彼を見て


(あーきっとコイツは遊びまくってるな…面倒くさい)


と思った。

モテる男は扱いにくいしおとなしめな性格の私は苦手だった。

明るい男特有の、見せたくない心の内側を容赦なく開かせようとして来る距離感の詰め方といい、図々しさといい。






「…あ、お店に電話しますねー」








なるべく世間話はしないであえて業務的に接して距離を取った。

電話をしながら歯ブラシを準備したり、ベッドメイキングをしたり、照明を調整したりしている姿を彼はニコニコしながらじっと目で追いかけてきた。



見てなくても分かるくらいずっと見てくるから凄く恥ずかしくなってきた。












「あの、何かありました?」












「…いや、、、ぷはっ!!!!!!

 スカート!!!スカート捲れてんで」












「え!?うそ!!なに、もっと早く言ってくれないですか?!」












予想外の返事に顔が真っ赤になるのが分かって慌てて

ワンピースを戻そうとした。








「え?…捲れてないし」








ワンピースは全然捲れていなかった。

彼の方を見ると彼はさっきと同じ笑顔浮かべていた。









「うん、嘘ついた。なんか顔強張ってたし。

 顔赤くなり過ぎやろ」









「…シャワー入りましょうか」







私は彼の言葉を無視してシャワーをつけた。

彼の方に戻って、イライラしているのを悟られない様にニコッと笑った。

彼の肩に手を回し、唇に軽くキスをした。







こういう男は私のペースを乱してくるから嫌いだ。 

だから私がペースを乱してやるのだ。










(余裕そうにしてるこの男もムラムラしてるからここに来てるわけだし…)









いつもは次の予約も入っているし髪の毛が濡れてしまうのが嫌でシャワーの時は軽くお触りして勃たせて洗うだけなのに、何故か無性に虐めたくなってしまった。









彼が特別だからじゃない。まあこの予約で今日は終わりだし。








自分の身体に泡を沢山付けて、その泡を彼の身体に乗せる様に私の身体をいやらしく密着させた。









手を下から上へ、優しく優しく洗ってあげた。

たまに小さく吐息を吐きながら。










ゴクッと生唾を飲む音が聞こえた。









鼠蹊部付近は触れてるのか触れてないのかのギリギリで。かと思えば突然乳首を触ったり。





チラッと彼の顔を見た。




さっきまで冗談を言ったりニコニコしてたのが嘘かのように全く笑っていなかった。








私はしゃがんで大きくなった彼のものも下から上に丁寧に洗った。





ゆっくりと顔を近づけてふぅーーっと息を吹きかけて、期待させてから彼の顔を見上げて














「流しますね」















とニヤッと笑いながら言って泡を流した後は一切触らなかった。







私なりの仕返しだ。


彼はなにも言わず大人しくしなっていた。

















(なんだ、意外と従順じゃん…)





















身体を拭きながらベッドに向かおうとしたその時、








そのまま洗面台の上に鏡の向きと身体を乗せられた。


















「それでやり返したつもり?」







「きゃっ」

















バランスを崩しそうになって後ろに手をついた隙に巻いていたバスタオルを剥がされ両足を挙げられて無理矢理M字開脚にさせられた。









「…ベッドに」



「無理」






















彼は私の顔を見ずにそう答えて、私の秘部に顔を埋めた。






自分の髪が前に落ちてこない様に顔を斜めにする仕草がすごく色っぽかった。






これが毅との出会いだった。





























評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ