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手術……ではない?

 目が覚めると、知らない天井だった。

 白いタイルの天井で、横を見ると柵付きのベッドだ。

 病院だろうか……助かった?あの勢いで?

 でも確かに、どこも痛いところはない。いや、頭は少し痛いが、あの事故で痛むなら、こんな普通の頭痛程度ではないだろう。


 よくある病院のような、横に引くタイプのドアが開き、看護師さんが近寄ってきた。

「目が覚めましたか?どこか痛いところは?」

「少し……頭が痛いです。あの、ここは……?」

「ここは病院ですよ。いきなりですみませんが、手術の同意の為、こちらを書いていただけますか?」


 そう言って差し出されたのは、タブレット端末とペンだった。起き上がり、受け取る為に伸ばした手が、やけに短いことに、その時は気付かなかった。

 紙じゃないなんて、珍しいところもあるもんだなぁ。ペーパーレスかな。そう思いながら受け取り、必要事項に記入していく。同意書の割に、手術に関する文章が短い。

 名前、生年月日、住所、電話番号、親の名前……役所みたいだな、と思いながら、記入していく。


「おわりました。」

「……ありがとうございます。比企(ひき)コマさんですね。それでは、説明がありますので、こちらへ。立てますか?」


 ベッドからは普通に降りられた。車に轢かれたのは夢か何かだったのだろうか……

 看護師さんについて病室を出て、しばらく歩いた。やけに視線が低いなと思って、手をよく見たら、信じられないほど小さかった。


 最近流行りの異世界転生……?それにしては現代らしい建物だ。それに、看護師さんも異質なものを見るような目線ではない。


 色々と考えながら、看護師さんの後を歩くと、重厚な扉の前についた。


「こちらに先生がいらっしゃいます。わからないことは、なんでも聞いてください。」


 看護師さんの言葉に、はいとか何とか、蚊の鳴くような声で答え、開けられた部屋の中に入った。


 そこは、執務室のような場所だった。奥には木でできた高級感のある机があり、その奥に窓、両面の壁には本棚があり、手前に黒いソファーが対面するように置いてある。間に低めのテーブルがあり、紅茶が2つ用意されていた。

 ソファーの左手側に、男の人が居た。白髪混じりの黒髪を軽くセットして、白衣を着た50代ぐらいの男性だ。


「どうぞ、座って。なんでも聞いてもらっていいからね。」

「は、はい……わかりました。」


 こまがソファーに座ると、男性は紅茶を一口飲んで話しはじめた。


「ここはネヴァーディング王国の病院だ。僕は院長の宮村貴志。君は、日本人だね?混乱しているだろうが、落ち着いて話を聞いてほしい。」

「えっと……すみません、やっぱり、異世界転生とか……そういうことですか?」

「そうだよ。この時代の日本人は理解が早いね。有難いことだ。この国は、いわゆる異世界転生者が多い国なんだ。この国を興したのも、君と同じぐらいの時代の日本人だよ。」

「へぇ……すみません、実感が沸かなくて……」


 こまは、部屋を見渡した。本棚をよく見ると、見たことのない文字もあるが、ほとんどが日本語だった。


「本が好きなのかい?」

「あ、そうです……本ばかり読んできて……誰かと話すの久しぶりで……」

「じゃあ、本で知ってもらおうか。転生者向けの学校もあるけど……そういうのも苦手かな?」

「学校はもう嫌です……いじめられ尽くしで。」

「この本を読んでごらん。」


 宮村院長は、後ろの本棚から本を取り出し、こまに手渡した。


 『ネヴァーディング王国の歴史』というタイトルで、表紙には剣と玉を持った王様が描かれている。王様が持った玉が、光の加減ではない光り方をしている。


「これは、持つものの記憶を読み取って、足りない知識を本という形で補ってくれる、君の時代より500年以上未来の転生者が作った本だ。面白いよ。」

「ありがとうございます……?読んでみます。」


 本をパラパラと捲ってみたが、普通の本と何ら変わりないように見えた。

「ゆっくり読みたいので、部屋で読ませていただきます。」

「そうだね。ゆっくり読んでね。」


 扉を開けると、看護師さんが待っていた。

「お話はおわりましたか?では部屋に戻りましょう。」

ここまでいかがでしたでしょうか。


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