青緑の天使、神手海涼 〜神だった頃の話①〜
あのように誕生した光達がどうこれから過ごすのか。今回はそんな物語です。
私の名はテミス。私には姉妹が11人いる。母は居ない。人間だったモノに殺されたからだ。また、私は特別な能力を使える力を持っている。それは、口にすれば誰でもできるような制限を掛けられる能力だ。例えば「10分間走るな」とか「30秒間片足立ちしろ」とか。でも、自分にもその制限が掛かってしまうのと、1日1回しか能力を使えないくらいの力の量なのが問題である。
私達姉妹は、母と同じような末路を辿ることを防ぐために全てから隠れる術を身に着けた。だが、それだけで不安がなくなるわけがなく、毎日毎日、死への恐怖を抱えて生きているのである。
「ねえ、アイツ、今どこにいる?」
青色の妹、イザナミが目を血走らせ言った。アイツというのは母を殺した奴だろう。
「私、見つけたよ。今は人がたくさんいるところに隠れてる。力を隠して、普通人間のふりして、子供まで作ったぽい。その子供もアイツみたいな力をもってそうだったな。」
答えたのは、赤橙色の妹、エリスだ。平然を装いながら淡々と話していたが、子供ができていたということに驚いていることは見て取れた。
しかし、子供も同じ力を持っていると考えられるならば、このまま隠れていたら、いつか母を殺した奴と同じような奴が大量に生まれ、取り返しがつかなくなるのは簡単に予測がつく。
「アクマめ。」
……?自分でも何を言ったのかがわからない。でも、忌々しく憎い奴を考えてでたものだった。
「アクマ……」
「アイツのこと、ですか?」
「ああ、なんかしっくり来るじゃないか。」
「漢字は悪に、人間じゃないことを示す魔物の魔かしら。」
「テミス、良い名をつけたね。取って置きの悪名じゃん!」
姉妹が口々に言う。そうか、あれはアイツの名前か。嫌悪感のある、自分がつけたとはいえとても良い名前だ。
アイツの話題から逸れかけたのを、赤紫色の姉、ムーサが戻す。
「アイツ……悪魔を放っておいてはいけない、でも私達じゃ力が適わない。どうすべきかと思う?」
誕生の秘話が終わり、青緑色の主人公の話でした。やっと悪魔という単語が出ましたね。これからどう物語が進むのか、楽しみにしてください。